3地域のみなさんに向けて 1災害時要援護者である高齢の人と障害のある人のこと 地震や風水害などの災害が発生したとき、すべての被災者が援護を必要とする状態になります。 その中でも特に、必要な情報を迅速かつ的確に把握し、災害から自らを守るために安全な場所に避難するなど、災害時において適切な防災行動をとることが特に困難な人がいます。 このような人たちを災害時要援護者といい、災害発生時には、その人の状態に応じた配慮や支援が必要になります。 具体的には、寝たきりやひとり暮らしの高齢の人、障害のある人、妊産婦、乳幼児、外国人などが挙げられます。 このマニュアルでは、そうした人たちのうち、特に日ごろから支援が必要な寝たきりやひとり暮らしの高齢の人や障害のある人を対象としています。 地域の皆さんには、こうした人たちの特徴をよく理解していただくことが大切です。 近所の人や自主防災組織の人、民生委員・児童委員、ホームヘルパー、普段から高齢の人や障害のある人に関わっているボランティアなどは、全員地域の皆さんです。 (1)高齢の人のこと ア寝たきりの人 食事、排泄、衣服の着脱などの日常生活をするうえで他人の介助が必要であり、自力で行動できず、自分の状況を伝えることが困難です。 イひとり暮らしの人 自力で行動できますが、加齢による行動の機能低下がみられたり、地域とのつながりが希薄になっている場合があります。 災害時には、すばやい避難行動が困難な場合があります。また、視覚、聴覚の衰えにより、災害情報の入手、避難が遅れるおそれがあります。 ウ認知症の人 何らかの原因により、記憶する力、考える力が失われるといった症状があります。 症状が進行すると、徘徊、強い不安などが現れます。さらには、日常生活が困難になる症状もあります。 災害時には、自分で危険を判断し行動することや、自分の状況を伝えることが困難です。 心がけたいこと 認知症の人は状況判断ができないなど、不安感を抱いています。 特に、避難により環境が変わりますので、強い不安感を抱いていることを理解しましょう。 早く早くなどとせきたてることは、いたずらな混乱と不安を招きます。認知症の人自身のペースに合わせてあげることが必要です。 論理的な思考が困難な人もいます。認知症の人がおかれている状況をまず理解することが大切です。 複数の事柄や、過去と現在、未来が入り混じったことを理解することが困難です。今現在必要なことを一つずつ簡潔に伝えることが必要です。 一度聞かれたことでも、何度も聞かれることがあります。面倒がらず、そのたびに答えるようにしましょう。 (2)障害のある人のこと ア身体に障害のある人 身体障害者 (ア)目の不自由な人 視覚障害者 全盲、弱視、見える範囲が限定されている、などがあります。 視覚による状況把握が難しく、音声や手で触れることなどで情報を得ています。 歩行の際、白杖を使う人もいます。また身体障害者補助犬を使用している人もいます。 災害時には、住み慣れた地域でも倒壊や破損により周囲の状況が一変するため、単独では安全に行動することが難しい場合があります。 心がけたいこと あいさつするときは、先に声をかけ、自分のことを知らせてください。 見え方によって援助の内容が異なるので、何が必要かを率直に聞いてください。 方角や場所を教えるときは、そこ、あちらなどのあいまいな表現は避け、相手から見て前、後ろ、左、右とか、何歩、何メートル先などと具体的に言ってください。 ガイドするときは、白杖の反対側にたって腕を貸し、半歩前を歩きます。白杖を持つ手をつかんだり、引いたり、押したりすることは恐怖心をもたらしたりするので絶対に避けます。 一緒に歩くときは、周囲を説明しながら、車道側を同じ歩調で歩き、階段では段の手前に立ち止まり、昇るか降りるかをはっきりと説明します。 椅子を勧めるときは、相手の手を背もたれに置き、位置を確認できるようにしてください。 物の位置を伝えるときは、3時の位置にコップがあります、というように、相手の手前中心を6時の位置とした時計の文字盤を描いて説明するとわかりやすくなります。 身体障害者補助犬について 目の不自由な人の目の代わりとなって歩行の安全を助けるために特別に訓練された犬です。 白又は黄色のハーネスを付けているときは、盲導犬としての役目を果たしているときです。 みだりに声をかけたり、手を出したりすることはやめましょう。 また、食べ物を与えたりしてはいけません。 (イ) 耳の不自由な人・言語の不自由な人 聴覚・言語障害者 まったく聞こえない人、聞こえにくい人、耳が不自由なため自分の言葉が確認できないので話がうまくできない人など、障害の程度は人によってさまざまです。 会話には、手話や筆談、相手の口元を見て内容を理解する、などの方法がありますが、いずれもできる人とできない人がいます。 また、小さいときから耳が不自由な人の中には、筆談も難しい場合があります。 外見からは障害がわかりにくいため、話しかけても返事をしないといった誤解をされることがあります。 音声による避難誘導の指示などが認識できず、災害発生時に適切な行動をとることが困難な場合があります。 言語障害のある人は、自分の状況を言葉で知らせることができないため、災害時に助けを求めることが困難になる場合があります。 心がけたいこと 道路を歩くとき、背後からの音が聞こえません。 一緒に歩くときは、聞こえる自分が車道側を歩きます。 窓口などで名前を呼ばれても聞こえません。 手招きなり、肩に触れるなどして呼ばれていることを教えてあげてください。 駅や乗り物内の案内放送が聞こえません。 自分から放送の内容を伝えてください。 簡単な手話は、講習会やテレビなどを活用して覚えてください。 手話ができない場合には、気軽に筆談で応じてください。 口話では、口の動きがわかるように、正面からはっきりと話してください。 盲ろう者について 視覚と聴覚の障害が重複している人です。 目からの情報も耳からの情報も制限されるので、その人に合わせたコミュニケーション方法と介助が必要です (ウ) 手足の不自由な人 肢体不自由者 腕や手指、ひじ関節などの障害、股や膝の関節などの障害、座位、立位などの姿勢を保つことが難しい障害、脳性まひなどがあります。 障害の原因は脊髄損傷、脳血管障害、事故等による切断や脳性まひなどです。 下肢に障害のある人では、常時車いすを使用している人、歩行が不安定で転倒しやすい人などもいます。 脊髄損傷の人では、体温調節が難しい人もいます。 脳性まひの人の多くは、言語障害や感覚系の障害を伴うことの多い全身性の障害のある人で、発語の障害に加え、顔の表情や手足などに不随意の運動が起こったりすることも多くあります。 自力歩行やすばやい避難行動が困難な場合があります。 心がけたいこと 車いすの人車いすの人から声をかけられたら、まず何をしてほしいのか聞くことが大切です。 話をするときは、視線を同じ高さにすることがエチケットです。 一人で手伝うことが無理な場合は、周囲の人に協力を求めましょう。 階段などで、車いすの人を運ぶときは、3〜4人がかりで呼吸を合わせて静かに持ち上げて運びます。昇るときは前向きに、降りるときは後ろ向きにすると、相手の不安感が取り除かれると言われていますが、本人の一番安心できる方法を聞くようにし てください。 急な坂を下るときにも、後ろ向きでゆっくり下るようにするのが安全です。 車いすについて 乗り降りは、フットレストを上げて行う。 移動するときは、フットレストの上に足を乗せる。 小さな段差の昇り降りは、ステッピングバーを活用し、前輪を浮かしながら行う。 脳性まひの人 話を聞く場合は、じっくりと聞き、わからないときは、筆談を利用すると共に、十分に聞き返すことが大切です。 初めのうち話の内容が理解できないことがあったとしても、じっくり聞いているうちにわかるようになります。 相手の言葉がよくわからないまま、言葉の先取りをしたりすることは避けたいものです。 (エ) 内部障害のある人 内部障害者 心臓、腎臓、呼吸器、ぼうこう・直腸、小腸、免疫の6つの機能障害を総称して内部障害といい、いずれも生命の維持に関わる重要な機能の障害です。 臓器本来の働きを補助するために通院や治療機器の装着のほか、日常生活が制限される場合があります。 内部障害のある人の中には、長期間にわたり継続的な薬物療法や酸素療法、人工透析療法などの医療が必要な人もいます。 外見では障害があることがわからないことが多いので、特別な配慮が必要です。 災害時透析医療確保マニュアルについて 県では、災害時における透析可能医療機関の情報の収集及び透析患者への提供等を迅速に行えるよう、災害時透析医療確保マニュアルをつくり、医療機関や市町村、保健所等との連携・強化に努めています。 イ知的障害のある人 知的障害者 人によって大きな差がありますが、知的な発達が遅れているため日常生活に何らかの難しさを持っている人たちです。 複雑な話を理解したり、自分の気持ちを表現するのが苦手な人もいます。 自分で危険を判断し行動することが難しく、また急激な環境の変化により精神的な動揺が見られる場合があります。 心がけたいこと 難しい言葉や言いまわしは、なるべく使わないようにしましょう。 難しい内容は、やさしく、わかりやすく伝えるようにします。 子どもっぽい言い方をする必要はありません。 初めての人や初めての場所では、戸惑うものです。 一緒に行きましょう、ここへどうぞなどと声をかけてください。 状況の変化にも声をかけて、こうするといい、とアドバイスしてください。 ルールを理解できない人もいます。 ルール違反については、見過ごさず、その場でわかりやすく説明してください。 混雑した駅や交通量の多い場所で、危ないと感じたら、安全な場所に誘導してください。 言葉で理解できない場合は、優しく手を引いて誘導してください。知的障害の人の中には、てんかんのある人もいます。 ウ精神障害のある人 精神障害者 統合失調症、そううつ病、神経症などの精神疾患により、日常生活や社会生活上、困難や不自由のある人です。 薬を飲んで症状をコントロールすることができます。しかし、人によっては、人づきあいが苦手、疲れやすい、気配りがしにくい、といった生活上の支障がある場合があります。 外見からはわかりにくい面があります。 精神障害に対する偏見や無理解から、病気のことを知られたくないと思っている人もいます。 災害発生時には精神的動揺が激しくなる場合がありますが、多くは、危険を判断し、行動することができます。 心がけたいこと はっきりとわかりやすく、繰り返し伝えます。そのときに必要なことを一つに絞り、具体的に伝えることが必要です。 手順の説明は、一度にせず、段階的に伝えることが必要です。 適当にとか、状況に合わせて自分で考えてなど、あいまいな表現は混乱のもとです。 相手に合わせた言葉づかいも大切です。見下したり、よそよそしい表現は失礼になりますので、気を付けてください。 継続して薬を服用する必要がある人もいます。 てんかんの人について てんかんは、脳にある神経細胞を流れる微弱な電流が一時的に起こす過剰な流れによって、脳波異常とけいれん発作をもたらす脳の障害です。 薬による治療が主です。 睡眠不足、ストレス、過労などがてんかん発作を誘発しやすい因子といわれていますので、てんかんのある人の中には、災害時の困難の中で睡眠不足や疲労などで発作が増加する人がいます。 いつもどおり薬を服用しているか聞いてください。 てんかん発作が起きている間、意識がなくなったり、手足や全身がけいれんを起こしたりします。 てんかん発作が始まると途中で止めることは困難ですので、自然に止まるのを待ちます。 てんかん発作の際には、次のことに注意しましょう。 あわてない。 発作は数秒から数分で終わります。 15分以上発作が続かない限り、受診する必要はありません。 周囲の危険な物をどかし、自然に回復するのを待ってください。体を揺すったりせず、衣類やベルトなどをゆるめてください。 口の中に物を入れないでください。 発作が終わったら、ケガや失禁がないか確認してください。 エ発達障害のある人 発達障害者 (ア) 自閉症の人 3歳くらいまでに現れ、脳の中枢神経系の機能障害が原因と考えられています。 大きく次のような3つの特徴があります。 1対人関係の発達の偏りと遅れ 相手の表情を読みとることが苦手でまわりの人とうまく付き合えない。 2コミュニケーションの発達の偏りと遅れ 発語がないか、あってもオウム返しや独り言が多く、言葉をコミュニケーションの手段としてうまく使えない。 3興味や関心が狭く特定のものにこだわること 複数の情報を同時に処理することが苦手で、また、ある動作を反復したりする傾向がある。 また、軽く触れてもたたかれたと感じる、赤ちゃんの泣き声を嫌う、屋内の反響音が苦手、強い偏食がある、香水等特定の香りを嫌がるなど、感覚が過敏です。 状況に合わせて行動することが困難なため、自ら避難することやまわりの人の声かけに応じて行動することができないことがあります。 不安や緊張から、かみつく、叫ぶ、走り回る、自傷行為などのパニックを起こすことがあります。 一見障害があるということがわからず、また、症状は一人一人違います。 特に知的障害が伴わないものを高機能自閉症、さらに言葉の遅れもないものをアスペルガー症候群といっています。 言葉が達者で、不自由なく会話ができるように感じられるので、何でも理解していると思われがちです。 しかし自閉症の特徴を持ち合わせている人たちですので、相手の気持ちや暗黙の了解などの常識的なことの理解ができていない場合が多く、そのために、その場にそぐわない行動や発言をしてしまい、周囲から誤解を受けることが多くあります。 心がけたいこと ことばより視覚的に伝えた方がわかりやすい人が多くいます。 中には視覚的な情報処理が困難な人もいます。次に記したことばでの伝達もお願いします。 ことばでの合図のコツ 短く、ゆっくりと、低い声で、小さな声で、具体的で、肯定形で、が基本です。 肯定的な声かけの例 走り回っている子どもに、走らないで、は誤り。歩こうね、などが正しい。 近寄っていくと離れていきます。 決して人を嫌いなわけではありません。 自閉症の人たちは、自分なりの空間を持っている人が多いです。 無理に近づくのではなく、しばらくソッと様子を見て待ってみてください。 ただし、危険な場所などでは手をつなぐようにしてください。 その時もいきなり手をつなぐのではなく手をつなごうね、と優しく声を掛けてからの方が、安心して手をつなぐと思います。 急に大きな声を掛けられたり、体を触られるのを嫌がります。 聴覚過敏・触覚過敏があり、本人にとって耐えられない苦痛がある場合もあります。 他害、叩く、噛みつく、飛びかかる、自傷、自分の身体を傷つける、などパニックを起こしたとき。 周囲に危険なものがないように。 命に関わることでない限り、力ずくで押さえたりしないでください。余計にひどくなります。 気持ちを切り替えるために一人になれる空間を用意してあげてください。 安心グッズ、好きなオモチャ、本、好きな歌など、を提示して気分転換を図ってあげてください。 そして気持ちが落ち着くのを待ってあげてください。 パニックは いつもと違う環境や自分の身に何が起こっているのか理解できないゆえの不安、混乱、それから、見通しが立たないということや、周囲の障害特性を無視した対応が原因で起こるものです。 一番困っているのは自閉症の人たちです。どうかその事を理解して下さい。 体調不良を訴えることがなかなかできない人たちです。 そのことが原因でパニックになる人もいます。 汗のかき具合、顔色、肌の状態などにも注意を払ってください。 気圧・気温・湿度の変化などに過敏です。 てんかん発作を持っている人も多くいます。 社会のルールを逸脱したときは毅然とした態度で注意してください。 障害があっても守らなければならないことがあります。 生きていくために守らねばならないことはきちんと教えてあげてください。 これらのことを自分で説明することが難しい人たちです。 サポートブックを積極的に活用して下さい。 (イ) 学習障害(LD)のある人 全般的な知的発達に遅れはないのに、聞く、話す、読む、書く、計算するなどの能力のうち、特定のものの習得と使用が著しく困難な人です。 脳の中枢神経系の機能障害が原因と考えられています。 読み書きが苦手な人には、紙に書かれたものに読みがなを付けたり、言葉でも説明したりすることが必要です。 聞くことに難のある人には、肝心の説明を聞きもらしたりすることがあるため、個別の説明が必要になることがあります。 (ウ) 注意欠陥多動性障害(ADHD)のある人 年齢や発達に不釣合いな注意力、衝動性、多動性を特徴とする行動の障害で、社会的な活動などに支障をきたすものです。 脳の中枢神経系の機能障害が原因と考えられていて、7歳前に現れ、その状態が続きます。 多動の激しい人は、注意しても静止させることが難しいことがあります。 衝動性の激しい人は、ささいなことでけんかになりやすいことが多くあります。 細かいことを気にしなかったり忘れやすい人は、スケジュール管理が苦手です。 オ難病の人 難病患者 明確な定義はありませんが、その範囲は次のように整理されています。 原因不明、治療方法未確立で、かつ後遺症を残す恐れが少なくない病気。 経過が慢性にわたり、経済的な問題のみならず介護などに著しく人手を要するため、家族の負担が重く、また、精神的にも負担の大きい病気。 難病の人の中にも、長期間にわたり継続的な薬物療法や酸素療法、人工透析療法などの医療が必要な人がいます。 外見ではわからない場合もありますが、特別な配慮が必要です。 2普段からできること 高齢の人や障害のある人といっても、寝たきりの人、認知症の人、目の不自由な人、耳の不自由な人、内部障害のある人、知的障害のある人、精神障害のある人など、みな違います し、また同じ障害であっても人によって様々です。 地域の皆さんが普段からできることなどを紹介していますが、必ずこうしなければならないというものではありません。 また、障害程度が違っていたり、複数の障害がある場合などには、その方法が正しいとは限らないこともありますので、一つの例ということで理解するようにしてください。 また、緊急時においては、障害のある人の話を聞きながら、その場にふさわしいと思われる方法で行動してください。 高齢の人や障害のある人の家庭の安全対策に協力しましょう。 例 家具や照明器具などの固定、ブロック塀の修繕、家の周りの整備など 目の不自由な人の家で、家具の配置を変更したときなどは、必ず本人に伝えましょう。 障害のある人のお手伝いをするときは、黙っていきなりからだに触れたり、車いすを押したりするのではなく、まず、声をかけて、何をしてほしいのかを聞くことも大切です。 災害のときにお互いが助け合う際に、とても頼りになるのは、地域の中での普段からつきあいや交流によるつながりです。 近くに住む高齢の人や障害のある人と、日ごろから積極的に交流をはかり、日ごろの備えに協力しましょう。 このことが災害時の安否確認、情報提供、避難誘導などへの協力につながります。 ただし、個人のプライバシーには、十分に注意しましょう。 近くに住む高齢の人や障害のある人に防災訓練への参加を呼びかけ、一緒に訓練を受けるとともに、高齢の人や障害のある人に対する避難誘導方法、情報伝達方法などについて理解を深めましょう。 障害のある人もない人も、皆、地域で生活している一人として、まちのすべての活動、防災訓練も含む、に一緒に参加するなど、お互いを特別視したりしない自然のつきあいをすすめたいものです。 避難経路に放置自転車などがないか、車いすが通れるか、避難準備情報などが、きちんと伝わるかなど、高齢の人や障害のある人の視点に立った環境づくりに心がけましょう。 自主防災組織の普段の活動例 組織体制の整備 災害発生時の安否確認、避難誘導、被災者の救出・救護、消火活動、炊き出しなどの役割分担を明確にしておく。 緊急連絡網を作成するとともに、防災のための資材や機材を整備しておく。 防災訓練への参加、実施 市町村の防災訓練に積極的に参加する。また、地域の中で市町村や消防本部の指導の下に訓練を実施する。 家庭内の安全対策への支援 家具の転倒防止措置、家屋周辺の整備、備蓄品の確認など、家庭における安全対策の支援を行う。 地域の把握 避難場所、避難経路、危険か所、防災倉庫などを確認しておく。 地域防災マップの作成など。 家庭の把握 個人情報に十分配慮しつつ、各家庭の状況、特に災害時要援護者の状況を把握する。 把握した情報の適切な保管・管理を徹底する。 市町村における災害時要援護者情報の把握方法 同意方式 防災・福祉部局、自主防災組織、福祉関係者等が住民一人一人と接する機会をとらえて災害時要援護者本人に働きかけ、必要な情報を把握する方式。 手上げ方式 制度について周知した上で、自ら災害時要援護者の登録を希望した者について、避難支援プランを策定する方式。 共有情報方式 市町村において、平時から福祉関係部局が保有する災害時要援護者情報を防災関係部局も共有する方式。 3災害のときの行動 高齢の人や障害のある人が近所に住んでいるとき 職場や学校、福祉施設などにいるとき 安否の確認をする。その人と一緒にいる家族などの安否も確認する。 火の始末やガスの元栓、電気のブレーカーの確認などに協力する。 非常時持出品などの確認に協力する。 災害の状況や避難準備情報も含めた避難の必要性などを連絡する。 避難が必要な場合には、安全な場所への誘導に協力する。 目の不自由な人などの避難誘導を支援する。 耳の不自由な人や言語の不自由な人などから電話の代理を依頼されたら、進んで協力する。相手からの返事などは、筆記して渡す。 高齢の人や足の不自由な人などすばやい避難行動が困難な人の場合、緊急のときは、状況によっては、おぶって安全な場所まで避難する。 精神障害のある人などが強い不安を訴えたり症状の悪化がみられる場合には、きちんと薬を飲んでいるかどうか確認する。 対応に困った場合は通院先医療機関又は保健所、保健センター等専門の人に相談する。 発達障害のある人などがパニックを起こしたときには、家族の説明も聞きながら誘導に協力するなど、落ち着いた対応をする。 高齢の人や障害のある人が外出しているとき 声をかけて周囲の状況を伝え、必要な場合は、安全な場所へ誘導する。 ブロック塀や電線などから離れ、頑丈なビルや広場に誘導する。 デパートなどでは、倒れやすいショーケースなどから身を離し、柱や壁際に誘導する。 地下街では、壁面や太い柱に誘導する。 海岸では、高台に誘導する。 避難のときに人手が足りないときは、まわりの人に応援を依頼する。 耳の不自由な人や言語の不自由な人などから電話の代理を依頼されたら、進んで協力する。 相手の返事などは、筆記して渡す。 知的障害のある人の場合、言葉が理解されないときは、手を引いて、安全な行動ができるよう誘導する。 精神障害のある人などが、災害時の不安から症状の悪化傾向が見られた場合には、まずは本人の訴えをよく聞く。 内部障害のある人、難病の人、精神障害のある人、高齢の人などから、依頼があったり、体調や精神症状の変化がみてとれたときは、緊急連絡先を聞き、医療機関や保健所、保健センター、家族などへの連絡に協力する。