保護者・地域住民の方向け研修資料「共生社会の実現に向けて~障害者雇用の推進と障害者理解~」について説明するものです。 以降は研修資料の本文です。 ページ数は表紙を含めて9ページあります。 ~表紙~ 共生社会の実現に向けて~障害者雇用の推進と障害者理解~ 共生社会とは 障害種別と合理的配慮 埼玉県教育委員会障害者活躍推進計画に基づく取組 埼玉県教育委員会で働く障害のある職員数 学校における実例 まとめ 令和4年7月 埼玉県教育局総務課 ~2ページ~ 共生社会とは 共生社会とは全ての人が障害の有無にかかわらず、相互に人格と個性を尊重する社会のことです。 ・共生社会を実現するためには、希望や能力に応じて、  誰もが職業を通じた社会参加ができることが必要です。 ・教育現場で、障害のある教職員が生き生きと働いていることは、児童生徒や保護者の障害者への理解が深まるなど、大きな意義があります。 ・障害のある児童生徒にとっては、障害のある教職員がロールモデルとなることも期待されます。 障害のある児童生徒にとっても、ない児童生徒にとっても、暮らしやすい社会を作っていくために、皆さんのサポートが必要です。 ~3ページ~ 障害種別と合理的配慮 (1)障害者とは 障害があるとは、継続的に日常生活や社会参加に困難をきたしている状態のことを指します。  =生活のしづらさがあるということ 障害者手帳の認定も、生活のしづらさの度合いによって基準が設けられています。 (2)障害者手帳 身体障害者手帳、療育手帳(知的障害)、精神障害者保健福祉手帳、の3種類があります。 身体障害者手帳は、視覚や聴覚、平衡機能、音声、肢体不自由、心臓などの内部障害などを認定するものです。 療育手帳は、知的機能の遅れや、適応機能の明らかな制限が生じているときに判定されます。 精神障害者保健福祉手帳は、統合失調症・適応障害などの精神疾患や、発達障害、高次脳機能障害などを認定するものです。 ~4ページ~ ここで、「合理的配慮」という考え方をご説明したいと思います。 合理的配慮とは、障害のある人から、社会の中にあるバリアを取り除くために何らかの対応を必要としているとの意思が伝えられた時に、 負担が重すぎない範囲で対応する(または対応に努める)ことです。 合理的配慮を行うためには、「障害があるからできない」と決めつけるのではなく、「何に配慮すればできるのか」と発想を転換し、 負担が重すぎない範囲で配慮できること、というのを互いに考え、障害のある人もない人も、お互いを尊重し合うことが大切です。 ~5ページ~ たとえば、具体的な配慮としては、 視覚障害や肢体不自由(車いすなど)の場合は、物の置き場所を工夫する、通路の段差を解消する。 聴覚障害の場合は、筆談やメールなどを使う、口話のときは、意味のまとまりごとに区切る。 知的障害の場合は、簡潔に、具体的に話す、一つずつ話す、相手の注意が自分に向けられているのを確認してから話す。 精神障害の場合は、信頼関係を築ける担当者を決める、「不調の兆候」を共有する。 ただし、同じ障害でもひとりひとりの状況は違うため、思い込みや決めつけはせず、本人の話や状況をよく聞いて、よく理解した上で配慮することが大切です。 ~6ページ~ 埼玉県教育委員会障害者活躍推進計画に基づく取組 埼玉県教育委員会では、障害のある教職員を含む全ての教職員が働きやすい職場づくりを進めていくため、「障害者の雇用の促進等に関する法律」に基づき、「埼玉県教育委員会障害者活躍推進計画」を策定し、取り組みを進めています。 この計画では、 ・教員や事務職員などの本採用教職員の採用 ・授業準備補助や事務補助などの短時間勤務職員の採用など、障害者の採用に関する取り組み ・車椅子用トイレ、点字機器など、施設設備面でのバリアフリーの整備 ・教職員や、児童生徒、保護者、地域の皆様の障害者理解を進める心のバリアフリーの取り組み を行うこととしています。 ~7ページ~ 埼玉県教育委員会で働く障害のある職員数 これらの取り組みの成果として、埼玉県教育委員会で働く障害のある職員は、年々増えています。 令和元年6月には397人、雇用率にして1.58%だったものが、昨年6月には、合計628人、実雇用率2.53%となりました。 この職員数には、学校の教員や事務職員だけではなく、教育委員会の事務局や、県立の博物館などの教育機関の職員も含まれていますが、 いずれにしても、児童生徒や、保護者の方、地域の皆さんが、学校で、障害のある教職員と身近に接する可能性は確実に増えています。 ~8ページ~ 学校における実例 ここで、2名の教職員の体験談を紹介します。 1人は、小学校の教員です。生まれつき聴覚障害があり、右耳は全く聞こえず、左耳は補聴器を付けてなんとか日常会話を成立させていると聞いています。 教員として働くうえでの不安や苦労もあったとのことですが、例えば、職員会議等の場面では、参加する他の教員が、発言の際、この教員のそばに来てくれるなどの配慮もあり、楽しく働くことができているそうです。 また、子供たちも障害を理解し、耳のそばで話しかけるなど、工夫してくれているとのことです。 2人目は、小学校の事務職員です。この職員は、発達障害があり、月に一度通院をしているとのことですが、職場の理解もあり、給与、福利厚生、給食、就学援助など、幅広い業務を担当し、仕事にやりがいを感じているとのことです。 このように、障害のある教職員が生き生きと働くためには、周囲の理解が不可欠ですが、一人ひとりにあった「配慮」を当たり前に考えられる職場になれば、障害のある人にもない人にとっても、働きやすい職場となり、子供たちにも良い影響を与えられるだろう、ということをご理解いただけたのではないかと思います。 ~9ページ~ まとめ 最後に、まとめとして2点、お伝えしたいと思います。 1つは、県教育委員会として、障害者雇用の推進に取り組んだ結果、教育現場で働く障害のある教職員も増え、子供たちや保護者の方が接する機会も増えているということ。 もう1つは、そうした障害のある教職員と接する子供たちや保護者のかたが、差別や偏見といった「心の障壁」なく、障害のある教職員を受け入れていただけるよう、障害というものに対する理解を深めるサポートを、皆様にぜひお願いいたします。 障害のある人とない人が、お互いを理解していくことが 「共生社会」の実現につながります。 以上で研修資料は終わりです。