ページ番号:141355

掲載日:2023年5月23日

ここから本文です。

環境農林委員会視察報告

期日

 平成30年7月23日(月曜日)~24日(火曜日)

調査先

(1) 川上村役場(長野県川上村)
(2) サントリー天然水南アルプス白州工場(北杜市)

調査の概要

(1) 川上村役場

地域の気候を生かした農産物の栽培について)

【調査目的】

 長野県は、レタスの出荷量が全国1位であり、平成27年度のデータによると全国の約34%を占めている。同県は農地の約8割が標高500m以上の高地に位置し、冷涼な気候が高原野菜であるレタス栽培に適しているほか、昼夜の寒暖の差が大きいため、本来の甘みとうまみが凝縮された良質なレタスが収穫できる。同村では、約600戸のレタス農家が約150億円の販売額を誇り、1戸当たりにすると2,500万円となる。3月の播種から10月の収穫終了まで、1,800haでの二期作を行っており、この努力が販売額となって表れている。また、高収入が望める農業を営めるため、同村では農業後継者の定着率が高く、耕作放棄地がほとんどない。
  同村を視察することにより、地域の気候を生かした農作物の栽培の取組についての参考とする。

【調査内容】

 長野県の東南端に位置し、群馬、埼玉、山梨の3県と隣接する川上村は、高原野菜の一大産地である。戦前の同村の暮らしは貧しく、収穫される米は僅か村民の2か月分のみという状況だった。標高が1,000mを超える同村は、長野県で最も不便な陸の孤島と呼ばれていた。この厳しい状況の原因は、同村の気候にある。年間平均気温は7.5度、冬場の最低気温はマイナス25度にもなり、降霜の無い月は7、8月のみで作物の生育条件が過酷である。同村が現在の高原野菜の産地に生まれ変わった契機は、この過酷な気候を逆手に取った夏出し野菜の栽培であった。昭和25年の朝鮮戦争をきっかけとして、当時の駐留米軍兵士に供給する夏野菜の産地を探していた米軍が、高温多湿な日本にあって夏場でも冷温な気候に着目したことにより、同村でレタス栽培が始まった。栽培を開始した当初は、開墾、栽培技術の伝授、輸送から消費まで全てに米軍が関与していた。また、当初は広大な土地を各集落が管理していたが、その後、国の補助事業により1,500haを開墾し、村内の全戸に平等に配分することで、全ての家が土地持ちの農家になり、一戸当たりの耕作面積は2.5haとなった。全戸に平等に土地を配分することで、村、農家、農協が同じ目標を持って栽培に取り組むことができたとのことであった。現在では、平均年商2,500万円を達成し、同村はレタス出荷量で全国1位の産地に変貌を遂げている。同村におけるレタス栽培の収穫時期は6月中旬から10月中旬だが、この間、農家は夜明け前の午前2時から照明をつけて収穫、出荷作業を行っている。朝の冷涼な空気の中で収穫した野菜を、真空予冷施設で素早く冷却し、保冷トラックで出荷するまで保冷庫で温度管理を行っている。
  また、地域の気候を生かしたレタス栽培で成果を上げ、近年はレタスの輸出にも取り組んでいる反面、農閑期に農家が体を動かさなくなることによる健康問題が出ているなど、今後の課題についての説明もあった。
  概要説明の後、JAの集荷場に移動し保冷庫などの施設について、解説を受けながら見学した。
  今回視察先を調査できたことは、地域の気候を生かした農産物の栽培に関する取組を推進する上で大変参考となるものであった。

環農_川上村役場にて 

川上村役場にて

(2) サントリー天然水南アルプス白州工場

環境負荷低減に向けた取組について)

【調査目的】

 サントリー天然水南アルプス白州工場は、サントリープロダクツ(株)が運営する工場である。同工場では、環境への負荷低減を考え、生産棟の屋根一面に飲料業界最大規模の発電能力約490kWの太陽光発電パネルを設置した。発電された電気は、民間企業初のリチウムイオン電池搭載の電気バスや工場見学の通路に使用されている。
 また、大切な経営基盤であり、あらゆる生命の源である水資源を次の世代に引き継ぐため、同社は「水と生きる」を社会との約束に掲げ、各地で森林整備や水育活動等を実践している。
 同社の取組を視察することで、本県の環境負荷低減に係る施策の参考とする。

【調査内容】

 サントリー天然水南アルプス白州工場は、西に甲斐駒ヶ岳、北に八ヶ岳という雄大な山々に囲まれた土地にある。北杜市の急峻な山の中、標高740mに立地している。北杜市に工場を建設することとなった経緯として、ウイスキーづくりにおいて重要となる良質な水、自然環境にこだわり、1973年にサントリー第2の蒸留所として白州蒸留所を開設したことに始まる。社長自ら全国を歩いて工場建設地を探し、この自然豊かな北杜市に建設することとなった。
 山々に降り注いだ雨や雪は、森の大地に深くしみこみ、ミネラル豊富な花崗岩の岩盤をゆっくり通り、およそ20年以上の歳月をかけ自然に磨かれて、おいしい天然水になる。ウイスキーを仕込んでいる、このおいしい水を商品として提供すべくミネラルウオーター工場を1996年に稼働させた。さらに、2015年には新たなラインでフレーバー付きの水やスパークリングウォーターの製造も開始している。
 同工場は、生産棟の屋根に太陽光発電パネルを設置し、約490kWを発電して同工場内の生産設備などの電力として活用している。北杜市白州町は日照時間が日本一とも言われており、夏場ではフル稼働する同工場で使用する電力の最大20%を賄うことができる。また、同社では2005年から自社でペットボトルも製造している。550mlボトルでは、11.3gという国産最軽量を達成するとともに、植物由来素材を30%使用することで、従来品と比較して1本当たりで石油由来原料の使用量を約4割削減している。さらに、同工場の水使用量の削減の取組として、可能な限り循環利用しており、1ℓの水を製造するのに1.4ℓの水を使っている。お茶やコーヒー等の同社の他の工場では4~5倍、ビール工場では7倍の水が必要とされているため、これと比較すると、同工場がいかに効率良く水を使用しているかが分かる。このように、同工場では、環境への負担を低減するために省資源、省エネルギーを追究した様々な取組を行っており、同社のコーポレートメッセージである「水と生きる」を体感することができた。
 また、同社では、将来にわたって水を大切にしていくために、水と水を育む森の大切さを子供たちに伝える水育活動を実施している。具体的には、「森と水の学校」としてサントリー天然水工場がある森で、小学校3年生から6年生とその保護者を対象に自然体験プログラムなどを実施し、水の大切さを伝えている。これらの活動に、昨年までで14.5万人が参加しているとのことであった。概要説明の際には、同工場で製造された各種の水を試飲し、委員からは活発な質問が行われた。
 また、リチウムイオン電池搭載の電気バスに乗車した後、同社の環境への取組の解説を受けながら工場見学を行った。
 今回視察先を調査できたことは、本県の環境負荷低減に向けた取組を推進する上で、大変参考となるものであった。

お問い合わせ

議会事務局 議事課 委員会担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

ファックス:048-830-4922

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?