トップページ > 埼玉県議会トップ > 定例会・臨時会 > 定例会概要 > 平成25年9月定例会 > 9月27日(金曜日) > 木村勇夫(民) > 平成25年9月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文 (木村勇夫議員)
ここから本文です。
ページ番号:11322
掲載日:2019年6月3日
Q 木村勇夫議員(民主・無所属)
埼玉県内で竜巻による被害が続いています。9月2日に発生した竜巻では、越谷市、松伏町で重傷者7名を含む負傷者63名、建物は全壊15棟、大規模半壊・半壊33棟、一部損壊を含めると1,000棟を超える建物被害が出ました。また、9月16日の台風に伴う竜巻では、熊谷市だけで建物の全壊26棟、半壊30棟、一部損壊を含めると400棟を超える建物被害が出ています。
まず、被災した皆さまに心からお見舞い申し上げます。また、関係部局の皆さまも連日お疲れさまでございます。感謝申し上げます。
わが会派でも即日災害対策本部を立ち上げ、その後、現地視察、ボランティア活動を行いました。実際に現地へ行くとその被害は想像をはるかに超え、これだけの被害を受けながら死者が出なかったのが不思議なぐらいの状況でありました。現地でボランティア活動を行った際に、お手伝いした家のご主人から出た言葉、「屋根の修理だけで1,000万円以上かかると言われた。今後の生活については全く考えることさえできない」が忘れられません。被災者の皆さんは共通して建物の修繕費用について大きな不安を抱えています。
現場で感じたことは、この災害を運が悪かった、気の毒だということで終わらせてはならないということであります。少しでも早くこの被害から立ち直っていただきたい、その思いで質問いたします。
これだけ大きな被害をもたらした竜巻ですが、これまでわが国における自然災害といえば、地震、津波、台風および火山の噴火などであり、竜巻についてはあまり考慮されていませんでした。今回の被害により竜巻への対策が遅れていることが明らかになったわけであります。
まず、竜巻そのものに対する対策について、危機管理防災部長に3点伺います。
1点目は、県の地域防災計画についてであります。県の地域防災計画には竜巻対策が入っていません。まず、早急に地域防災計画に竜巻対策を入れることを検討するべきだと思いますが、お考えを伺います。
2点目は、竜巻注意情報についてであります。竜巻注意情報の予測精度は高くないとされていますが、これをどのように活用するのか、また、竜巻情報を早く正確に伝えるためにどのように取り組んでいくのか伺います。
3点目は、竜巻発生時の対処法についてであります。竜巻発生時にどう逃げるのかといった対処法については、ほとんど知られていませんでした。今後、対処法について検討し、その対処法の周知も必要であると思いますが、どのように取り組んでいくのか伺います。
以上、3点について危機管理防災部長にお伺いいたします。
次に、学校における対応についてでございます。
竜巻から子供たちを守るためには、今後、学校においても竜巻への対処法の指導や防災マニュアルの策定が必要になると考えますが、今後の取り組みについて教育長にお伺いいたします。
最後に、被害に対する支援について知事にお伺いいたします。
被災者に対する生活再建支援については、国の支援制度だけでは不十分だと考えます。被災者生活再建支援法による支援では、今回のように市町村により受けられる支援にばらつきが出てしまいます。それを補うために、県独自の生活再建支援制度の創設を考えるべきではないでしょうか。そして今後、竜巻対策についての包括的な見直しを提起し、県民が安心できる体制を構築しなければならないと思いますが、知事のお考えとご決意をお伺いいたします。
A 上田清司 知事
まず、「竜巻被害について」のお尋ねのうち県独自の支援制度の創設についてでございます。
被災者生活再建支援法は、阪神・淡路大震災を契機に地震による広範囲の被害を想定して、平成10年の5月に制定されました。
被害は甚大であっても局地的で、全壊世帯が10世帯に満たない竜巻のような災害は想定されていませんでした。
このため、昨年7月には全国知事会が、竜巻被害にも対応できるように制度の見直しを国に要望しておりました。
また、越谷市、松伏町の竜巻発生に伴い、県では9月9日に内閣府特命担当大臣に対して法律の弾力的運用についての要望書も提出しております。
一方で私も、議員ご指摘のように国の制度を補う県独自の支援制度について検討が必要ではないかと考えております。
過去の災害での対応に加え、今後起こり得るであろう大規模災害の規模や財政負担、また、火災保険などで地道に掛け金を払っている人との整合性なども考えなければならないと思います。
県民相互の扶助制度としてのレベルが、どの程度が適切なのかということについても、市長会や町村会ともしっかりと交渉のテーブルを持たなければならないと思っております。
次に、竜巻対策の包括的な見直しと県民が安心できる体制の構築についてでございます。
竜巻は、その原因がわかっていないため、発生時刻や場所も予想できず、対策を立てることが極めて困難になっております。
竜巻の対策を包括的に見直すためには、発生メカニズムの解明が何よりも必要であります。
発生メカニズムや発生しやすい場所などが分かれば、それに応じた注意情報や住宅改修なども可能になります。
竜巻は気象だけではなく、地形的条件、土地利用やまちづくりなどが幅広く関係しているのではないかというふうに言われております。
このため、県では9月20日に内閣府に対して発生メカニズムの解明のための省庁横断的・学際的な研究や予算措置について要望いたしました。
また、私自身も、そう遠くない時間内で、菅内閣官房長官や古屋内閣府特命担当大臣に直接会ってこうした問題について政府として真剣に取り組んでいただくように働き掛けたいと思っております。
当面、今後も竜巻が起こり得ることを前提にした上で、住宅の新築、改修などについては、耐震のみならず竜巻対策も視野に入れた技術的な方法を、広く住宅メーカーなどに問題提起もしなければならないのかと考えざるを得ない状況です。
一刻も早く、県民が安心できる体制を構築すべく、国とも連携を図って取り組んでまいります。
A 福島 亨 危機管理防災部長
まず、地域防災計画に竜巻対策を位置づけることについてでございます。
県内における竜巻は、最近では平成14年にさいたま市で全壊1棟、同年に深谷市で全壊7棟の被害がございました。
それ以前にさかのぼると、昭和51年に旧岡部町で全壊1棟の被害でございました。
このため、本県では住家が全壊するような竜巻被害はまれにしか起こらないものと認識いたしておりました。
しかし、今回、短期間に竜巻が立て続けに発生し、大きな被害をもたらしたことから、埼玉県は竜巻が発生しやすい環境となっているという恐れもございます。
そこで、今年度に策定する地域防災計画には竜巻災害をしっかりと位置づけ、必要な対策を盛り込んでまいりたいと存じます。
次に、竜巻注意情報の活用と伝達についてでございます。
竜巻注意情報は、竜巻が発生しやすい気象状況になった段階で、気象庁から発表されます。
県では、竜巻注意情報を市町村へ伝達するとともに、防災情報メールに登録した県民の皆さまに通知いたしております。
しかし、この情報は県内全域を1つの単位として発表され、的中率が数パーセントと低く、具体的な竜巻の発生場所を予報する警報とはなっておりません。
このため、竜巻の発生メカニズムの解明など、早期の技術的な改良を国に要望いたしているところでございます。
今後、国と連携して、迅速的確に竜巻情報を県民の皆さまに伝えられるよう取り組んでまいります。
次に、竜巻発生時の対処法の検討と周知についてでございます。
竜巻注意情報が発表され、黒い雲が急速に大きくなって、雷が鳴り、急に冷たい風が吹いたりした場合には、竜巻が発生する可能性が高い状況でございます。
取るべき対処方法としては、頑丈な建物への退避や、窓ガラスから離れる、壁に囲まれたトイレなどに逃げ込むなどが挙げられます。
現在、具体的な竜巻警報が技術的に出せない状況では、このような具体的な対処法を県民の皆さまに分かりやすい形で示し、人的被害を最小限に食い止めるための啓発に取り組んでまいります。
A 関根郁夫 教育長
9月2日に越谷市周辺で発生した竜巻被害については、翌3日までに情報収集や現地調査を行い、同日付けで市町村教育委員会と県立学校に「竜巻発生時における児童生徒の安全確保について」通知をいたしました。
通知では、学校が最新の気象情報を把握するよう努めることや、異常気象が発生した際の児童生徒の安全確保の方法について、屋内、屋外別に示しました。
具体的には、屋内にいる場合は、窓やカーテン・ドアを閉め、できるだけ窓から離れること、屋外にいる場合は、頑丈な構造物の物陰に入って身を小さくし、頭部を守ること、などです。
県といたしましては、各学校の防災マニュアルに、竜巻発生時の対応についての項目を加えることが必要であると考えております。
現在、学校被害の大きかった越谷市を中心に、災害当日、学校が「うまく対応できたこと」や「課題として明らかになったこと」について聞き取り調査を行っております。
文部科学省や気象庁からの新たな情報にも注視し、調査結果がまとまり次第、各学校がすみやかに防災マニュアルに竜巻の項目を加えられるよう、資料提供を行うなど、市町村教育委員会や学校を支援してまいります。
竜巻はいつでも、どこでも発生する可能性があります。今回の経験を踏まえ、日常的に、児童生徒が自ら身を守ることができるよう、全ての学校の防災教育の充実に努めてまいります。
お問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください