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掲載日:2023年12月7日

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時間外・休日及び深夜の割増賃金について

2 賃金・賞与(ボーナス)

2-1ー1 時間外・休日及び深夜の時間外手当(割増賃金)について

質問です

時間外や休日、深夜に働いた場合は割増賃金が支払われると聞きましたが、その内容について教えてください。

ここがポイント

法定労働時間を超えて時間外労働を行わせた場合は、使用者は必ず割増賃金を支払わなければなりません。

お答えします

1.法定労働時間を超える残業

労働基準法で規定する労働時間(「法定労働時間」といいます)は、週40時間、1日8時間(公衆の不便を避けるためや、日常生活等に必要とされる、商店や理・美容院などの商業、映画館や劇場並びに医院や社会福祉施設等の保健衛生業、旅館、飲食店等の接客娯楽業のうち常時10人未満の労働者を使用する事業場(「特例事業場」といいます)については、週44時間、1日8時間)となっています(労働基準法第32条、同40条)。これを超えて時間外労働を行わせた場合には、使用者は、通常の賃金額の2割5分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければなりません。

法定の休日(1週間で1日、又は、4週間で4日の休日)に労働させた場合には、使用者は、通常の賃金額の3割5分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければなりません。
深夜(午後10時~午前5時)に労働させた場合は、通常の賃金額の2割5分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければなりません。(労働基準法第37条)

使用者がこれらの時間外・休日労働をさせる場合には、労働基準法第36条に規定する労使協定(「36協定」といいます。)を、労働者の過半数で組織する労働組合(それがない場合は労働者の過半数の代表者)と締結して、労働基準監督署に届けなければなりません(深夜労働については、この協定は不要)。
また、36協定があれば労働者に時間外労働を義務づけられるということではありません。就業規則や労働契約に時間外労働をさせる旨の規定があり、時間外労働を命じるその内容が合理的でなければなりません。

※ 労働基準法の改正により、平成22年4月1日から、月60時間を超える時間外労働については、割増賃金率が5割以上に引き上げられました。

割増賃金率

時間外労働

2割5分以上

休日労働(法定休日に労働した場合)

3割5分以上

深夜労働(午後10時~午前5時)

2割5分以上

月60時間を超える時間外労働

5割以上

注)

  • 時間外労働が深夜に及んだ場合
    時間外労働(2割5分以上)+深夜労働(2割5分以上)=5割以上
  • 休日労働が深夜に及んだ場合
    休日労働(3割5分以上)+深夜労働(2割5分以上)=6割以上

1時間当たりの割増賃金(単価)の計算式

  • (1)時間給制の場合
    割増賃金単価 = 時間給 × 割増賃金率
  • (2)基本給、各手当が月給制の場合
    割増賃金単価 = (基本給+各手当) ÷ 1か月の平均所定労働時間※ × 割増賃金率
    ※1か月の平均所定労働時間 = (365日又は366日-年間所定休日数)× 1日の所定労働時間 ÷ 12か月
  • (3)基本給、各手当が日給制の場合
    割増賃金単価 = (基本給+各手当) ÷ 1日の所定労働時間※ × 割増賃金率

※1日の所定労働時間が日によって異なるときは、1週間平均の1日の所定労働時間で割ります。
1週間平均の1日の所定労働時間 = 1週間総所定労働時間 ÷ 1週間総所定労働日数

2.時間外の上限規制の導入(2019年4月、中小企業は2020年4月から施行)

使用者が法定労働時間を超えて労働を命ずるために必要な「時間外・休日労働に関する労使協定(36協定)」において定める延長時間に、時間外労働の上限が盛り込まれることになりました。その上限時間は原則として月間45時間、年360時間です。

臨時的に特別な事情がある場合に限り、さらにこの限度を超える延長時間を労使で協定する(特別条項付協定)こともできますが、その場合でも1年間720時間以内、1か月について休日労働を含め100時間未満、複数月(2~6か月)の平均で休日労働を含め、80時間以内と定められました。特別条項付協定を適用して月45時間を超える時間外労働を命ずることができるのは最大年6か月までと定められています。

なお、自動車運転業務、建設事業、医師などについては5年の間適用が猶予されるほか、研究開発の業務は上限適用の対象外とされています。


3.法定労働時間を超えない残業(法定内残業)

使用者が所定労働時間外労働を命じるには、就業規則や労働契約にその根拠がなければなりませんが、所定労働時間が法定労働時間の8時間よりも短く、8時間を超えない範囲で時間外労働をさせる場合は、36協定の締結や割増賃金の支払いは必要ありません。使用者は、所定労働時間を超えた分に対しても、通常の賃金と同じ単価で計算した金額を支払えばよいことになります。
また、週休2日制の場合などで、法定休日とされる日以外の休日に労働させた場合も、週の労働時間が法定の40時間を超えなければ、通常の賃金でよいことになります。
なお、この場合でも就業規則などで割増賃金を支払うと定めていれば、使用者は割増賃金を支払われなければなりません。

ここにも注意!

 1か月60時間を超える法定時間外労働について

  1. 1か月60時間を超える法定時間外労働に対しては、使用者は50%以上の率で計算した割増賃金を支払わなければなりません。
  2. 深夜(午後10時~午前5時)の時間帯に1か月60時間を超える法定時間外労働を行わせた場合は、深夜割増賃金率25%以上+時間外割増賃金率50%以上=75%以上となります。
  3. 1か月60時間の法定時間外労働の算定には、法定休日(例えば日曜日)に行った労働は含まれませんが、それ以外の休日(例えば土曜日)に行った法定時間外労働は含まれます。
    なお、労働条件を明示する観点や割増賃金の計算を簡便にする観点から、法定休日とそれ以外の休日を明確に分けておくことが望ましいものです。
  4. 1か月60時間を超える法定時間外労働を行った労働者の方の健康を確保するため、引上げ分の割増賃金の代わりに有給の休暇(代替休暇)を付与することができます。
    代替休暇制度導入に当たっては、過半数組合、それがない場合は過半数代表者との間で労使協定を結ぶことが必要です。
    なお、まとまった単位で与えることによって労働者の休息の機会を確保する観点から1日、半日、1日又は半日のいずれかによって与えることとされています。
  5. 上記の「法定割増賃金率の引上げ関係」については、これまで適用が猶予されていた中小企業にも、2023年4月1日から適用されています。そのため、現在は会社規模による取扱いの差異はありません。

 

  割増賃金の計算基礎に入れるべき賃金は、通常の労働時間又は労働日に対して支払われる賃金であり、基本給だけではなく、諸手当が含まれます。ただし、次の7種類の賃金は、労働と直接的な関係が薄く、個人的事情に基づいて支給されていることなどから、割増賃金の計算基礎に算入しなくてもよいことになっています。

  • (1) 家族手当
  • (2) 通勤手当
  • (3) 別居手当
  • (4) 子女教育手当
  • (5) 住宅手当
  • (6) 臨時に支払われた賃金
  • (7) 1か月を超える期間ごとに支払われた賃金(賞与等)

※ これらの7種類の賃金は、制限的に列挙されているものですので、これらに該当しない賃金はすべて割増賃金の基礎に参入しなければなりません。
また、これらの賃金は、名称にとらわれず実質によって判断します。

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産業労働部 雇用労働課 労働相談担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 第二庁舎1階

ファックス:048-830-4852

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