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ページ番号:228594

掲載日:2023年1月18日

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産業労働企業委員会視察報告

期日

令和4年11月21日(月曜日)~22日(火曜日)

調査先

(1) 岐阜かかみがはら航空宇宙博物館(各務原市)
(2) 岐阜県立岐阜工業高等学校(岐阜県笠松町)

調査の概要

(1) 岐阜かかみがはら航空宇宙博物館

(観光資源の利用促進について)

【調査目的】

 本県においては、多彩な観光資源を活用した魅力発信が課題となっている。
 岐阜かかみがはら航空宇宙博物館は、地域の基幹産業である航空産業と連携した、国内唯一である航空・宇宙専門の博物館であり、平成30年のリニューアル後から本年5月の間に来館者100万人を達成するなど地域の重要な観光資源となっている。
 当該取組を調査することにより、県の基幹産業と連携した地域の魅力発信などについて学び、本県における観光産業振興の参考とする。

【調査内容】

 岐阜県の航空産業は、現存する日本最古の飛行場である「陸軍各務原飛行場」(現在の航空自衛隊岐阜基地)が大正6年に開設されたことから始まる。大正11年には、川崎造船飛行部各務原分工場(現在の川崎重工業株式会社岐阜工場)が開設されるなど、本日に至るまで、各務原市は航空機産業と飛行実験の街として日本の航空機開発の重要な拠点であり続けている。
 岐阜かかみがはら航空宇宙博物館(愛称:空宙博)は、航空自衛隊岐阜基地に隣接して設置された国内唯一の航空と宇宙の専門博物館である。平成30年のリニューアルに際して、これまで各務原市の単独運営だったものを岐阜県との共同運営としている。同博物館は、「先人の空・宇宙への憧れ、挑戦の歴史を伝え、子どもたちにチャレンジスピリットと感動を与える博物館」をコンセプトに整備されており、国産の航空機や実験機、航空・宇宙開発関連資料などの収集展示、航空宇宙産業を担う人材育成を目的として運営されている。
 展示は1階の航空エリア、2階の宇宙エリアで構成されており、唯一現存する旧陸軍戦闘機「飛燕」の実機をはじめ、実機が34機、原寸大模型が11機と国内最多の展示機体数を誇っている。
 また、ソフト事業として企画展や人材育成の取組も行っている。企画展は航空宇宙分野の最新の話題、動向に合わせ年4回程度実施しており、令和2年度にははやぶさ2の帰還に合わせた展示を開催するなどしている。また、人材育成については同市のNPO法人と連携した体験教室の実施、同博物館のアンバサダーである宇宙飛行士の山崎直子氏監修による小学校高学年を対象とした特別講座を開講するなどしている。加えて、教育プログラムとして学習指導要領に関連付けたオリジナル教材を開発し、校外学習で小中学生が来館した際に活用するなどしてる。
 さらに、貴重な資料の貸与による博物館の魅力向上、人的交流を通じた運営能力の向上のためアメリカのスミソニアン航空宇宙博物館やフランスのル・ブルジェ等との国際交流、国際協力も進めているとのことであった。
 概要説明後、委員からは活発な質疑が行われた。その中で、「岐阜県の人口は200万人ほどであり、またコロナ禍にありながら、来館者100万人を達成されたとのことだが、集客に際してどのような工夫をしているのか」との質問に対し、「SNSを毎日更新する情報発信、子供の休日に合わせた企画展の開催、改めて家族などで訪問していただけるよう校外学習等の際に子供たちにPRするなどしている」との回答があった。また、質疑終了後、同博物館内を視察した。
 今回の視察先は、本県における観光資源の利用促進に大変参考となるものであった。

(2) 岐阜県立岐阜工業高等学校

(産業界のニーズに対応できる人材育成について)

【調査目的】

 本県においては、地域経済に大きな影響を与えることから、製造業など県の基幹産業における人材確保が課題となっている。
 岐阜県立岐阜工業高等学校では、県の基幹産業と連動した航空機械工学科を設置し、実践的なカリキュラムを実施して、産業界のニーズに対応できる人材を育成している。
 同校の取組について調査することにより、本県における産業界のニーズに対応できる人材育成の参考とする。

【調査内容】

 航空宇宙産業は岐阜県の基幹産業の一つであり、愛知県等と共同して、国際戦略総合特区を活用しアジア最大の航空宇宙産業クラスターの形成を目指すなど積極的な取組を続けている。また、岐阜県の航空宇宙産業は、川崎重工業株式会社などをはじめとする航空宇宙産業の事業所が47か所で全国1位、従業者数は7,696人で全国3位、製造品出荷額が2,345億円で全国4位を占めるなど、高い集積を誇っている(令和2年工業統計調査)。
 成長産業とされる航空宇宙分野であるが、精度要求が高く、技能の習熟が難しいこともあり、次世代を担う技術者確保が課題となっている。そこで、同県では航空宇宙産業に係る優れた人材・担い手の育成・確保に向けて小中学生、高校生、大学生、就業者と切れ目のない人材育成を展開しており、その中で高校生を対象に航空宇宙産業への就業意欲の向上、質の高い若手人材の育成などの役割を担うのが岐阜工業高等学校である。
 同校は、岐阜県羽島郡笠松町に所在する県立の工業科の専門高校である。大正15年に創立された伝統校であり、これまでに40,000人近くの卒業生を輩出している。同校では、全国的にも珍しい航空機械工学科を設置しており、航空機製造の作業工程に必要な専門的知識・技術を習得し、航空宇宙産業の発展を支える技術者となる生徒の育成を目指している。また、航空宇宙産業教育として全国で唯一、スーパー・プロフェッショナル・ハイスクールに指定され、校内には実践的な実習が可能な施設「モノづくり教育プラザ」を設置するなど、基幹産業を担う人材を育成・確保する拠点として整備されている。

 モノづくり教育プラザは、岐阜県商工労働部と連携し、次世代の航空宇宙産業を担う技術者育成のために整備した実習施設である。航空機の設計、部品製造、組立、検査などの一連の行程を学習できる環境が構築されており、マシニングセンタや空圧工具、万能試験機などを備えるほか、小型航空機の展示場を設けての構造実習も可能となっている。
 概要説明後、委員からは活発な質疑が行われた。その中で、「近年は社会で活躍する女性が増えているが、工業高校での状況はどうか」との質問に対し、「現状として、工業高校は男子生徒の割合が高い。しかし、製造業は人材不足に危機感を持っており、男女問わず採用したい企業は増えてきている。また、ロボットなどの普及により省力化が進み、女性を受け入れる環境が整いつつある。学校としても女子生徒の入学を進めていきたいと考えている」との回答があった。また、質疑終了後、モノづくり教育プラザやそこで実習を行う生徒の様子を視察した。
 今回、視察先を調査できたことは、本県における産業界のニーズに対応できる人材育成に大変参考となるものであった。

視察の画像

岐阜県立岐阜工業高等学校にて

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