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掲載日:2019年8月1日

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産業労働企業委員会視察報告

期日

平成30年6月5日(火曜日)~7日(木曜日)

調査先

(1)   美濃和紙あかりアート館(美濃市)
(2)   岐阜かかみがはら航空宇宙博物館(各務原市)
(3)   愛知県庁[産業立地通商課](名古屋市)
(4)   三菱重工名古屋航空宇宙システム製作所小牧南工場(愛知県豊山町)

調査の概要

(1)美濃和紙あかりアート館

(観光振興について

【調査目的】

   美濃市は、和紙産業のまちとして1,300年の歴史があり、地場産業である「本美濃紙」はユネスコ無形文化遺産として登録されている。美濃和紙あかりアート館は、美濃和紙を使った作品の展示とショップを併設しており、和紙製品の新規展開を支援するとともに観光客の誘致に努めている。
   本県においても、観光振興の取組を行っていることから、美濃市の取組を調査し、今後の施策推進の参考とする。

【調査内容】

   日本のほぼ中央部に位置する美濃市は、江戸時代に藩主金森氏が小倉山城を築城し、長良川に湊を築き繁栄させている。和紙産業のまちとして1,300年の歴史があり、美濃和紙の中でも最上級とされている「本美濃紙」は、本県の小川町及び東秩父村の「細川紙」、島根県の「石州半紙」とともに、ユネスコ無形文化遺産として登録されている。この和紙問屋として栄えてきた町家は、威風堂々とした独特の雰囲気があり「うだつの上がる町並み」として重要伝統的建造物群保存地区に選定され、現在は、造り酒屋・史料館・カフェとして保存されており、多くの観光客が訪れている。
   また、市内を流れる「曽代用水」は、平成27年に世界かんがい施設遺産として登録されるなど、観光資源は多い。
   同市の現在の人口は2万900人で、この10年間で1割減となっており、減少は続いている。一方、観光入込客は、近年は約120万人で推移している。このような状況の中、観光産業の振興の舵取りは重要となってきており、まずは立寄り観光地として誘客を図るとともに、中濃地域の郡上市、関市などの近隣市町と連携し、地域一帯での観光客の増加を図っているとのことであった。
   美濃和紙による観光振興として、24回の開催を数える美濃和紙あかりアート展は「第6回ふるさとイベント大賞」の総務大臣賞受賞をきっかけに、10万人の観光客が訪れる秋の一大イベントとなっており、美濃和紙あかりアート館には、歴代受賞作品や当日の写真が展示されている。また、平成29年に美濃和紙の里会館をリニューアルし、美濃和紙、飛騨木工家具、美濃焼・タイルの連携によるライフスタイルの提案を行っている。さらに、世界への情報発信として、ロンドン、パリ、ニューヨークでの展示、トップセールスによるPRや和紙技術の保存・継承のための長期研修生への月10万円の奨励金制度の設立などの取組を行っている。
   概要説明を受けた後、近隣市町との連携による観光入込者数の増加策や美濃和紙を使った観光振興策などについて、委員から活発な質疑が行われ、その後、同施設を見学した。
   今回の視察は、本県の小川町及び東秩父村で生産されている細川紙の発展や観光資源となる歴史的町並みの保存の取組を推進していく上で、大変参考となるものであった。

美濃和紙あかりアート館 

美濃和紙あかりアート館にて

(2)岐阜かかみがはら航空宇宙博物館

(先端産業の育成・支援について

【調査目的】

   岐阜県では、航空宇宙産業への参入や競争力強化を促進するため、補助金などの経済的支援や技術支援、人材育成等、総合的な支援を行っており、岐阜かかみがはら航空宇宙博物館(愛称:博(そらはく))では、その拠点としての取組を行っている。
   本県においても、先端産業の育成・支援に取り組んでいることから、同館の取組を調査し、今後の施策推進の参考とする。

【調査内容】

   岐阜県の航空産業は、現存する日本最古の飛行場である「陸軍各務原飛行場」が大正6年6月に完成し、翌7年に所沢の航空第二大隊が移転したことから始まる。現在は、航空自衛隊の飛行開発実験団が所在している岐阜基地や、航空機製造工場である川崎重工業岐阜工場がある。平成28年の統計では、航空宇宙産業の事業所が51か所、従業者数は7,941人で全国2位、製造品出荷額は2,514億円で全国3位となっている。
   産業面の支援として、同県は愛知県と共に国際戦略総合特区の「アジアNo.1航空宇宙産業クラスター形成特区」として国から指定され、工場立地に係る緑地規制の特例などの規制緩和や借入れの際の利子補給の対象となる金融支援、特別償却などの税制上の支援措置などが受けられることとなった。また、県では「航空宇宙産業の製造品出荷額倍増プロジェクト」を実施しており、航空宇宙産業への参入や競争力強化のため、航空宇宙産業コーディネーターの配置による相談業務の支援、新技術の開発や承認取得のための財政支援、販路拡大や海外展開のため展示会などへの出展支援など、補助金や技術支援などのきめ細やかな施策を総合的に展開している。
   人材育成による支援として、平成28年11月に「岐阜県成長産業人材育成センター」を設置し、中小企業を対象にした岐阜県航空宇宙産業人材育成セミナーなどの開催により、就業者のスキルアップを支援している。また、航空宇宙産業教育として、全国で唯一、スーパー・プロフェッショナル・ハイスクールに指定された県立岐阜工業高等学校に、平成29年4月に「モノづくり教育プラザ」を設置し、質の高い若手人材の育成を図っている。さらに、平成30年3月には「岐阜かかみがはら航空宇宙博物館」をリニューアルオープンした。1階に航空、2階に宇宙の展示があり、米国スミソニアン航空宇宙博物館やNASA等と連携し、展示物の貸借、展示・企画手法、調査研究をはじめとした国際交流、国際協力も進めるとともに、子供向けのイベントを実施しており、航空宇宙産業の魅力や夢を伝える拠点としての取組を行っているとのことであった。
   概要説明を受けた後、同県の航空宇宙産業への取組などについて委員から活発な質疑が行われ、その後、同博物館内を視察した。
   今回の視察は、本県の所沢航空記念公園の運営や先端産業の育成・県内集積を促進していく上で、大変参考となるものであった。

(3)愛知県庁

(産業団地の整備と企業誘致について)

【調査目的】

   愛知県では、産業団地の整備を積極的に進め、国家戦略特区による規制緩和や、地域未来促進法による地域経済牽引事業計画承認企業への支援により先端産業の企業誘致を進めている。
   本県においても、産業団地の整備と企業誘致に取り組んでいることから、同県の取組を調査し、今後の施策推進の参考とする。

【調査内容】

   愛知県は、日本のモノづくり拠点であり、平成27年の製造品出荷額は46兆円で昭和52年から39年連続で全国1位となっている。現在、東京・名古屋間のリニア中央新幹線の開業を見据えながら、道路網の整備、航空・港湾の機能強化なども進めており、次世代産業の育成と産業団地の整備による産業集積で新たなイノベーションを喚起している。また、それを支える人材の育成に関しては、国家検定である「技能検定」の合格者数が近年連続で日本一となっている。
   同県では、平成27年8月に国家戦略特区(近未来技術実証特区)の指定を受け「自動走行実証プロジェクト」を推進しており、平成29年9月には全国初の「あいち自動運転ワンストップセンター」を設置するなど、実証実験を先導的に実施し、次世代自動車のビジネスモデルの創出に向けた取組を行っている。現在、豊田・岡崎地区において研究開発施設用地を造成しており、自動車産業の頭脳となる研究開発拠点を整備することで、技術革新を支える研究開発機能の集約強化を図っている。また、平成23年12月に岐阜県と共に国際戦略総合特区の「アジアNo.1航空宇宙産業クラスター形成特区」として国から指定され、研究開発から設計、製造、保守管理までの一貫体制を構築し、欧米先進地域と肩を並べる航空機産業の拠点形成を目指している。さらに、平成29年9月に国から地域未来促進法の基本計画の同意があり、地域経済牽引事業計画承認企業(現在16事例)への補助金や相談の支援により先端産業の企業誘致を進めている。今後、次世代成長産業としてロボット、先端医療機器の開発、水素・新エネルギー関連産業の育成、振興に取り組んでいくとのことである。
   また、国内初の公設民営の専攻科である県立愛知総合工科高等学校による生産現場のリーダー人材の育成、研究機関「知の拠点あいち」の設置による付加価値の高いモノづくり支援、県企業庁を企業立地の窓口とした産業団地の整備・販売・支援を一括実施するなど、ソフト・ハード両面から産業を支えている。
   概要説明を受けた後、企業誘致、先端産業の集積・育成などについて活発な質疑が行われた。
   今回の視察は、本県の産業団地の整備と企業誘致を促進していく上で、大変参考となるものであった。

(4)三菱重工名古屋航空宇宙システム製作所小牧南工場

(航空産業の集積と技術革新の取組について)

【調査目的】

   三菱重工名古屋航空宇宙システム製作所小牧南工場は、国産初のジェット旅客機MRJ(Mitsubishi Regional Jet)の最終組立と飛行試験を行っており、最終組立の見学が可能であり、最先端の技術を体感できる。
   本県においても、航空産業の集積と技術革新の支援に取り組んでいることから、集積された同工場を調査し、今後の施策推進の参考とする。

【調査内容】

   三菱重工名古屋航空宇宙システム製作所は、大正9年に三菱内燃機製造(株)の一工場として発足し、終戦までに航空機1万8,000機を製作した。昭和27年に小牧南工場を建設して航空機事業を再開し、平成元年に現名称に改称した。平成22年に国産初のジェット旅客機MRJの製作をスタートし、航空機、宇宙機器などを生産している。
   小牧南工場は、愛知県の航空産業の集積地区となっている名古屋空港に隣接し、その規模は、敷地面積331,700平方メートル、建物延面積116,200平方メートル、社員数は約1,500人となっており、航空機機体の部分組立、最終組立、艤装、飛行整備、飛行試験を行っている。その中心となるのはMRJの飛行試験と最終組立であり、現在、9機目の機体を製作中である。また、既に製作された4機がアメリカにて商業運航に必要な型式取得のため飛行試験を続けており、2020年半ばの納入を目指している。専用の格納庫は複数の機体が同時に収納できる大きさで、量産時には最大月10機の生産が可能とのことである。
   MRJは環境性能に優れた機体であり、最新鋭エンジンの搭載などにより、燃費性能を従来比20%以上向上しているほか、排出ガスの大幅削減で最新の排出ガス基準ICAO CAEP/8を十分にクリア、騒音面積の従来比40%削減により、将来施行されるICAO CAEP Chapter 14の騒音基準を大幅に下回っている。
   また、同工場には、MRJミュージアムが併設されており、最終組立をしているMRJの実機が見学できるほか、製造テストや設計検証に使用した主翼や垂直尾翼の試作品の実物、エンジンの実物大模型、実際に使用されている部品などを展示している。また、原寸大の機首の模型にフライトデッキとキャビンを設置し、実機に設置されているシートに座れるなど、最先端の技術やコンセプトを体感できる。
   同工場で概要説明を受けながら、視察を実施した。途中、MRJの国産の部品調達状況など活発な質疑がなされた。
   今回の視察は、本県の航空産業の集積に係る施策を実施していく上で、大変参考となるものであった。

三菱重工名古屋航空宇宙システム製作所小牧南工場 

三菱重工名古屋航空宇宙システム製作所小牧南工場にて

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議会事務局 議事課 委員会担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

ファックス:048-830-4922

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