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ページ番号:245537

掲載日:2023年11月27日

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県土都市整備委員会視察報告

期日

令和5年8月30日(水曜日)~31日(木曜日)

調査先

(1)千曲川河川事務所(長野県長野市)

(2)飯綱山公園(スタラス小諸)(長野県小諸市)

調査の概要

(1)千曲川河川事務所

(流域治水対策について)

【調査目的】

 本県では、近年の記録的な大雨により、河川で越水するなど水害対策が課題となっている。
 千曲川流域では、令和元年東日本台風で甚大な被害が発生したことから、「信濃川水系緊急治水対策プロジェクト」として、国・県・市町村が連携して河川整備によるハード対策と流域における対策や地域連携によるソフト対策を一体的に実施している。
 同取組を調査することにより、本県における流域治水の取組の参考とする。

【調査内容】

 千曲川は日本最長河川である信濃川のうち、長野県を流れる部分の呼称である。全長は、214キロメートル。流域人口は、中心都市である長野市や松本市を含む150万人で、県内人口の約70パーセントが同流域に集中している。
 同河川は、盆地と山間を交互に流れ下っており、川幅が大きく変化するため、狭窄区間上流の水位が上昇しやすい傾向があり、氾濫被害が生じやすい特徴がある。
観測史上最大の流量を記録した令和元年東日本台風では、長野市穂保地区で約70メートル区間の堤防が決壊したほか、上田市諏訪形地区で上田電鉄別所線千曲川橋梁が被災し、長期間運航不能となるなど直轄管理区間で25か所が被災、各地で甚大な被害が発生した。
 この被害に対し、河川整備によるハード対策と、地域連携によるソフト対策を一体的かつ緊急的に推進するため、2回にわたり緊急治水対策会議を開催した。令和2年1月に「信濃川水系緊急治水対策プロジェクト」を策定、段階的かつ緊急的に対策を講じ、被災した25か所については、令和3年6月までに復旧を完了した。
プロジェクトの主な取組として、流域全体での上下流バランスや、氾濫域のリスク等を総合的に勘案しつつ、水位低下を目指す河道掘削や上流の遊水地整備、狭窄部によるせき上げ影響区間等の堤防強化を、令和9年度までのロードマップに基づき進めている。
 また、地域単位でのタイムラインの策定や、地域住民や関係者と連携した河川防災ステーションの整備を実施していくなど、まちづくり・ソフト対策も推進しているとのことであった。
 概要説明の後、委員からは活発な質疑が行われた。その中で、「被害が発生した際に、住民の『逃げ遅れゼロ』を目指しているとの説明があったが、どのようなことに意識して取り組んでいるのか」との質問に対し、「タイムラインに基づく避難行動が非常に重要である。地域住民の意識が高まるよう、住民全体のワークショップにより地域単位のタイムラインを作成した。また、流域全体のタイムラインも導入しており、自治体等の関係機関と危機感を共有し、警戒ステージに応じた防災行動計画を整理・作成して、早期の対応を実施できる体制を構築している」との回答があった。
 質疑後は、穂保地区の堤防決壊箇所や堤防強化事業の整備箇所、河道掘削箇所等を視察しながら、地形的な特徴を生かした取組について説明を受けた。
今回、視察先を調査できたことは、本県における流域治水対策に大変参考となるものであった。

県土都市整備委員会の議員らが並んだ写真

千曲川河川事務所にて

(2)飯綱山公園(スタラス小諸)

(公共事業におけるPark-PFI等の民間活用について

【調査目的】

 本県では、スポーツ科学拠点施設と運動公園の一体的な整備を実施するため、Park-PFIによる手法を導入するなど、公園施設等の効率的な運営管理及び魅力度向上を図るための施設整備などにおいて、民間活力の導入を検討する必要がある。
 (株)Greve.t(グレーべ)は、Park-PFIを活用し飯綱山公園内に複合施設「スタラス小諸」を令和5年3月にオープンさせた。同施設では、ワイナリーショップ、レストラン、地元農産物の販売所が整備されたほか、「農業で人と人をつなぎ、ふれあいを生み出す」というコンセプトの実現のため、農業体験ができる体験型公園施設として、利用者と地域住民が交流できる場を創出している。
 同社のPark-PFIを活用した施設の整備、公園の魅力度向上に関する取組などを調査することにより、今後の施策推進の参考とする。

【調査内容】

 飯綱山公園は、平成12年に開園した小諸市の総合公園であり、小諸市高原美術館や動物愛護センター、ドッグランが併設されている。飯綱山の頂上部という見晴らしのよい立地に加え、インターより車で約5分と、市外の来街者も訪れやすいアクセス性など、良好なロケーションが特徴であるが、飲食施設等の集客施設がないため、十分な集客・活用がなされていない状況であった。
 小諸市は、令和3年度に、現在の景観や既存施設を活かした民間活力導入により、更なる魅力向上や利用者の増加につなげることを目的とした収益施設の整備を目指し、長野県内で初めてPark-PFIを活用し、事業者を公募した。
 運営事業者となった株式会社Greve.tは、ワイン用のブドウや農作物の生産販売も手掛けている。また、小諸市内に点在する耕作放棄地を、改めて耕し、ブドウ畑へ蘇らせる取組を行っている。
 同社は、地元産ワインを醸造するワイナリーの新設を検討していたことが契機となり、同事業に応募した。農業と食を通して、地域内外・老若男女問わず触れ合えるレクリエーション空間の創出、公園全体及び周辺地域の活性化を図ることを目的とし、複合施設「スタラス小諸」をオープンさせた。施設内には、ワイナリーショップ、レストラン、地元農産物の販売所が整備され、日々、多くの方で賑わっているとのことであった。
 また、公園内にはキッズパークや農業体験スペースが整備されたほか、夏祭りや工事の廃材を利用した工作ワークショップなどのイベントを毎月開催し、子供からお年寄りまで、あらゆる人々が集うことのできる取組を推進しているとのことであった。
 概要説明の後、委員からは活発な質疑が行われた。その中で、「開業後、順調に事業が進んでいるとの説明があったが、行政と連携した同事業にメリットを感じた点はあったか」との質問に対し、「小諸市は民間の感覚に近く、地域を活性化させたいという想いが強く感じられた。こちらのコンセプトを十分に理解いただき、信頼関係を築きながら事業を進めることができた。また、全戸配布される広報誌などでもPRいただき、地元の集客には、大きな効果があったと感じる」との回答があった。質疑後は、同社が整備したワイナリーショップやレストランなどの各施設を見学した。
 今回、視察先を調査できたことは、本県におけるPark-PFI等による民間活力の導入の推進に大変参考となるものであった。

 

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郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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