総務県民生活委員会視察報告
調査日
令和8年5月28日(木曜日)~29日(金曜日)
調査先
(1)玉野競輪場(玉野市)
(2)岡山芸術創造劇場ハレノワ(岡山市)
調査の概要
(1)玉野競輪場
(県営競技事業の運営について)
【調査目的】
■本県の課題
- 県営競技施設の老朽化が進む中、安定的な収益確保と競技参加の拡大を図るため、地域との連携や民間活力を積極的に取り入れた再整備の検討が必要である。
■視察先の概要と特色
- 玉野競輪場は、DBO方式を活用して老朽化施設を宿泊施設併設の複合施設へ再生し、民間活力により収益性と公共性の両立を実現した先進的な施設である。
- 同施設は再整備に当たり、競輪場に加えて宿泊施設及び選手宿舎を一体的に整備し、複合型施設として観光資源化を進めるとともに、来場者の滞在時間の延伸や周辺地域の活性化にも寄与している。
- 地域コミュニティの場としての機能や防災拠点としての機能も備えており、地元イベントへの協力や災害時の施設開放など、地域と連携した取組を進めている。
【調査内容】
■聞き取り事項
- DBO方式の採用により、運営・維持管理を含めた民間ノウハウを取り込み、機能性向上や支払額の平準化を実現した。また、固定の委託料の下で売上増が収益増につながりやすい、市は少人数体制で管理できるなどのメリットもあった。
- 再整備費は総額約50億円であり、民間(株式会社チャリ・ロト)の負担額はホテル兼宿舎棟の建設費として約30億円、市の負担額はメインスタンド及びバンクの整備費として約20億円であった。
- ホテル「KEIRIN HOTEL 10」の運営はコロナ禍で低稼働から始まったが、その後に単月黒字化し、現在は年間黒字基調で稼働率も50%台後半を維持している。宿泊需要は、競輪目的よりも観光目的が多くを占め、これまで素通りだった観光客の滞在にも寄与している。
- 当初、ミッドナイト競走は、一般客を入場させず実施するものと定められていることから、宿泊客に客室のカーテン等の開放を禁止するなどの制約を課していたが、現在は誓約事項の遵守という運用下で、無観客ルールと併設施設の快適な利用の両立を図っている。
■質疑応答
Q:こども向け施策を進める際、どのような配慮をしているのか。また、若年層のギャンブル依存などへの懸念もあるが、何か対応をしているのか。
A:租税教室では注意喚起を添え、こども向けイベントはレース日を避け、エリアも分けている。また、車券購入者への啓発・相談窓口の周知も強化している。
Q:DBO方式において、自治体の収益と赤字リスクをどのように整理しているのか。
A:委託料は年5.5億円で、収益は最低保証3億円を設定している。未達分は事業者が補填し、超過分は市7割・事業者3割で配分する。
Q:再整備により、若い世代など新規顧客の拡大につながったのか。観戦しない宿泊客が多い点も含めてどう見ているのか。
A:直接売上げに直結するより、イベント等で玉野競輪を知ってもらう種まきの段階である。将来的な新規顧客増につなげる考えである。
(2)岡山芸術創造劇場ハレノワ
(文化芸術の振興について)
【調査目的】
■本県の課題
- 県民が文化芸術に触れる機会を広げ、本県の多彩な文化資源を県内外へ発信していくため、創造・鑑賞・交流を支える質の高い文化芸術環境の整備が必要である。
■視察先の概要と特色
- 岡山芸術創造劇場ハレノワは、老朽化した市民会館と市民文化ホールの移転・統合により新たに整備された創造型劇場であり、創造・鑑賞・交流を一体化した機能を備え、街のにぎわい創出と文化芸術振興を同時に実現している。
- 同施設は、大・中・小の3劇場を備える中四国最大級の文化拠点であり、「魅せる・集う・つくる」をコンセプトにした創造型劇場である。
- 「ハレノワ創造プログラム」として、高齢者演劇集団「さいたまゴールド・シアター」の作品をリメイクして上演するなど、高齢者をはじめ幅広い世代が活躍できる取組を進めている。
【調査内容】
■聞き取り事項
- 同劇場は、再整備の枠組みの中で、まちづくりの核である文化拠点として位置付けられ、通過点になりがちな都市の状況を人が集まる構造へと変化させることで、中心市街地のにぎわい創出を図る役割を担っている。
- 令和4年12月28日に竣工、令和5年9月1日に開館した同劇場は、多様な文化活動に対応する三つの劇場に加え、練習室、アートサロン、ギャラリーを備えており、市民協働による作品創作や交流を促進している。
- 話題性のある公演を招へいして注目を集めることや、市民とともに作品を生み出す創造事業を両輪で回すことを運営方針に掲げ、鑑賞と創造を同時に進め、認知と来場の拡大を図っている。
- 交流事業と創造事業を組み合わせ、関与人口を広げるため、こどもや高齢者を含む参加型事業を重視し、体験機会や多様な層の参加を促す事業を展開している。
■質疑応答
Q:周辺のまちづくりの観点で、商店街と連携した事例など、具体的な施策やプロモーションの実施についてはどのようなものがあるのか。
A:開館前後に商店街を使ったイベントやパレードを行い、マルシェや広報での協力も得てきた。商店街にも様々な事情がある中、適宜連携を行っている。
Q:主に夏休みに実施するこども向け企画は、どういう狙いで設計しているのか。
A:コロナ禍で体験機会が減ったため、劇場で身体表現や自由創作を行うことができるイベントを企画した。親子での参加だけでなく、こどもを地元アーティストと関与させる自由な場も設けている。
Q:指定管理期間が10年と長いが、職員数や雇用体制はどうなっているのか。
A:事業費や人件費を含めて事業を継続実施することや、専門職が必要なことから、10年とした。劇場約50人、他施設約30人の全体で約80人の体制である。

岡山芸術創造劇場ハレノワにて