文教委員会視察報告
調査日
令和8年6月4日(木曜日)~5日(金曜日)
調査先
(1)ことばの教室(大林)(豊田市)
(2)名古屋市立山吹小学校(名古屋市)
調査の概要
(1)ことばの教室(大林)
(外国人児童・生徒に対する日本語初期学習支援について)
【調査目的】
■本県の課題
- 近年、日本語を話せない外国人児童・生徒の増加に伴い、教育現場の負担が増加しているため、担任の指導時間の確保や学校の負担軽減などが求められている。
■視察先の概要と特色
- 豊田市は自動車関連産業の発展に伴い多くの外国人が移り住み、教育現場では外国人児童・生徒の日本語によるコミュニケーション能力不足や教育現場の負担増加が課題となっている。
- 市内三つの小学校と一つの中学校内に「ことばの教室」を設置し、日本語が十分に話せない児童・生徒を対象に日本語初期学習支援を実施している。
- 児童・生徒が3か月程度在籍し学校生活に必要な日本語を学び、日本の学校に円滑に編入できるように支援している。
- 日本語だけでなく挨拶や学校のルールなど、日常生活に欠かせない生活習慣を教えることで、学校生活への適応を総合的にサポートしている。
【調査内容】
■聞き取り事項
- 令和8年5月1日時点の調査では、同市の小中学校に通う外国人児童・生徒数は1,443人で、調査開始以来過去最多となった。近年、外国人児童・生徒の多国籍化と散在化が進行している。
- 円滑に市内の小中学校に編入できるよう、学校生活で使う基本的な日本語の習得に加え、日本の学校文化に慣れるため、総合的な学習の時間や給食、掃除などの活動の練習を行っている。「ことばの教室」に通う児童・生徒の保護者にも日本の学校文化に慣れてもらうように説明を行っている。
- 小学生は入室後5週目以降、中学生は入室後3週目以降、週に1回在籍校に登校し、学校生活に慣れるよう取り組んでいる。
- 「ことばの教室」では、自分の伝えたいことを伝える姿勢を育てること、人の話を聞く姿勢を育てること、学校生活を休まず楽しんで通うことを大切に指導している。
- 「ことばの教室」以外にも、各学校に日本語教育適応学級担当教員、学校巡回指導員による日本語学習支援や外国人児童生徒等サポートセンターなどを通じて、保護者や教員への支援を総合的に行っている。
■質疑応答
Q:「ことばの教室」の在籍期間を経過した後も外国人児童・生徒への支援をしているのか。
A:各学校に派遣されている日本語指導員が継続して支援するとともに、編入後も「ことばの教室」の職員が様子を見に行くなど、在籍校に復帰後の支援を行っている。
Q:「ことばの教室」は最大何か国の児童・生徒を同時に受け入れることができるのか。
A:母語をなるべく使用せず、日本語を使用して指導するため何か国の児童・生徒でも受け入れることができる。
Q:「ことばの教室」の成果について具体的に設定しているものはあるのか。
A:成果指標として「日本語教育を受けて目標を達成することができたか」を設定している。令和7年度の達成率は小学生が85%程度、中学生が90%程度であり、少しずつ成果が出てきている。

ことばの教室(大林)にて
(2)名古屋市立山吹小学校
(自由進度学習について)
【調査目的】
■本県の課題
- ICTなどの技術革新や価値観の多様化などにより、社会が劇的に変化する中、こどもたち一人一人の個性を生かすとともに、その可能性を最大限に伸ばすための変革が求められている。
■視察先の概要と特色
- 名古屋市教育委員会が「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実を推進するプロジェクト「ナゴヤ・スクール・イノベーション事業」の実践校である同校は、令和3年度から自由進度学習である「山吹セレクトタイム」に取り組んでいる。
- 異学年の探究学習である「ふれあい活動」も実践しており、学年の枠を超えた交流を通じて、多様な視点に触れる機会を創出している。
- 個人の学習状況の可視化や、自分の考えをまとめる際にICTやデジタルツールを活用しており、個人の状況に応じた対応を行えるよう取り組んでいる。
【調査内容】
■聞き取り事項
- 同市では、学びの方針として「ナゴヤ学びのコンパス」を定め、「子ども中心の学び」を理念に掲げている。この理念に基づき、同校では「自律して学び続ける子ども」をテーマに校内研究を進めている。
- 「山吹セレクトタイム」は、「自律して学び続ける子どもたち」の育成を目指して実践している。こどもたちの主体性を育むとともに、得意なことを伸ばし、苦手なことは自分のペースでじっくりと学べるようにすることを狙いとしている。
- 単元の目標や各時間のゴール、学習内容を記載した「単元進度表」と、1週間の学習計画を示す「週計画表」を自ら作成し、自己選択・自己決定に基づいて主体的に学習を進めている。
- 単元の導入時には一斉授業を行い、単元のゴールを確認するとともに、既習事項や日常生活との関連を意識させることで、こどもたちの学習意欲を高めている。
- こどもたち同士で意見交換を行ったり、振り返りを共有したりする場を設けるなど、協働的な学びが実現できるよう工夫している。
■質疑応答
Q:自身で勉強を進められるこどもと進められないこども、積極的に質問をするこどもとそうではないこどもがいる。学力の差は出ないのか。
A:こどもへの声掛けが基本にはなるが、担任が一人一人の性格や個性を把握してサポートしていく。一斉授業と比較するとこどもたちにすぐ声を掛けることができるので、学力の差は出にくいと考える。
Q:「山吹セレクトタイム」によりカリキュラムを最後まで達成できるのか。
A:単元導入時は一斉授業を行い、その後自身で学習を進めていく。単元によっては最後にまとめを行い、効率よく進めることができている。
Q:授業は担任の教師が一人で行うものか。一人の場合、負担は大きくないのか。
A:原則は一人である。「山吹セレクトタイム」を進めていくと、こども同士で学びあう協働的な学びも生まれていくため、徐々に担任の負担は減っていくと考えられる。