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掲載日:2023年7月11日

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出向・転籍について

4 出向・配置転換

4-1 出向・転籍について

質問です

昨年、会社から関連の子会社へ出向を命ぜられました。
出向については不満はあるものの一応了承したのですが、労働時間が長くなったにもかかわらず、賃金が低下しました。このように労働条件が低下する場合、そのことについて本人の承諾が必要なのではないでしょうか。
このような場合、親会社(出向元)へ復帰できるよう請求することはできるのでしょうか。
また、会社の業務の一部が業務委託される予定であり、何人かはその会社に転籍となる旨の説明が会社からありました。これを拒否することはできるのでしょうか。

ここがポイント

  • 出向なのか転籍なのかをきちんと確認することが大切です。
  • 出向を命じるには、労働者の個別的な同意か、就業規則や労働協約上の根拠が必要です。
  • 出向命令が「権利の濫用」となる場合は無効です。
  • 転籍を命じるには、原則として労働者の個別的な同意が必要です。

お答えします

まず、出向なのか転籍なのかを事業主にきちんと確認することが大切です。少し細かくなりますが、それぞれの違いについて説明します。

1 出向について
出向とは、勤務する会社に労働者としての地位をそのままにして(在籍したままで)、出向先の会社に長期間就労することをいいます。
従業員に出向を命じるには、

  • (1)労働者の個別的な同意か、
  • (2)就業規則や労働協約上の根拠、

が必要であると考えられます。
この場合、(2)の就業規則を根拠にあらかじめ出向の承諾(労働者の包括的な同意)があったというためには、就業規則に、出向先の範囲、出向期間、身分、賃金、労働時間などが明確に定められている必要があると考えられます。
判例(ゴールド・マリタイム事件・最二小判平4年1月24日)でも、出向規程が「出向先を限定し、出向社員の身分、待遇等を明確に定め、これを保証しているなど合理的なもの」であることが必要とされています。
お尋ねの場合も、就業規則等に明確な出向制度が定められているか否かがポイントになります。
明確な出向制度が定められている場合には、従業員は出向に包括的な同意を与えたものとみなされるため、出向命令に従わざるをえないと考えられます。
使用者の出向の命令が、その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして、その権利を濫用したものと認められる場合は、その命令は無効となります。(労働契約法第14条)
問題なのは、就業規則には「出向を命じることがある」との簡単な規定だけしかない場合の出向命令であり、この場合には、会社は、出向先での賃金・労働時間をはじめ出向期間、出向元への復帰など出向の条件を労働者に告げて、改めて同意を得なければならなかったと考えられます。
まずは就業規則や労働協約の規定など、出向命令権の根拠について確認した上で、根拠のない出向命令である場合には、出向元への復帰を求めるか、従前の労働条件と出向先会社の労働条件とのギャップについて補償を求めるなど、会社と話し合ってみてはいかがでしょうか。

2 転籍について
転籍とは、従前の会社とは労働者としての地位を失い(雇用関係が終了)、転籍先の会社と新たに雇用契約を締結することをいいます。
転籍を命じるには、労働者の個別的な同意が必要であり、就業規則や労働協約の規定を根拠に転籍を命じることはできないとする考え方が一般的です。
ただし、転籍先と転籍元が同一会社と同一視できるほど密接な人事交流がある系列企業グループ内の異動の場合(千葉地裁判決昭56年5月25日 日立精機事件)などに限り、転籍について事前の「包括的合意」が認められる余地があります。
以上から、転籍について会社から提示があったとしても、これを拒否することは可能と思われますので、その旨をはっきり伝える必要があります。

ここにも注意!

整理解雇の4要件を検討してみる
会社の業務の一部が業務委託される予定とのことですので、転籍に応じない職員を会社が解雇するということも考えられます。
転籍を拒否した労働者に対する整理解雇について争われた裁判例はいくつかあり、解雇無効とした判例(最高裁判決平6.12.20千代田化工建設事件など)もあります。
転籍拒否をしたことを理由に直ちに解雇が有効になるものではありません。「人員削減の必要性」、「解雇回避の努力」、「整理基準と人選の合理性」、「解雇手続きの妥当性」という整理解雇の4要件について十分検討した上で、会社に回答されるのがよいでしょう。

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