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掲載日:2023年1月18日

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福祉保健医療委員会視察報告

期日

令和4年11月9日(水曜日)~10日(木曜日)

調査先

(1) アペロ・ヒューレ(名古屋市)
(2) 藤田医科大学地域包括ケア中核センター(豊明市)

調査の概要

(1) アペロ・ヒューレ

(障害者の自立に向けた支援について)

【調査目的】

 本県においては、障害者の自立支援に向けた障害者の工賃向上の取組が課題となっている。
 アペロ・ヒューレでは、「障がい者の賃金向上」を目的に掲げ、植物やインテリア、昆虫などの生体の販売を行い、多くの障害者に就労の機会を提供し、開店以来5年連続県内最低賃金以上の工賃を達成している。また、職業選択の自由を実現すべく、「好きを仕事にしよう!」をコンセプトに、様々な仕事の創出に取り組んでいる。
 当該取組を調査することにより、本県における障害者の自立に向けた支援の取組の参考とする。

【調査内容】

 一般社団法人日本福祉協議機構は障害者の就労する事業所としてではなく、障害者という先入観を持たれない普通の店舗としての環境づくりを意識して、平成29年にアペロ・ヒューレを開店した。
 同店では、開店以来、愛知県の最低賃金の向上に合わせ、事業に工夫を重ねながら工賃の見直しを行っており、令和4年11月1日時点で時間額1,000円以上の工賃を達成している。また、販売する植物や昆虫などの管理に加えて、販促ツールの作成、WEBショップの運営、オリジナル商品の作成、事務サポート等の店舗に関連する多様な仕事があり、就労者自身のやりたいこと、スキルに対する気付きの機会を提供し、次の就労につなげていくことを目指している。
 今回の視察では、同店での取組に加え、同機構が取り組む障害者の自立に向けた支援についての説明を受けた。地域農家との連携による規格外野菜を利用したグラノーラの生産販売、中山間地域での駆除害獣を活用したジビエレストランの取組など、地域の声を受けて、障害者就労や多様な仕事の創出につなげているとの説明があった。
 このほか、職業選択の理解促進、地域企業とのつながり創出を目的とした「ジョブズカレッジ」、不登校の方々にもeスポーツを通じて、デジタル分野の仕事の気付きを提供するeスポーツ協会「edges」の取組についても説明を受けた。
 概要説明後、委員からは活発な質疑が行われた。その中で、「事業を展開している中で、工賃向上や仕事の多様性など障害者の自立支援に向けた取組のニーズについてどう対応しているのか」との質問に対し、「取組についてPRしているつもりだが、まだまだニーズがあると感じており、業界としてこうした障害者の自立支援に向けた取組が広まってほしいと考えている。福祉の特徴として、施設内や支援ネットワーク内だけで対応しようという傾向があると感じており、企業とのタイアップ、協会設立等を通じて、そうした考えを崩していきたい」との回答があった。
 今回、視察先を調査できたことは、本県における障害者の自立に向けた支援に大変参考となるものであった。

視察の画像

アペロ・ヒューレにて

(2) 藤田医科大学地域包括ケア中核センター

(地域包括ケアを担う人材の育成について)

【調査目的】

 本県においては、全ての団塊世代が後期高齢者となる2025年に向けて、地域包括ケアシステムの深化が課題となっている。
 藤田医科大学地域包括ケア中核センターでは、平成25年の開設以来、地域包括ケアの取組を推進し、自治体や関連団体、地域の医療・介護・福祉専門職等の人材教育を支援している。
 同センターの取組について調査することにより、本県における地域包括ケアを担う人材育成の取組の参考とする。

【調査内容】

 藤田医科大学は、平成25年2月に全国で初めて学校法人による介護保険事業認可を受け、藤田医科大学地域包括ケア中核センターを開設するなど、医療・介護の連携を進め、地域包括ケアの取組を推進してきた。
 同センターでは、大学近隣に位置する高齢化の進む豊明団地において、豊明市、UR都市機構とともに3者が継続して協力していく地域包括ケアモデルの構築を図るため、平成27年4月、団地内に「ふじたまちかど保健室」を開室し、個別相談への対応や健康に関するミニ講座などを行っている。空室のある団地の高層階では、1年間に延べ40時間の地域貢献活動の実施を条件に学生が割安で居住できるようにし、延べ460名以上の学生が地域の活動に参加する取組を行っており、この取組を通じて学生たちが住民の生の声を把握できる仕組みとして継続している。また、豊明市の地域包括ケアモデルでは、介護保険サービスありきでなく、地域資源を活用した介護予防の観点を重視しており、多職種合同ケアカンファレンスを毎月実施し、行動変容のための学びや地域資源の共有・創出、政策への展開につなげ、右肩上がりだった介護給付の低下に結び付けている。
 こうした教育資源やノウハウを生かし、令和元年7月に全国初の自治体向け教育支援施設である「地域包括ケア人材教育支援センター」を同センター内に開設し、地域包括ケアを担当する自治体職員等に対して、大学内外の講師による6か月間の長期教育研修を行っており、これまでに52自治体が研修を修了している。本年度の研修では、今後の計画策定に向け、地域包括ケアの多様な関係者が共通の目標に向かうためのロジックモデル作成を主要な目的としている。
 概要説明後、委員からは活発な質疑が行われた。その中で、「こうした地域包括ケアモデルの運用には、大学の存在が大きいと考えるがどうか」との質問に対し、「事例を通じた学びのため、人的体制を整備し、調整を行っていく事務局機能は大学が担うべきと考えるが、地域の担い手である様々な団体の活動に向けた意識変容が必要であり、大学は構成員の一つである。大学病院ではつかみきれない、住民ニーズや課題について、ふじたまちかど保健室やケアカンファレンスのような仕組みを通じて、正確に把握していくことが重要である」との回答があった。
 今回、視察先を調査できたことは、本県における地域包括ケアを担う人材の育成に大変参考となるものであった。

お問い合わせ

議会事務局 議事課 委員会担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

ファックス:048-830-4922

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