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掲載日:2023年5月23日

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経済・雇用対策特別委員会視察報告

期日

平成27年9月7日(月)~9日(水)

調査先 

 (1) 長浜バイオインキュベーションセンター(長浜市)
 (2) ㈱シャルマン(鯖江市)
 (3) (公財)ふくい産業支援センター(坂井市)
 (4) 石川県若者女性しごと情報館(金沢市)

調査の概要

(1)長浜バイオインキュベーションセンター

(産学官連携による企業支援について)

【調査目的】

長浜バイオインキュベーションセンターは、長浜市におけるバイオ関連分野の創業及び事業化を支援することにより、産業の振興と雇用の確保を図るため、同市が建設し、(一社)バイオビジネス創出研究会が指定管理者として管理運営している施設である。同センターは、長浜バイオ大学や長浜サイエンスパークに隣接し、共同研究やビジネスマッチングに最適な環境となっている。研究室は、全室が遺伝子組み換え実験レベルに対応しており、バイオ関連の多種多様な12社が入居している。また、経験豊かなインキュベーションマネージャーを多数配置し、産学官連携による総合的な支援を行っている。
本県においても、産学官の連携は重要な課題であるため、同センターの取組を調査し、今後の施策の参考にする。

【調査内容】

2712経済・雇用対策特別委員会視察報告(1)

長浜バイオインキュベーションセンターにて

滋賀県では、京阪神に近い湖南地域に産業や大学が集積していたため、湖北地域にある長浜市では市民によって大学の誘致運動が続けられていた。平成15年にバイオサイエンスに特化した長浜バイオ大学が誘致されることとなった際、同市では、産学連携による新産業創出を図るため、同大学の開学に併せて隣接地に工業団地を造成してバイオ関連企業の誘致も開始した。そして、同大学における研究成果を活用し、同市のバイオ関連分野の創業及び事業化を支援することにより、産業の振興と雇用の確保を図るため、平成18年に同市により長浜バイオインキュベーションセンターが設置された。同センターの管理運営は、(一社)バイオビジネス創出研究会が指定管理者として管理運営を行っている。同会は、大学の誘致運動を行い、その後もバイオ事業を研究していた地元の企業家グループで構成されている。
同センターは、研究開発型のインキュベーションセンターであり、17室ある研究室は全てウェットタイプで、遺伝子組換実験レベルに対応した仕様となっている。入居企業は、大学ベンチャー、既存企業の第二創業からバイオ関連のIT企業まで多種多様となっている。
主な事業内容としては、専門の研修を修了した「インキュベーションマネージャー」を多数配置し、企業家とのコミュニケーションを基本に置き、事業化までのプロセスにおける様々な課題をともに解決するほか、企業家の精神面での悩み相談相手ともなっている。また、長浜市、長浜バイオ大学、地元商工会議所・商工会と産学官で連携した支援体制を構築しており、研究から事業化、販路拡大まで各ステージに対応した総合的支援を行っている。また、海外に提携機関を持ち、海外販路開拓の支援も行っている。最近では、創業段階からの支援も必要であるとの考えから、プレ・インキュベーション機能である創業支援室により、まだ明確になっていないシーズの発掘から販売まで一貫した支援を行っている。
また、インキュベーションマネージャーは経験豊富な人材を招へいしているが、人の力が重要とのことから、次世代のマネージャー育成にも力を入れている。
概要説明の後、委員から活発な質疑が行われ、その後、詳細な説明を受けながら、同センターの施設を見学した。
今回、同センターを視察できたことは、本県における産学官の連携に関する施策を推進していく上で大変参考になるものであった。

(2)㈱シャルマン

(技術力を有する企業への支援について)

【調査目的】

㈱シャルマンは、メガネの産地である鯖江市に本拠を構え、昭和55年に海外への展開を開始し、現在では、100か国以上にメガネフレームを販売する世界有数の総合メガネフレーム企業である。
また、東北大学との共同研究による新たなチタン素材の技術開発・製品化や(公財)ふくい産業支援センターの協力のもと、大阪大学との共同開発により、最先端の光加工技術(微細レーザ接合)を実用化している。
さらに、平成24年には眼鏡フレームの技術を応用した医療用器具の販売を開始するなど、技術力を生かした新たな事業展開を行っている。
本県においても、技術力を有する企業が多く立地しており、それらの企業への支援は課題であることから、同社を調査し、今後の施策の参考にする。

【調査内容】

2712経済・雇用対策特別委員会視察報告(2)

㈱シャルマンにて

㈱シャルマンは、昭和31年にメガネのリベットを製作する堀川製作所として創業した。その後、技術力を磨きデザインから完成まで全てを内製化する総合メガネフレームメーカーとなり、昭和55年には販売会社を設立して販売までを行う企業となった。海外へも積極的に展開し、17か国に生産・販売拠点を持ち、100か国以上に販売体制を構築している。
同社の技術開発のきっかけは、国内メガネ市場の縮小、単価の下落、海外製品の流入により、業界全体が厳しい環境となったことによる。同社は、自社製品の付加価値を高めるために、掛け心地を追求するための技術開発に注力した。開発に当たって、素材については東北大学との共同により、しなやかなバネ性を持つ新チタン合金を開発し、加工技術については大阪大学やふくい産業支援センターとの共同により、レーザ微細接合技術を産学官で連携して開発した。また、より良い掛け心地のデザインを実現するため、頭部形状データの分析技術について産業技術研究所と共同研究を行った。このような産学官共同研究の成果が実り、平成24年には「ものづくり大賞特別賞」をメガネ業界で初めて受賞した。なお、独自開発した技術に関する設備については、自社内で製造しており、常に改良を重ねている。
また、近年、眼科などにおけるマイクロサージャリ―(超微小手術)で用いられる精密鋼製器具の素材は、生体への影響が少ないチタン素材へ移行しつつあった。そこで、同社では、これまでメガネフレームの開発・製造で培ってきた最先端の素材開発・精密加工技術を活用し、平成24年にチタン製品を中心とした眼科用手術器具(鋼製器具)や高性能の脳外科手術用ハサミを開発し、医療分野への展開を開始した。全ての工程を自社内で可能としていたことも、医療分野への進出を容易にした一因であった。開発に当たっては、専門科の医師などの意見や要望に対応してきたことにより信頼関係を構築し、現在では、約250種類の手術用器具を自社ブランドにより提供している。
概要説明の後、委員から活発な質疑が行われた。その後、詳細な説明を受けながら、ショールームや工場内のレーザ微細接合現場などを見学した。
今回、同社の産学官連携による技術開発の取組を調査できたことは、今後の施策を推進していく上で大変参考となるものであった。

(3)(公財)ふくい産業支援センター

(地域資源を活用する企業への支援について)

【調査目的】

(公財)ふくい産業支援センターは、中小企業の経営革新、創業の促進及び経営基盤の強化等を総合的に支援するとともに、県内企業の科学技術の研究開発を促進することにより、福井県産業の発展に寄与することを目的として昭和46年8月に同県により設立された。
新規開業や独立創業、新分野への進出や事業の多角化など、経営革新を推進している個人や中小企業に対し、総合的支援を行っている。
また、研究開発から事業化、海外展開まで、あらゆるニーズに対応できる総合コンサルティング機関としての役割を担っている。
本県でも地元企業への経営支援は、重要な課題であることから、同センターの取組を調査して、今後の施策推進の参考にする。

【調査内容】

ふくい産業支援センターは、昭和46年に中小企業公社として設立され、中小企業情報センター、デザインセンターなどを統合して現在の組織となり、平成23年に公益財団法人化した。職員は、プロパー37名、県派遣8名、企業からの派遣3名の48名体制となっている。
主な事業については、「新商品開発や新規事業展開支援」として、各分野の専門家である創業・新事業支援コーディネーター6名と職員が連携したマーケティングなどの総合的なアドバイスや中小企業診断士の資格を持つ職員による企業診断・コンサルティングなどを行っている。また、資金支援としては、地場産業「ふくいの強み」を活用した観光等での新商品・新サービスの開発及び販路開拓の取組を支援する「ふくいの逸品創造ファンド」により助成している。平成26年度からは、恐竜ブランドの活用や成長が見込める医療分野及び観光分野での新商品開発等に対する助成枠を新設した。「販路拡大やネット・ITを活用した創業支援」としては、取引相談員や職員が企業を訪問して、発注したい企業と受注したい企業のマッチングなどを行っている。また、IT活用では、本格的なデジタルコンテンツの制作が可能な映像制作システムの安価な利用や映像クリエーターによる支援などを行っている。また、創業に向けたサポートとして、センター内に異業種・異分野の交流や連携が可能なコワーキングスペースの設置や創業マネージャーによる事業化までの支援、女性向け創業セミナーなどを行っている。「産学官金共同研究プロジェクトや技術ニーズとシーズのマッチング支援」については、県内企業、大学等、公設試験研究機関、金融機関等の人材が企業の開発ニーズに対応するために、チームで応援する取組として、「ふくいオープンイノベーション推進機構」を本年6月に設立し、各機関の研究者や技術者の人材データベース化、研究者や技術者が企業の現場に入って行う研究開発の推進などを行っている。
今後の課題としては、北陸新幹線や高速道路の開通により観光面からの支援ニーズも高まっているため、支援策の充実であるという。
概要説明の後、委員から活発な質疑が行われた。その後、詳細な説明を受けながら、同センター内の映像制作システムなどの施設を見学した。
今回、同センターを調査できたことは、本県における中小企業の支援に関する施策を推進していく上で大変参考になるものであった。

(4)石川県若者女性しごと情報館

(雇用の創出・確保について)

【調査目的】

石川県は、若者に対する一貫した就業支援サービスの展開に早くから取り組んでおり、同館は平成15年にヤングハローワークを併設した若者しごと情報館として整備され、県、商工会議所など地元産業界及び教育委員会などが一体となって設立した石川県人材育成推進機構により運営されている。平成16年には、地域の人材流出を防ぐことを目的としてジョブカフェ石川も開設され、平成19年には、若者女性しごと情報館にリニューアルし、女性再チャレンジ支援室やマザーズハローワークも併設され、若者・女性に対して一貫した就労支援が行える施設となっている。
本県でも、若者や女性の就業支援は重要な課題であることから、同館の取組を調査して、今後の施策推進の参考とする。

【調査内容】 

石川県若者女性しごと情報館は、県と国が協力して一体的に運営しており、あらゆる求職者が、同館内でワンストップで就職相談、職業紹介のサポートが受けられる施設となっている。県の施設としては、35歳未満の若者の就業支援を行う「ジョブカフェ石川」、いわゆるニートの若者を対象とした「いしかわ若者サポートステーション」、結婚や出産などで退職後もう一度仕事を始めたいと再就職を目指す女性を専門スタッフがサポートする「いしかわ女性再チャレンジ支援室」があり、個別相談やセミナーなどにより就労支援を行っている。国の施設としては、「ヤングハローワーク金沢・金沢新卒応援ハローワーク」「マザーズハローワーク金沢」「しごとプラザ金沢」で職業紹介を行っており、それぞれの施設が有機的に連携して支援に当たっている。「ジョブカフェ石川」と「いしかわ女性再チャレンジ支援室」については、地域性を考慮し、能登(七尾市)と加賀(小松市)にサテライトを設置している。金沢センターの主な相談者が学生や20歳代前半となっていることに対し、加賀サテライトでは20歳代の男性で無職・失業中が多く、能登サテライトでは30歳代の男性で無職・失業中が多いという特徴がある。
同館の取組の特徴の一つとしては、就業活動支援(事後的支援)からキャリア教育支援(予防的支援)へ支援の重点をシフトするとともに内容を充実させていることである。具体的には、中学生や高校生に対して学校在学中の早い段階から職業意識形成を図ることを目的に、企業で活躍する先輩社会人(しごと探しシェルパ)による職業講話や同館の職業疑似体験システムや適性診断の体験を行っている。また、県中小企業団体中央会との連携により、就業から定着までの各段階に応じたセミナー等も行っている。
なお、同館は平成28年度から、移住希望者・UIターン・学生・女性・高度専門人材・企業OBなどを対象に企業とのマッチングを県内と首都圏で一体的に実施する機能を追加し、「いしかわ就職・移住総合サポートセンター(仮称)」への改組が予定されている。
概要説明の後、キャリア教育支援に関する学校との連携方法などについて委員から活発な質疑が行われた。その後、詳細な説明を受けながら、同館内の各施設を見学した。
若者や女性の就業支援は、本県にとっても重要な課題であり、同館の取組を調査できたことは、今後の施策を推進していく上で大変参考となるものであった。

お問い合わせ

議会事務局 議事課 委員会担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

ファックス:048-830-4922

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