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掲載日:2019年6月3日
Q 石渡 豊議員(公明)
私たち公明党は被災地の皆さまを忘れません。私たち公明党は復興の鼓動を聞き続けています。復興の加速へ、その歩みを早める決意です。東日本大震災から2年半が過ぎました。発生当初から被災地を定期的に訪問、視察している私たち公明党県議団は、先月27、28、29日、福島県と宮城県を訪ねました。本年2月、福島に設置されました復興再生総局には、私は2度目の訪問となります。国の縦割りを廃し、各省庁からの派遣メンバーで構成をされています。浜田復興副大臣は現地にアパートを借り、復興への指揮を執られています。総局では早期の決裁に努め、復興の加速に尽力されておりました。東北の被災地では、鉄道や道路など復旧は急ピッチで進み、あれほど高く積まれていたがれきの山も姿を消しつつあります。被災したビルや家屋も多くは解体され、更地となりました。
しかし、一歩足を踏み入れ、被災された方の声を聞くとき、復興の道のりが遠く険しいことを痛感いたします。被災者個々人の心と生活の復興はいまだ見えてきてはおりません。2万数千戸を予定している復興住宅は緒についたものの、今なお約30万人の人たちがプレハブ仮設住宅で暮らし続けています。
お話を聞かせていただきました。「私たちは負けません。全国の皆さまに感謝しています。ただ願いは安心して暮らし続ける住まいです。体育館の段ボール部屋から仮設部屋に来ました。暮らして2年です。復興住宅に移り住みたいです」とおっしゃっていました。さらにお聞きしていきますと、「心の傷も癒えてはおりません」。家族、友人、自宅、なりわい、これらを一瞬のうちに失った多くの人々が今も苦しみ、涙を流し続けています。精神的・肉体的疲労から病に倒れ、亡くなる震災関連死も後を絶ちません。そして、原発事故に伴ういわれなき風評も依然として全国に広まったままです。3.11いまだ終わらず、これが被災地の真実の姿であると私は断言をいたします。
さて、国民からの復興増税などを原資とした基金があります。復興、そして日本経済の再生を目的とした基金です。本県は、未執行の予算8億4千万円を国に返すとして補正予算案に組み込みました。この国への返還、私は上田知事の潔さを感じます。
それでは、知事にお伺いします。
1点目は、この基金の使途についてです。本県はどのような事業に使われたのか。県民への優しき思いから活用されたと考えます。いかがですか。
2点目は、補正予算案には緊急の防災・減災事業が盛り込まれています。それぞれの事業における効果、期待される成果をお示しください。
3点目は、私は3.11いまだ終わらずと申し上げましたが、被災された方々に寄せる知事の思いをお伺いいたしたいと思います。並びに本県埼玉県がなし得るこれから被災地支援をお聞かせください。
4点目は、私たち公明党は毎年恒例の新春賀詞交歓会で、本年は皆さまにオリンピック東京招致のバッジをお配りいたしました。その後も招致の機運醸成活動をしてまいりました。日本決定のとき、県民の皆さまと喜びを分かち合いました。本県では3種目の開催、そして被災地宮城県でもサッカーが開催されます。被災地の皆さまも喜びに包まれていらっしゃいます。昭和39年の東京オリンピックは、戦後の焼け野原からわずか19年の歳月で日本復興の姿を世界に示しました。私は、7年後の開催が「大震災から日本は復興した」と世界に実感していただくチャンスと考えております。
そこで、お伺いします。2020年東京オリンピック・パラリンピック開催が大震災復興へどのような効果をもたらすのか、知事はどのようにお考えか、ご所見をお伺いします。
A 上田清司 知事
まず、「明日へ、東日本大震災からの復興を見つめて」のお尋ねのうち、復興関連基金をどのような事業に使ったのかについてでございます。
国の復興関連予算からの交付金を原資とする基金は、本県では緊急雇用創出基金、森林整備加速化・林業再生基金、自殺対策緊急強化基金の3つです。
これらの基金は、震災からの復興とともに、日本経済の再生という緊急性の観点から全国向けの事業を行うために造られたものです。
県としては、これまで基金の使い方を定める国の要綱に基づいて、最大限活用するという考え方で事業を実施してまいりました。
例えば、防犯パトロールカーによる巡回警備、いわゆる青色のパトカーの事業を実施し、被災者を含めた失業者の雇用の場を確保するとともに、県民の安全などにもつなげました。
これにより、震災後から平成24年度末までに3,000人を超える失業者に対し新たな雇用の場を提供することができました。
また、被災者を含めた生活保護受給者やホームレスに対し、住まいの確保や自立支援、就労支援事業なども行いました。
さらに、復興に必要な木材の安定供給を図るための森林整備などへの助成事業や、全国に避難した被災者等の自殺防止を目的とした相談事業などを実施いたしました。
とは言え、国において全国向けのものまで含めての復興関連予算と説明するには、やや最初から無理があったのかなと思っております。
したがって、今回、国の方針が変更になり、また返還も要請されましたので、速やかに未執行額を返還するものでございます。
次に、緊急防災・減災事業についてでございます。
本県の大規模災害に対する備えを強化するため、財政措置が有利な県債を活用した緊急防災・減災事業を今回の補正予算案では約19億円計上いたしました。
これは、地方公務員給与の特例減額に対応して、地方が喫緊の課題とする防災・減災に取り組むために設けられたものでございます。
県有施設の耐震対策や県の災害時対応力の強化につながる事業を前倒して実施してまいります。
例えば、災害時に救命活動や物資の輸送を行う緊急輸送道路の橋りょう耐震化については、9つの橋の耐震対策を前倒して実施します。
これによって、対象となる132橋のうち116橋の耐震補強が今年度中に完了する予定です。したがいまして、残りが16橋ということになります。
また、市町村の避難所に指定されている県立学校の体育館に天井材の落下を防止するための工事を実施します。
対象となる106校のうち今回の補正予算で57校の設置工事を行う予定であります。これも前倒しということになります。
さらに、地震による甚大な被害が予想される県南部にある県営公園を対象に、自己発電型照明灯やマンホールトイレなどの防災関連施設を整備します。
これによって、対象となる7つの県営公園全ての整備が進むことになります。
このように財政措置が有利な県債も活用しながら、今後も本県の大規模災害に対する備えの強化に努めてまいります。
次に、被災された方々に寄せる「知事の思い」についてでございます。
大震災から2年半を経過し、被災地で復興に向けた懸命な努力がなされています。
しかし、災害公営住宅の建設が被災市町村の計画約2万5千戸のうち平成24年度で約250戸、1パーセントしか完成していないという現状です。
津波の危険を避けるための集団移転や新しいまちづくりの調整が遅れているため、多くの方がいまだに仮設住宅であります。
また、福島県には東京電力福島第一原子力発電所の事故により、帰還できる目途すらも立っていない避難者がたくさんおられます。
阪神・淡路大震災と比べて、あまりにも復旧復興が遅れています。
本当に残念であります。
私は7月30日に全国知事会の東日本大震災復興協力本部長として、根本復興大臣に「東日本大震災からの復興を加速化するための提言」を申し入れをし、細かく説明もさせていただきました。
大臣からは、原発事故の早期収束や被災自治体への人的支援の強化などを進めるというようなお答えもいただきました。
私は早く復旧復興しないともうコミュニティそのものがなくなってしまう。ひとたびコミュニティがなくなってしまうともう再生することが不可能になってしまう。
まさに、家族を単位としての家庭があって、地域を単位としてのコミュニティがあって、そういうものの集合体として国家がある。
そういう意味でこういう部分が崩れてしまっては何もならないと思います。
そういう意味でもっともっと復興を加速させることがどうしてできないのかと思っています。大変残念に思います。
次に、本県が成し得るこれからの被災地支援についてでございます。
私たちが一番求められているのは、専門職の確保であります。
残念ながら、埼玉県のように面がどんどん広がっているような自治体ではいわゆる土地区画整理事業などのさまざまな技師や設計者がたくさんいるのです。
しかし、町があまり広がらなかったもう何十年前も何百年前からも同じような地域であった東北3県では新しい区画を作るための技術者がいない。
したがってそういう技術者を全国から集めなくてはいけません。しかし、一方では各都道府県もそうした技術者の数も限られており、技術者を集めることは困難であります。
しかし、それでも毎年、私が責任者になっておりますので、各都道府県に要請をしながら、8月1日現在で648人の職員を被災県に派遣しています。このうち、36人は埼玉県の職員です。
それでも足らない足らないと言われております。
しかし、各都道府県ももう限界にきておりますので、今、土木職や用地買収の経験者を任期付職員として採用して、被災地に追加派遣しようということで、県として募集をしようと思っています。
そうした形で被災地の一刻も早い復興に向けてできるだけの人的支援を進めていきたいと考えています。
次に、大震災復興へのオリンピック・パラリンピック開催の効果についてでございます。
オリンピック・パラリンピックは都市開催のため東京オリンピックとなっておりますが、私は今回の決定については、まさしく2020年までに世界に対して東北3県の復旧復興を約束したようなことでございますので、日本オリンピックではないかというふうに意識をしています。
そのため、外国のお付き合いのあった方々30人にも手紙を出して支援要請を行ってきましたし、全国知事会議でも各都道府県の広報紙を活用した招致アピールも提案しました。
そうしたことも盛り上がりの一助になったのではないかと思っています。
東京に開催が決まった以上、やはり、オールジャパンで被災3県を強力に支援して、復興の最終ゴールを世界に見せたい、見せるべきだと思っております。
なぜなら、東日本大震災では163の国や地域からお見舞いやご支援をいただいております。
したがって、その後どうなった、ということを2020年に明確に見せつける、それが世界中から寄せられた支援に対する私たちの恩返しではないか、このように思います。
私の想いは、東京オリンピック・パラリンピックが東北の復旧復興の終了と日本再生のシンボルになる、それが一番いいことだと思っています。
その際、東京湾岸の会場整備は開発による資産インフレやミニバブルになることなく、CO2削減などの環境負荷の低減に考慮し、交通インフラ、スポーツインフラ、住宅インフラを整備していく必要があります。
その結果、持続可能な地球環境をデザインするような、未来型のオリンピック・パラリンピック、そして、未来都市はここにある、というような姿を世界中に見せて、さすがは日本、さすがは尊い国日本、と世界中から評価されるような、そういう理想のオリンピックを実現していかなければならないと思います。
2、3カ国、いろいろ言っている国がありますが、多分言っているほうが悪いんだなということがそこではっきりしますので、そういう意味でも立派なオリンピックを実現したいと思っております。
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