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発表日:2021年12月10日11時

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県政ニュース

サクラの外来害虫”クビアカツヤカミキリ” 分布拡大を予測するシミュレーションモデルを開発しました!

部局名:環境部
課所名:環境科学国際センター
担当名:研究推進室・自然環境担当・研究企画室
担当者名:三輪・角田・嶋田

直通電話番号:0480-73-8370
Email:a738331@pref.saitama.lg.jp

環境科学国際センターでは、平成30年6月から、「クビアカツヤカミキリ発見大調査」を実施し、県民の皆様とともに、サクラの外来害虫“クビアカツヤカミキリ”の県内における分布及び被害状況を調査してきました。この調査で得たデータを活用し、県内でのクビアカツヤカミキリの分布拡大を予測するシミュレーションモデルを東京都立大学大学院の大澤剛士准教授との共同研究で開発しました。

このモデルにより、県内のクビアカツヤカミキリは、(1)河川に沿って分布拡大する傾向にあること、(2)今後県中央部から東部にかけて分布拡大する可能性が高いことがわかりました。

この研究成果により、クビアカツヤカミキリの侵入や被害が発生しやすい場所を、より焦点をしぼって効率的に調査できることから、被害の早期発見と防除に役立つと考えられます。

この研究成果は、学術誌「Management of Biological Invasions」注1に掲載されました。

埼玉のサクラを守るため、引き続き、クビアカツヤカミキリの被害や成虫の発見情報の提供にご協力ください。

1 モデル開発の目的

県内においてクビアカツヤカミキリがどのように分布を拡大していくのかを予測することを目的としました。

2 モデル開発の方法

「クビアカツヤカミキリ発見大調査」で得られた分布及び被害情報とコンピューターシミュレーション手法(セル・オートマトン計算モデル注2)を組み合わせてモデルを開発しました。

3 結果

開発したモデルにより、以下の結果が得られました。

  • クビアカツヤカミキリは、単位面積当たりに存在する河川の総延長距離が長い場所、すなわち河川沿いのサクラ並木に、侵入しやすいことがわかりました。
  • 山林の比率が高い県西部への分布拡大は限定的である一方、県中央部から東部に分布を拡大する可能性が高いことが示されました(図1)。

図1_211210

図1 埼玉県全域におけるクビアカツヤカミキリの分布拡大予測結果

4 モデルの活用

県内においてクビアカツヤカミキリは河川に沿って県中央部から東部にかけて分布拡大することが予測されたことから、これらの地域の河川沿いにあるサクラ並木周辺で調査を行うことにより、被害の早期発見と防除に役立ちます。

5 成果の公表

  • 掲載誌: Management of Biological Invasions
  • タイトル: Establishment of an expansion-predicting model for invasive alien cerambycid beetle Aromia bungii based on a virtual ecology approach

      (仮訳:バーチャルな生態学的アプローチに基づく侵略的外来カミキリ“クビアカツヤカミキリ”の分布拡大予測モデルの確立)

  • 著者: Takeshi Osawa, Hiroshi Tsunoda, Tomohide Shimada, Makoto Miwa

      (大澤剛士、角田裕志、嶋田知英、三輪誠)

  • DOI: 10.3391/mbi.2022.13.1.02
  • アブストラクトURL: https://doi.org/10.3391/mbi.2022.13.1.02

6 問い合わせ

クビアカツヤカミキリ発見大調査について

環境科学国際センター 三輪、角田、嶋田

電話: 0480-73-8370

モデル開発について

東京都立大学大学院 都市環境科学研究科 大澤

電話: 042-677-2623

注釈

注1) 学術誌「Management of Biological Invasions」:陸域・水域を問わず外来生物や生物侵入に関する応用科学を広く扱う国際的学術雑誌である。外来生物に関する科学研究と防除管理に関する国際組織であるヨーロッパ・アジア地域生物侵入センター(Regional Euro-Asian Biological Invasions Centre: REABIC)が発行している。

注2) セル・オートマトン計算モデル:単純な規則に従って格子状に配置されたセル(小区画)の状態を時間的に変化させる計算モデルである。セルの状態は接続するセルの状態の影響を受けて変化する。今回は「セル」を1kmメッシュとし、上下左右4箇所のセルへのクビアカツヤカミキリの侵入確率(「セルの状態」)が寄生木であるサクラの存在確率によって変化するという「規則」を設定したモデル(図2)を作成した。

図2_211210

図2 今回の研究で作成したセル・オートマトン計算モデルのイメージ図

矢印の色が濃いほどクビアカツヤカミキリの侵入確率が高いことを表している。

参考

〇クビアカツヤカミキリの特徴
  • クビアカツヤカミキリは、外来生物法により、「特定外来生物」に指定され、飼育や運搬などが禁じられています。
  • 自然分布は、中国、モンゴル、朝鮮半島、ベトナムなどです。
  • 成虫の体長は25-40mm程度で、前胸背板(一般に「首」に見える部分)が鮮やかな赤色、他の部分が光沢のある黒色です(図3)。
  • メスの成虫は木の樹皮の割れ目に産卵し、卵を1000個近く産むこともあり、繁殖力が極めて旺盛です。
  • 幼虫は、サクラ、ウメ、モモ、スモモなどの主にバラ科樹木の生木を好んで摂食します。
  • 幼虫は木の内部で2~3年かけて成長し蛹(さなぎ)となり、6月中旬から8月上旬に成虫となって、樹体の外に脱出します。
  • 幼虫の活動期は春から秋で、この間に樹体からフラス(木くずと糞が混ざったもの)が排出され(図4と図5)、フラスは木の根元などに堆積します(図6)。
  • 成虫の寿命は、野外では1か月程度です。

図3_211210

図3 クビアカツヤカミキリ(オス)

図4_211210

図4 フラス(褐色のカリントウ状で比較的硬い)

図5_211210

図5 樹体から排出されるフラスと樹液

図6_211210

図6 根元に堆積したフラス

〇これまでに実施した「クビアカツヤカミキリ発見大調査」で被害が確認された市町及び被害箇所数(成虫のみの確認を含む)

表1_211210

〇令和2年度までの県内におけるクビアカツヤカミキリ被害の変遷

表2_211210

〇令和2年度までにクビアカツヤカミキリ被害が確認された地域(メッシュの地域)

図7_211210

マップの詳細は、下記「クビアカツヤカミキリ情報」サイトの

「クビアカツヤカミキリ調査地点マップ」をご覧ください。

 

クビアカツヤカミキリに関する詳細は、以下の「クビアカツヤカミキリ情報」サイトをご覧ください。 
https://www.pref.saitama.lg.jp/cess/center/kubiaka.htm
図8_211210

報道発表資料(ダウンロードファイル)

 

 

 

 

 

 

 

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