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掲載日:2020年6月8日

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少子・高齢福祉社会対策特別委員会視察報告

期日

令和2年1月21日(火曜日)~22日(水曜日)

調査先 

(1) 龍ケ崎市役所(龍ケ崎市)
(2) 取手ウェルネスプラザ(取手市)
(3) 笠間市立病院(笠間市)

調査の概要

(1) 龍ケ崎市役所

  (共働きの保護者に対する支援の推進について)

【調査目的】

 龍ケ崎市では保育所等への送迎ステーションをJR佐貫駅前に設置し、保護者の通勤時間が児童の通う保育所等の開所時間外である児童を一時預かり、各施設の開所時間に合わせて専用のバスにより送迎している。この事業により、保護者の送迎に係る負担軽減と、保育需要の地域的偏在による保育所等の入所者数の不均衡の軽減を図っている。同ステーションに子育て支援センターを併設しており、日中は子供たちの遊び場や保護者同士の交流の場としても活用されている。
   本県においては、男女共に仕事と家庭が両立できる社会づくりを推進するために、保育所を利用する共働きの保護者への支援が課題となっている。当該取組を調査することにより、本県における保育所等を利用している共働きの保護者への支援の参考とする。

【調査内容】

 茨城県の南部に位置する龍ケ崎市は、首都圏から50キロメートル圏内という地理的条件から龍ケ崎ニュータウン等の開発が行われ、人口は77,272人(住民基本台帳人口:令和元年12月1日現在)となっている。同市は「子育て環境日本一」を掲げ、また、平成28年12月には「子育て応援都市宣言」を行い、出会い・結婚・妊娠・出産・子育て・教育それぞれのステージに応じた取組を推進している。
   今回の視察では、龍ケ崎市役所にて駅前こどもステーション(以下「同施設」という。)について説明を受けた。同施設が実施している送迎ステーションは、JR佐貫駅前という立地から通勤する保護者の児童を対象としており、朝、児童を同施設で預かると、専用のバスにより職員が市内の保育所等へ送り届ける。夕方は専用のバスで職員が市内の保育所等へ迎えに行き、同施設で保護者が引き取るまで預かるというものである。また、同施設はこうした送迎ステーションとしての機能に加え、児童とその保護者を対象に自由に遊べる場の提供及び子育てに係る相談や情報提供を行う子育て支援施設としての機能を併せ持っている。
   同施設の開設経緯としては、JR佐貫駅利用者から駅前の保育所設置や保育所等への送迎サービスを望む声が数多く寄せられ、平成24年度に実施したアンケートでは、回答者の約66パーセントが駅前保育等のサービスを利用したいとの回答であったことが基となっている。その結果を踏まえ、候補地の選定や制度内容について検討を続け、平成28年6月に同施設を開設した。当初はバス1台で運営していたが、利用者の増加等を踏まえて現在は2台で運営している。同施設は午前6時30分から午前9時30分までは送迎ステーション、午前10時から午後4時までは子育て支援センター、午後4時から午後9時までは送迎ステーションとして機能している。また、同施設において体調が悪くなった児童に対しては、近隣の医療機関から担当者が来所して対処することとなっていることなどについて説明を受けた。
   概要説明後、委員からは活発な質疑が行われた。その中で、「送迎ステーションを利用する児童の年齢に制限はあるのか」との質問に対し、「バスに乗車する保育士の対応体制の関係から満2歳以上としている」との回答があった。その後、同施設にて現地視察を行い、施設長から設備の詳細や利用状況等の説明を受けた。
   今回視察先を調査できたことは、本県における共働きの保護者に対する支援の推進に大変参考となるものであった。

(2) 取手ウェルネスプラザ

(子育て世代と高齢者世代の一体的支援について)

【調査目的】

 取手市は、取手駅西口地区に「市民交流支援機能」、「健康づくり支援機能」及び「子育て支援機能」の3つの支援機能を有する取手ウェルネスプラザを整備した。多目的ホール等では音楽会が開催されるなど市民活動の活性化を推進し、トレーニングジム等ではヨガ教室等を企画して市民の健康づくりへの関心を高め、キッズプレイルーム等では遊びを通して子供の心身の健全な育成を支援している。
   本県においては、子育て世代とシニア世代が社会で活躍できるようにするために、子育てへの支援及び高齢者の健康増進が課題となっている。当該取組を調査することにより、本県における子育て世代と高齢者世代の一体的支援の取組の参考とする。

【調査内容】

 茨城県の南端に位置する取手市は、首都圏から40キロメートル圏内にあるため通勤及び通学の利便性もよく、昭和40年代から井野団地などが整備されて人口は急増した。平成17年3月に北相馬郡藤代町と合併し、人口107,091人(住民基本台帳人口:令和元年12月1日現在)を有する県南の中核的な都市となっている。また、同市は市民の健康を増進し、活力を創出するまちづくりを進めており、健康増進に向けた様々な施策を行っている。
   今回の視察では、取手ウェルネスプラザにて同施設について説明を受けた。まず子育て支援機能としてのキッズプレイルームであるが、6か月から小学生までの子供を対象としており、設置されている遊具は「遊びを通じて生きる力を育む」がコンセプトである北欧のボーネルンド社の製品であるとのことであった。次に、健康づくり支援機能としての施設であるが、市内の保健センター機能を同施設に集約させるとともに、歯科検診室、診察室などを効率的に配置して利用しやすいように工夫されている。また、健康スタジオは45畳の広さがあり、保健センターはプレママ・プレパパの講習会場として、指定管理者は健康増進プログラムの会場として活用しているとのことであった。次に、市民交流支援機能としての多目的ホールであるが、2階に親子でコンサート等が鑑賞できる部屋があり、小さな子供連れでも安心して楽しむことができるよう配慮されているとのことであった。最後に、健康づくり支援機能としてのトレーニングジムであるが、同市の指定事業として健康運動教室を実施している。これはフロアでの運動を30分、エアロバイクでの運動を30分、その前後15分に血圧測定と体組成測定を行い、1か月間の利用者の運動量を表示して運動のアドバイスをする。そして3か月ごとに体力測定を行い、利用者の体力年齢を確認して健康の増進を図るというものである。そのほか、教室参加者以外の一般利用も可能であり、JR取手駅前という立地や営業時間が午後10時までという利便性の良さから多くの市民が利用しており、特に60歳代の利用が多く、高齢者世帯における健康増進に寄与しているとのことであった。
   施設の視察中、委員からは活発な質疑が行われた。その中で、「キッズプレイルームについて、利用者である子供が特に多い場合はどのように対処しているのか」との質問に対し、「保育スタッフが5名常駐しており、また、定員を超える場合は入場制限を設けるなどの対処を行っている」との回答があった。
  今回視察先を調査できたことは、本県における子育て世代と高齢者世代の一体的支援に大変参考となるものであった。

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  取手ウェルネスプラザにて

(3) 笠間市立病院

(他職種連携による地域包括ケアの推進について)

【調査目的】

 笠間市は、医療、保健及び福祉の拠点として「地域医療センターかさま」を新設し、これらのサービスをワンストップで提供することで住民が利用しやすい環境づくりを推進している。中でも、笠間市立病院においては、回復期患者に対する在宅復帰支援、在宅医療及び医療機関へ受診しない患者への受診勧奨の取組に特に力を入れている。
   本県においては、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らせるようにするために、地域医療の推進や地域包括ケアの構築などが課題となっている。当該取組を調査することにより、本県における他職種連携による地域包括ケアの取組の参考とする。

【調査内容】

 茨城県の中央部に位置する笠間市は、市内にJRの駅が6つあり、中でも友部駅は特別急行列車が停車するなど交通の要衝となっている。平成18年3月に旧笠間市、西茨城郡友部町及び岩間町と合併して現在の笠間市となり、人口は74,285人(住民基本台帳人口:令和元年12月1日現在)となっているが、近年は人口減少や高齢化が進んでおり、平成24年2月に「健康都市かさま宣言」により地域資源を最大限に活用した総合的なまちづくりを進めている。
   今回の視察では、笠間市立病院(以下「市立病院」という。)にて市立病院、病児保育室、保健センター及び地域包括支援センターを集約させた地域医療センターかさま(以下「地域医療センター」という。)の概要と市立病院の取組について説明を受けた。まず同市の介護の状況であるが、人口に対する介護保険の第1号被保険者の割合は30.9パーセント、そのうち要介護(要支援)認定者の割合は15.8パーセント(共に令和元年6月現在)となっている。市立病院の環境整備が議論された平成25年当時から医療・介護の現場は手一杯であり、2030年には70歳以上の人口が増えると予測されているため、どのように対応していくかが課題となっていた。その中で、今までの医療体制に加えて在宅医療に力を入れることや近隣の茨城県立中央病院と連携することなどの方向性を確立し、さらには市立病院だけではなく地域包括支援センター等との連携が必要であるとの結論に至った。
   地域医療センターが行う施策であるが、まず、保健施策については、健康寿命の延伸を目指して、生活習慣病予防対策や重症化予防の推進、ネウボラや乳幼児健診の充実等を図っている。次に、地域包括支援センターの施策については、「介護健診ネットワーク」を構築して様々な部門に情報を提供している。すなわち、介護保険被保険者の基本情報を介護支援専門員のみならず介護サービス事業所や救急隊など身の回りの関係機関に情報を共有することで当該被保険者の支援に役立てている。次に、市立病院の施策については、高度急性期医療を県立中央病院等に委ねて市立病院は地域医療に特化し、市立病院が有する病床(30床)のうち18床を地域包括ケア病床として在宅復帰支援を強化している。それぞれの機関を一つの場所に集約することによって、施設等を共同利用することによりコスト削減を、施策等で重複している部分については精査してサービスの充実を図ることが可能となり、医療・保健・福祉の連携による地域包括ケアの拠点として機能しているとのことであった。
   概要説明後、委員からは活発な質疑が行われた。その中で、「介護健診ネットワークについては介護保険被保険者の同意を得るとのことだが、どのように同意を得るのか」との質問に対し、「初めて介護サービスを利用するときに介護支援専門員が制度を説明して同意を得る」との回答があった。その後、地域医療センターにて現地視察を行い、市立病院事務局長から説明を受けた。
   今回視察先を調査できたことは、本県における他職種連携による地域包括ケアの推進について大変参考となるものであった。

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笠間市立病院にて

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郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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