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掲載日:2019年11月26日

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 人材育成・文化・スポーツ振興特別委員会視察報告

期日

令和元年9月10日(火曜日)~12日(木曜日)

調査先

   (1) 吉野ヶ里歴史公園(佐賀県吉野ヶ里町)
   (2) 海の道むなかた館(宗像市)
   (3) グローバルアリーナ(宗像市)
   (4) カーロボAI連携大学院(北九州市)

調査の概要

(1) 吉野ヶ里歴史公園

(古代遺跡を核とした地域振興について)

【調査目的】

   平成13年に開園した国立公園である吉野ヶ里歴史公園は、開園当初をピークに来園者が減少していたが、運営の見直しを行い、平成30年度は過去最高の77万人となった。現在も発掘や公園の拡張工事が続いている。
   本県内にも古墳などを有する遺跡公園があるが、施設整備や運営方法などが課題となっている。本県も歴史的に重要な古墳を有しており、埋蔵文化財の調査、学校教育、地域振興の参考とする。

【調査内容】

   国営吉野ヶ里歴史公園は、平成13年に開園し、平成29年現在で約104ha(国営公園約52.8ha 、県立公園約51.2ha)が開園している。日本の優れた文化的資産である吉野ヶ里遺跡の保存と、当時の施設の復元や発掘物の展示などを通じた、弥生時代を体感できる場の創出により、日本はもとより世界への情報発信の拠点とすることを目的に開園した。吉野ヶ里遺跡は国の特別史跡に指定されている日本最大の遺跡で、日本の古代の歴史を解き明かす上で極めて貴重な資料や情報が集まっており、弥生時代における「クニ」の中心的な集落の全貌や、弥生時代700年間の移り変わりを知ることができる。発掘は現在も続いており、発掘現場の視察が可能となっている。北墳丘墓からは14基の甕棺墓が発見され、紀元前2世紀から前1世紀の歴代の王の墓であったと考えられている。甕棺は全て大型で、黒く着色され、銅剣を副葬したものが8基、北墳丘墓の中で最も古い甕棺を中心に、それを取り囲むように他の甕棺墓は埋められている。また、有柄銅剣やガラス製管玉等の出土品は国の重要文化財に指定されるなど、高い学術的価値を有しているとのことであった。
   同公園は小中学生の入園を無料とし、利用を促進している。展示室は佐賀県教育委員会が運営し、学習施設として整備されている。また、同公園では運営の見直しを行ったことにより、2日券や国立公園の年間パスポートの導入、各種イベントの開催、最大300人を受け入れられる体験工房や吉野ヶ里ならではの地元食材を使った料理のあるレストラン(平成31年2月リニューアル)の設置など、様々な取組が進められており、古代遺跡を活用した教育や地域振興の推進に大きく寄与している。
   園内はバリアフリー対応しているとともに、循環バスが通っており、障害者や高齢者の移動にも配慮されている。また、修学旅行や遠足などで来園した学校団体を対象とした園内をガイドするツアーも利用できる。
   概要説明の後、イベントの開催状況や地域振興の取組などについて、委員から活発な質疑が行われた。その後、同公園内を視察した。今回視察先を調査できたことは、古代遺跡を核とした地域振興について、本県における取組を推進する上で、大変参考となるものであった。

(2) 海の道むなかた館

   (歴史的遺産の保存と活用について)

【調査目的】

   平成29年に「宗像・沖ノ島と関連遺産群」が世界文化遺産として登録された。「神宿る島」として沖ノ島では一般の方の入島が禁止されるなど、古墳群の保全活動を行う一方、世界文化遺産群と親しんでもらうイベントを開催するなど、歴史的遺産を活用した取組を推進している。海の道むなかた館はこの取組の一環として整備された博物館・体験学習等の複合施設である。
   本県内にも歴史的遺産となる重要文化財や重要民族文化財が存在するが、保存や活用などが課題となっていることから、今後の施策を推進する上で参考とする。

【調査内容】

   海の道むなかた館は、平成24年に「宗像市郷土文化学習交流館」を改修し、現在の名称に変更してリニューアルオープンした。平成29年7月には「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」が世界文化遺産登録されたことにより、平成30年3月に「沖ノ島VR」、大型スクリーンなどを導入し、世界遺産ガイダンス施設としての機能を併せ持つ施設としてリニューアルした。博物館機能としては、玄界灘の玄関口として古代から大陸文化との交流の窓口になった宗像について歴史や文化を解説している。また、世界遺産広報機能としては、3Dシアター、大型スクリーンなどを活用して世界遺産の概要や特徴を解説している。体験学習機能としては、勾玉づくりなど古代体験メニューを提供している。交流館機能としては、宗像大社などの周辺施設と連携した事業を展開している。
   平成29年10月には、本遺産群の構成資産の保存、緩衝地帯の保全、公開活用に関する意思決定及び調整を実施する機関として、県・宗像市・福津市及び宗像大社で構成する「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群保存活用協議会が設立された。世界遺産として守るためには、遺産群を保護するための仕組みが必要であり、宗像大社の境内や古墳群は、文化財保護法によって文化財に指定され保護されているが、交流の舞台となった海や豊かな自然、そこに暮らす人々の生業や信仰などが世界遺産の価値を支えている。緩衝地帯(バッファーゾーン)を設定し、遺産群と共に周辺の景観を守る仕組みを作り、受け継がれてきた文化や伝統を大切にしながら、地域の人々とともに遺産群を保護していくことが重要となっているとのことであった。

人スポ_むなかた館にて

むなかた館にて

   概要説明の後、世界遺産の活用と当施設の役割などについて、委員から活発な質疑が行われた。その後、施設内を見学した。今回視察先を調査できたことは、歴史的遺産の保存と活用について、本県における取組を推進する上で、大変参考となるものであった。

(3) グローバルアリーナ

   (スポーツの振興と青少年の育成について)

【調査目的】

   地域の子供達の豊かな体づくりを図り、スポーツや文化を応援するために「一般財団法人サニックススポーツ振興財団」が設立された。同財団は「自己責任」「協調性」「挑戦」の精神で、自立心あふれる青少年の育成を使命としており、その中心となる施設が総合的なスポーツ・文化施設であるグローバルアリーナである。
   本県では、県民生活全体の質の向上のため、スポーツ交流による地域の活性化や青少年の健全育成が求められていることから、グローバルアリーナ(株)及び同施設の取組をその参考とする。

【調査内容】

   グローバルアリーナは、(株)サニックスの創業者の宗政伸一が、青少年育成に貢献したいとの思いから、株式公開時に得た創業者利益を用いて、私費で、ラグビー、サッカー、テニスなどの競技場をはじめとし、体育館、トレーニングジム、宿泊施設、レストラン等も完備した総合的なスポーツ・文化施設として平成12年に開設した。宿泊施設を併設する総合スポーツ施設としては、ほかに類を見ない規模の施設となっている。運営は、グローバルアリーナ(株)が行っており、公共団体からの支援は受けていないとのことである。
   同施設は、ジャパンラグビートップリーグの宗像サニックスブルースの本拠地でもあり、公式戦が開催されるとともに、サニックス主催のワールドラグビーユース交流大会、国際ユースサッカー大会、国際新体操団体選手権の開催、グローバルアリーナ主催の高校ラグビー合同合宿のほか、バスケットボールやバトミントン、バレーボールなどの各種団体の大会が開催されている。また、林間学校や体験学習といった学校行事、カルチャースクールや地域のコミュニケーションの場として活用されるとともに、自主事業として地域交流をテーマにした催しや、ブルガリアフェスティバルなどの文化イベントを開催している。
   概要説明の後、委員から活発な質問が行われた。その中で、「同施設における売上げはどのような構成割合か」との質問に対し、「宿泊料がメインとなっている。施設利用料は、学生の利用に対して減免していることから、全体の5%程度である」との回答があった。また、「利用状況はどうか」との質問に対し、「土日祭日の利用は埋まっており、新規に受けることができない状況となっている。平日の利用を開拓することが、売上げを上げるためにも重要な鍵となっている」との回答があった。その後、施設を見学した。
   今回視察先を調査できたことは、スポーツの振興と青少年の育成について、本県における取組を推進する上で、大変参考となるものであった。

人スポ_グローバルアリーナにて

グローバルアリーナにて

(4) カーロボAI連携大学院

   (高度専門人材の育成について)

【調査目的】

   カーロボAI連携大学院は、地域からのニーズを踏まえ、今後大きく発展が期待される分野の研究開発チームを先導する、次世代を担うリーダーとしての実践力を有する高度専門人材を育成している。
   本県でも、人口の減少が進んでいることを受け、地域活性化の核となる高度専門人材の育成をどう行うか課題となっていることから、同大学院の取組をその参考とする。

【調査内容】

   カーロボAI連携大学院(正式名称:自動車・ロボットの高度化知能化に向けた専門人材育成連携大学院)は、北九州学術研究都市にキャンパスを有する九州工業大学、北九州市立大学、早稲田大学の各大学院の3校により設立された。平成20年度より文部科学省「戦略的大学連携支援事業」による支援を受け、平成24年度より同省「大学間連携共同教育推進事業」の選定を受けている。また、北九州学術研究都市は、(公財)北九州産業学術推進機構が運営を行っており、研究機関や企業が集積し、先端的な科学技術を中心に活発な教育研究活動を展開している。
   同大学院の目的は、地域からのニーズに加え、将来の自動車の知能化・電動化の流れを先導し、今後大きく発展が期待される知能ロボット技術およびAI技術をカバーする技術分野において、自身の専門分野を極めるとともに周辺技術も理解し、研究開発チームを先導する次世代を担うリーダーとしての実践力を有する高度専門人材を育成することである。
   教育理念は、自分の専門分野の深堀りは所属研究室での研究活動で行った上で、隣接する専門分野を広く知り、見識を深めるために、同大学院のコースを利用するというものである。昨今、特定の専門分野を持ちながら他の分野にも横断して知識を身に付ける「T字型人材」が産業界からの期待を受けているが、同大学院では、修士学生は小さなT字を、博士学生は大きなT字を得るように努力して、人材育成が進められている。大学院で基礎研究を実践した即戦力となる人材を育成できる環境は、企業にとって、非常に有意義なフィールドであり、企業から人材や資金の支援もあるとのことであった。
   概要説明の後、委員からは活発な質問が行われた。その中で、「卒業後は、どのような企業に就職されているのか」との質問に対し、「自動車メーカーやロボット製造メーカーへの就職が多い」との回答があった。その後、学生が研究室でプログラミングし作成したロボットや自動車の自動運転のデモを見学した。
   今回視察先を調査できたことは、高度専門人材の育成について、本県における取組を推進する上で、大変参考となるものであった。

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