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掲載日:2023年11月27日

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公社事業対策特別委員会視察報告

期日

令和5年9月11日(月曜日)~ 12日(火曜日)

調査先

(1)株式会社もりおかパークマネジメント(岩手県盛岡市)

(2)株式会社オガール(岩手県紫波郡紫波町)

調査の概要

(1)株式会社もりおかパークマネジメント

(出資法人における経営改善の取組について)

【調査目的】

 盛岡市では、レジャー施設が集積する岩山エリアの再整備のため、令和元年10月に「岩山エリア公民連携基本計画」を策定し、盛岡市動物公園をリードプロジェクトとして選考した。公民連携による経営改善を目指し、令和2年2月に市と市内企業等が出資する株式会社もりおかパークマネジメントを設立、同動物公園の運営管理を行っている。
 本年4月にリニューアルオープンした盛岡市動物公園ZOOMOは、“人、動物、環境(生態系)の健康は相互に関連していて一つである”という考え方を理念に掲げ、野生生物の保全のみならず、自然環境の保全、人の福祉、動物の福祉に資する事業を展開している。岩山の立地や自然環境を活用し、工夫を凝らした展示方法や設計がされており、来園者数の増加につながっている。また、ふるさと納税やクラウドファンディング等による財源確保など、様々な経営改善の取組を実施している。
 同法人の取組を視察することにより、本県出資法人における経営改善の取組の参考とする。

【調査内容】

 盛岡市動物公園は、盛岡市が出資する財団法人盛岡市動物公園公社が管理運営団体となって、平成元年4月に開園した。当初約26万人だった年間来園者は、施設の老朽化や盛岡広域圏の人口減少等により約15万人にまで減少した。また、市が負担する指定管理料等は、令和元年度時点の年間約2億6千万円から、2040年以降は約3億2千万円まで増加する見通しとなった。そこで市は、令和元年10月に「盛岡市動物公園再生事業計画」を策定し、公民連携による経営改善を目指すこととした。
 令和2年2月、新たな動物公園の運営及び岩山エリアの事業開発等を目的として、市が49.5%出資する株式会社もりおかパークマネジメントを設立し、令和2年4月、盛岡市動物公園ZOOMOとして再スタートした。その後、大規模な改修工事を経て、令和5年4月20日にリニューアルオープンした。来園者数は、年間目標20万人のところ、開園から約2か月で10万人が訪れているとのことである。
 同法人が再生事業において最初に実施したのは、どのような価値を市民や来園者に提供できるかという事業の理念を明確化することである。考えを共有して意見を出し合える環境を作ることも重視したという。運営に当たっては、情報発信とコミュニティの形成が重要と考え、市民と職員によるワークショップの実施や、工事途中の園内を見せるツアーを毎月実施するなど、顔の見える関係を作っている。また、動物の治療や死というネガティブなことも社会的価値があるとして、できる限り全てを公表する方針に変更した。
 ふるさと納税やクラウドファンディング、通販サイトの活用なども、特定の目的に対して活用するという明確なサインを出すことで、市民等からの支援の場を広げている。土産店の商品は、地元企業等と連携したオリジナル商品が多くを占める。SNS等を活用して売上げを伸ばしており、開園から2か月ほどで、リニューアル前の売上の1.5倍である3千万円を達成した。このような経営改善の取組により、市の指定管理料等は2億6千万円から1億円に圧縮されている。
 概要説明後、委員からは、公民連携を進める上での課題や今後の事業展開などについて活発な質問が行われた。また、概要説明の前後には、リニューアルオープンにおけるコンセプトや展示の工夫点について詳細な説明を受けながら園内を見学した。
 今回視察先を調査できたことは、本県出資法人における経営改善の取組を推進するために大変参考となるものであった。

公社事業対策特別委員会の議員らが並んでいる写真

株式会社もりおかパークマネジメントにて

(2)株式会社オガール

(出資法人における公民連携の取組について)

【調査目的】

 紫波町は、JR紫波中央駅前の町有地を中心とした都市整備を図るため、平成21年3月に紫波町公民連携基本計画を策定し、紫波中央駅前都市整備事業(オガールプロジェクト)を開始した。多様な公民連携手法(PPP)を用いながら、財政負担を最小限に抑え、公共施設整備と民間施設等の立地によるまちづくりを進めている。
 本県出資法人について、厳しい財政状況における課題解決のためには、多様な主体との連携が必要である。同法人の取組や施設を視察することにより、本県出資法人における公民連携の取組についての参考とする。

【調査内容】

 紫波町は、平成10年3月に開業したJR紫波中央駅を町の活性化につなげるため、駅前の10.7ヘクタールの土地を28億5千万円で取得したが、財政難等により約10年間低未利用遊休地として放置されていた。
 そこで、平成19年4月に東洋大学と協定を結び、公民連携(PPP)手法による町有地の活用について可能性調査を実施した。平成21年3月にオガールプロジェクトを開始し、紫波町や地元事業者が出資する第三セクター「オガール紫波株式会社」を設立して、整備や運営等を一体的に進めていくこととした。
 同プロジェクトは、「まちづくりとは、不動産の価値の向上である」という考えを基本に進められている。消費活動を目的としない訪問者を増やすことで、飲食店等の付帯サービスが発生し、エリアに活気が生まれ、不動産の価値上昇につながるというものである。フットボールセンターや図書館、役場庁舎などの設置は、この考えに基づくものである。
 プロジェクトを代表する施設「オガールプラザ」は、図書館や子育て応援センターなどの公共施設と、町の農畜産物等を販売する紫波マルシェなどの民間収益施設からなる官民複合施設で、平成24年にオープンした。その後、平成26年には日本初のバレーボール専用コートが入る民間複合施設のオガールベース、平成27年には紫波町役場庁舎、平成28年には官民複合施設のオガールセンターがオープンした。
 各施設でPPP手法は異なっており、例えば、オガールプラザの設置に当たっては、第三セクターとは別に特別目的会社「オガールプラザ株式会社」を設立している。入居するテナントの誘致・調査から始め、それに応じた必要床面積を設定した上で設計工事を行うという、従来とは反対の逆算方式で設置した。これにより入居率100%でのオープンが実現し、金融機関からの融資等スムーズな資金調達が可能になったという。また、土地は紫波町が所有し、事業用定期借地権を設定して事業者に貸す仕組みで、賃料のほか固定資産税、法人住民税など、年間約3千万円が町の収入になることも、同プロジェクトの大きな特徴である。
 成果としては、紫波中央駅前の地価の上昇、来街者数76万人(令和3年度)、オガールエリア従業員数276名(令和3年度)という雇用の創出などが挙げられる。また、人口約33,000人の町で、人口は微減であるが、若い世代の転入により世帯数は微増となっているとのことである。
 概要説明後、委員からは、入居率の推移やエネルギーステーションについて活発な質問が行われた。その後、オガールエリアの施設について詳細な説明を受けながら見学した。
 今回視察先を調査できたことは、本県出資法人における公民連携の取組を推進する上で、大変参考となるものであった。

お問い合わせ

議会事務局 議事課 委員会担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

ファックス:048-830-4922

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