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ページ番号:141351

掲載日:2023年5月23日

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総務県民生活委員会視察報告

期日

 平成30年8月2日(木曜日)~3日(金曜日)

調査先 

(1) 長野市オリンピック記念アリーナ(長野市)
(2) 長野信用金庫本店(長野市)

調査の概要

(1) 長野市オリンピック記念アリーナ

(五輪開催後の取組について)

【調査目的】

 長野市オリンピック記念アリーナは、1998年長野冬季オリンピック・パラリンピック競技大会の会場として建設された多目的施設である。長野市が所有し、(株)エムウェーブが指定管理者として運営管理を行っている。五輪開催後も、国際スケート連盟主催のワールドカップ・世界距離別選手権大会、全日本クラスの競技会やオリンピック日本代表選考会などのスピードスケート競技の重要な競技会が数多く開催されている。そのほか、コンサート、大相撲の地方巡業及び大規模展示会などの各種イベントも開催されている。
 五輪開催後の取組について調査し、今後の取組の参考とする。

【調査内容】

 長野市オリンピック記念アリーナは、1998年に開催された長野冬季オリンピックのスピードスケート競技会場、同パラリンピックの開閉会式及びアイススレッジ競技の会場として建設された多目的施設である。信州の山並みを表現した屋根がM字型を波のように連続させていることから、「エムウェーブ」の愛称がつけられている。長野市が所有し、市、長野県と民間が出資する第三セクターの(株)エムウェーブが指定管理者として運営管理を行っている。
 同アリーナには、国際スケート連盟公認で日本初の屋内400m標準ダブルトラックのスケートリンクがあり、世界を代表する高速リンクとして注目を集めている。常に最高の滑走コンディションを作り出すため、コンピュータによるリンク水質改良機や氷温管理システムが設けられ、専門スタッフの“目”で透明度の高い・美しい氷質を保っている。そのほか、東西2つの可動席により多種多様なフロア形状が可能な観客席、迫力ある大画面を映し出す映像装置、世界最大級の木造吊り屋根構造がもたらす音響効果など、多くの機能を備えている。また、信州産のカラマツの集成材を使用した独創的なデザインが評価され、2015年には、卓越したランドマークとなる建物に贈られるIAKS(国際余暇スポーツ施設協会)のオールタイムアワーズを受賞しているほか、過去にシドニーオペラハウスなども受賞して世界的に権威のある賞として知られる英国構造技術者協会制定の特別賞を1997年に日本の建築構造物として初めて受賞している。
 五輪開催後も、国際スケート連盟主催のワールドカップ・世界距離別選手権大会、全日本クラスの競技会やオリンピック日本代表選考会などのスピードスケート競技の重要な競技会が数多く開催されている。また、ナショナルトレーニングセンターの競技別強化拠点の指定を受け、日本オリンピック委員会の選手強化の支援をしている。そのほか、スケート教室、製氷車乗車体験、コンサート、大相撲の地方巡業及び自動車や農機具の大規模展示会等の各種イベントなども開催されている。現在では、冬は世界を代表するアイススケートリンクとして、夏は多彩なエンターテイメント会場として、“2つの顔”でスポーツ・音楽・文化・イベントなど、様々なシーンに対応できる長野県内最大級のアリーナ空間となっている。
 なお、長野市では、長野冬季オリンピック・パラリンピック競技大会による収益金約45億円を原資に「長野オリンピック記念基金(現:ながの夢応援基金)」を設立し、冬季スポーツ選手の育成・強化や指導者の育成・確保などの事業を継続しているとのことである。
 概要説明の後、委員から活発な質問が行われた。その中で、「オリンピック・パラリンピックのレガシーとして継続しているソフト事業は何か」との質問に対し、「市内の小中学校が特定の参加国について学び、交流を進める一校一国運動については、全てではないものの多くの学校で実施され、今もその活動は続いており、子供たちの国際理解教育に寄与している。なお、この運動は長野以降のオリンピック等にも継承され、東京にもつながっている」との回答があった。質疑後は、同アリーナ内の各施設を視察した。
 今回視察先を調査できたことは、本県における五輪開催後の取組を検討する上で、大変参考となるものであった。

総県_長野市オリンピック記念アリーナにて 

長野市オリンピック記念アリーナにて

 

 (2) 長野信用金庫本店

(庁舎の再生可能エネルギーの導入について)

【調査目的】

 長野信用金庫は、長野県の北信地域において38本支店を展開している金融機関である。平成15年6月にISO14001を取得するなど、環境保全活動に早くから取り組んでいる。平成27年度には、冷暖房設備の更新に当たり、本店敷地を流れる地下水を活用した、全国的にも先駆けとなる地中熱利用ヒートポンプを導入した。さらに、太陽熱集熱器の設置のほか、木質バイオマス発電所の電力を使用することで、本店・本部敷地内のCO2排出ゼロを実現するなど、再生可能エネルギーを活用した施設管理を行っている。
 同金庫の取組を視察し、本県の庁舎の再生可能エネルギー導入についての参考とする。

【調査内容】

 長野信用金庫は、「健全経営に徹し、豊かな地域社会づくりに貢献する」を経営理念に掲げる、預金高が長野県内第3位の金融機関である。長野市に本店を置き、県内北信地域において38本支店を展開している。
 環境保全活動には早期から取り組んでおり、平成15年3月、信用金庫業界では早い時期に「環境方針」を策定した。同年6月には本部や本店営業部を対象にISO14001を取得している。
 こうした環境保全の取組を進める中、同金庫本店では、冷暖房設備の空調機が設置後約35年経過し、メンテナンスコストの増大とCO2の過剰排出が課題となっていた。そこで、平成27年度から、本店敷地内を流れる地下水を活用し、全国的にも先駆けとなる地中熱利用ヒートポンプシステムのオープンルーフ方式による冷暖房設備を導入した。一年を通してほぼ一定の温度である地中熱は、夏は外気温よりも低く、冬は逆に高くなる。この温度差を活用し、効率的な冷暖房を行うことが地中熱利用の仕組みである。地中熱利用方式の1つであるこのオープンルーフ方式は、井戸から揚水した地下水をヒートポンプで熱交換させるもので、井戸の水質が非常に良く、地盤沈下等の地下水障害のない場合に適用できる。熱交換の効率が良い地下水を使用するため、掘削工事も少なく、コスト面でメリットがある。
 同金庫では、この設備の導入に際し、熱源設備導入に係る経費約2億8千万円の約半分を国の補助金で充当したとのことである。ヒートポンプの設備はアメリカ社製で、175kWのもの4台で700kWと52kWのもの2台で104kWの2種類を備える。設置会社は、同金庫の取引先でもある地元の(株)HOXOH(ホクソー)で、専用の受変電設備は(株)トーネック(中部電力の子会社)である。なお、現在では、全ての冷暖房を地中熱で賄い年間約1,000万円の経費削減の成果を上げているとのことである。
 また、本店の屋上に太陽熱集熱器により温水を作る給湯システムを設置し、常時約60℃の温水給湯を可能としているほか、平成28年5月からは、地元企業「いいづなお山の発電所」の木質バイオマス発電所の電力を使用することで、本店・本部敷地内のCO2発生ゼロを実現している。
 概要説明の後、委員から活発な質問が行われた。その中で、「埼玉県の施設でも、冷暖房設備の更新の際に同じ方式で地中熱を利用することは可能なのか」との質問に対し、「地中熱は全国的にも住宅・ビルなどの冷暖房設備に活用されてきているが、地域差もあると聞いている。長野県では地中熱利用の導入ポテンシャルが高く、その上、本金庫の場合、元々井戸の水質が良かったため、この方式の導入ができた。同じ方式が可能かは、井戸を9m掘削し、地下水等の状態を調べてみないと分からないと聞いている」との回答があった。質疑後は、施設内の視察を行った。
 今回視察先を調査できたことは、本県における庁舎の再生可能エネルギーの導入を検討する上で、大変参考となるものであった。

お問い合わせ

議会事務局 議事課 委員会担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

ファックス:048-830-4922

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