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掲載日:2019年6月3日
Q 石渡 豊議員(公明)
生活保護は社会保障最後の安全網、受給者数は平成25年2月現在、全国では約215万人、本県では9万3,345人です。対人口比の保護率は全国平均1.69パーセント、本県は1.29パーセントです。5年前、平成20年9月15日、あのリーマンショックが起こりました。以降増加傾向を示しましたが、今では落ち着きを取り戻しつつある、これが現状です。
私はこの20年、国会議員秘書、県議会議員として相談者を生活保護ケースワーカーさんの元へ送り出してまいりました。相談者と面談をし、状況を把握した後、送り出してきました。その一方、相談者の状況によっては送り出さないこともありました。ケースワーカーさんとの初めての出会いがありました。私にとっては生活保護の原点となる出会いであります。秘書なりたての37歳、人生の苦楽も大して分からない私でした。そのケースワーカーさんは、生活保護を受けるとはどういうことなのか、自立への手助けとはどういうことなのか、ご自身の体験を踏まえられ丁寧に時間をかけて教えてくださいました。勉強にと「保護の手引」も下さいました。今でも大切にしております。
8月20日、川越市と所沢市の福祉事務所を視察いたしました。ケースワーカーさんの懸命な仕事ぶりをお聞かせいただきました。ケースワーカーさんのお一人から、「私たちはまずは相談者を信ずることから始めます」。心にしみる言葉をいただきました。生活保護を申請する否か、受給を続けるか否か、相談者と向き合うとき、私はいつもあの大切な原点に戻ります。
2つの例を申し上げます。一例は、50代の男性の方、住所が不定でした。しかし、働く気力は少し残されていました。ならばと土木会社の社長に掛け合い、飯場の一部屋と食事を頭を下げてお願いしました。社長は受けてくださいました。その男性は今でも働き続けています。生活保護を受給しないでよかったと思います。もう一つの例は、中学生を抱える母子家庭の方です。母親は医師からがんと告げられ、入院を求められました。働き続けることはできなくなりました。しかし、生活保護にはちゅうちょをなされていました。私は、子どもさんが高校卒業するまで生活保護を受けましょうと助言をし、ケースワーカーさんへ送り出しました。子供が卒業後、受給を終えました。がんも見事克復なさいました。お子さんは就職され、その後、夜間大学を卒業して母親とともに仲良く暮らされています。期間限定による生活保護を受給してよかったと思います。
さて、生活保護事件の報道に接するとき、一方、あってはならない不正受給の報道、他方、あまりにも痛々しく涙が込み上げてくる報道もありました。3例紹介させてください。最初は、もっとおいしい食事をさせてあげたかったと3歳の息子に謝りながらの遺書を書き残し、餓死したと見られる28歳の母親。大阪市のマンションは電気もガスも止まり、食べ物はわずか食塩があっただけ。夫からDVを受け、転居後は住民票を移さず、生活保護を受けていませんでした。次に、おにぎりが食べたいと日記に書き残し、生活保護を辞退させられた北九州市の50代の男性の孤立死。次に、生活保護の窓口を3回訪れ相談したが、申請できずに40代の姉妹が孤立死した事件が札幌市でありました。
こういった事件に接するときに、私は最後の安全網、生活保護の必要性を強く感ずるのです。本当に困っている人々にはきちんと受給してもらいたい、心から思うのです。
それでは、お伺いします。1点目は、生活保護を申請する権利、この権利は守られなければなりません。本県は各福祉事務所に対し監査を実施しております。監査の第一は、申請の権利を侵害していないかであります。しかし、本県内三郷市において申請する権利を侵害したとする判決がありました。お聞きしたいのは、その三郷市で起こった事件ですが、その内容を簡潔にお聞かせください。また、本県は、その原因はどのようにお考えか。また、本県内において今後申請する権利を侵させませんとの決意もお聞かせください。
2点目は、本県の不正受給の実態についてお尋ねします。不正受給はあってはならないことです。不正受給が多くなった理由は何か。多くなったとはいえ、その不正受給は受給額全体の何パーセントとなるのか。また、どのように返還をされているのか、お答えください。
3点目は、不正受給をなくすために、本県は今後どのように取り組まれるか、福祉部長のご所見をお伺いします。
A 鈴木豊彦 福祉部長
まず、「三郷市で起こった事件の内容」についてでございます。
これは、三郷市に在住する方が、1年半にわたって何度も生活保護申請の意思を示したにもかかわらず申請を拒否されたことに対して、市を被告として損害賠償請求訴訟を提起したものでございます。
平成25年2月、さいたま地裁は、この事実関係を生活保護の申請権の侵害に当たると認定し、三郷市に対して賠償金の支払いを命じる判決を下しました。
この訴訟が起きた原因は、相談者に生活保護申請の意思があれば、まずは申請を受理しなければならないという生活保護制度についての理解が三郷市においては十分でなかったことにあると考えます。
県では、この判決後、改めて全ての福祉事務所を招集し、適正な申請の受理について徹底を図ったところでございます。
今後も引き続き、生活保護の申請権の侵害を行うことがないよう、県としてしっかりと取り組んでまいります。
次に、「不正受給の実態について」でございます。
お話のように不正受給は、金額、割合とも年々増加傾向にありまして、平成24年度における、さいたま市を除いた本県の不正受給額は7億6千万円、保護費全体に占める割合は0.6パーセントとなっております。
このように不正受給が増加している理由といたしましては、リーマンショック以降受給者が激増したことと併せて、平成21年度から課税調査を強化いたしまして、不正受給の洗い出しを進めたことによるものと考えております。
不正受給した保護費の返還につきましては、現金が残っている場合は直ちに返還をしていただきます。
また、すでに消費してしまった場合についても、生活に支障が出ないよう分割納付により返還してもらっております。
次に、「不正受給をなくすための今後の取り組み」についてでございます。
不正受給の原因は、就労収入や年金収入の申告漏れがほとんどでありますので、これをなくすには、まずはケースワーカーが受給者の生活実態を正確に把握し、収入をありのままにきちんと申告するよう指導することが基本でございます。
そのため、県では、ケースワーカーが不足している市に対しましては、今後も幹部職員を派遣いたしまして、その適正配置を強く要請してまいります。
また、引き続き課税調査を徹底するとともに、悪質な不正受給者については積極的に告訴するよう福祉事務所を指導してまいります。
今後とも、真に困っている方については、その状況を十分把握し必要な保護を行うとともに、不正受給には毅然とした対応を行うことにより、生活保護制度の適正な運用に努めてまいります。
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