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掲載日:2019年6月3日
Q 藤澤慎也議員(刷新の会)
既にご承知のとおり、学習指導要領で指導を義務付けている国旗掲揚と国歌斉唱を「強制」と記述した実教出版の日本史教科書について、本県の県立高校8校が平成26年度から使用を希望していることが報道で明らかになりました。「強制」と記述した同社の教科書をめぐっては、東京都教委が適切でないと各校に通知、大阪府教委も一部の記述が一面的だとする見解を各校に通知、神奈川県教委は使用を希望した学校長に再考を促しました。再考要請に対し、一部の反発はあったものの、神奈川県教委の具志堅委員長は最終的に教科書を決定するのは教育委員会、不当だとは思っていないとの見解を示しております。
しかし、本県では学校の判断を優先し、全ての教科書の記述を並べて比較し、生徒に考えさせる教諭用の指導資料集を独自に作成し、文部科学省の検定を通っている教科書だから問題ないと実教出版の教科書採択を決定いたしました。
その後、閉会中に文教委員会が開かれ、改めて実教出版の教科書採択について審議されました。その中で、当時の教育委員会委員長が県立中学校の歴史教科書採択のときと比べて、数の多さからしっかりと教科書を読んでいなかったこと、教科書の主な執筆者である君島和彦氏が所沢高校卒業式ボイコット事件時のPTA会長で子供たちを先導したことや、竹島は韓国領と主張していることなどの情報は事務局より知らされていなかったことなどが明らかになりましたが、埼玉県教育委員会は再審査をしないとのかたくなな姿勢を崩しませんでした。やむなく文教委員会では高校日本史教科書の再審査を求める決議が提案され、賛成多数で可決されたと伺っております。
私も実教出版の教科書を一部拝見させていただきましたが、国旗・国歌の強制との記述のみならず、今まで見たことのないくらい一方的な歴史観、いわゆる自虐史観によって書かれているものとの感想を持ちました。例えば、先の大戦において沖縄戦で日本軍は沖縄県民を集団自決に追い込んだと記載されておりますが、本年7月29日に福岡高裁那覇支部で判決が下された、いわゆるパンドラの箱訴訟では、集団自決の軍命令の誤りが立証されております。この件では、わが会派の鈴木代表が現地調査に赴き、当時現場にいた方からの証言を伺っており、むしろ自決をさせてくれと言っていた島の住民に対して、自決してはならんと逆の命令をしていたとのことであります。現在も鈴木代表のホームページに、この証言動画も掲載されており、明らかに事実と異なることが教科書に掲載をされております。
また、実教出版の教科書には日本が朝鮮、台湾を侵略との記載がありますが、先日行われた台北駐日経済文化代表処への日台友好議員連盟の表敬訪問では、台湾大使から、台湾で鳥山頭ダムを造り、台湾農業の近代化に貢献した日本の八田與一技師をたたえる資料をいただいたと伺っております。台湾の国民や教科書は八田與一氏の活躍を称賛しているにもかかわらず、ふるさと日本の教科書ではただの侵略と教えるとは全くおかしなことであり、この教科書で教わった生徒たちが果たして自国や故郷に誇りを持っていられるのか疑問に思います。
これらに限らず、あらゆる箇所で事実が疑わしいとされていることが自虐史観に基づき記載されており、大変問題があると思っております。文部科学省の検定を通っているから、全ての教科書と比較することのできる教諭用の指導資料集があるから補完できるとのことですが、教科書によっては事実でないとの判断から記載をしない事象もあるはずです。そのような事象についてはどのように比較をするのでしょうか。
また、先ほどの沖縄集団自決の軍の強制を記載したものでも、軍命令はなかったと確定された裁判の結果については教科書に当然触れられておりませんが、どうやって事実を教えるのでしょうか。そもそも指導資料集に掲載できるのでしょうか。今回の採択は、指導資料集ありきで後は学校任せとも受け取れますが、本当に大丈夫なのでしょうか。私どもは、未来を担う生徒たちに間違った歴史ではなく真実を伝えていただきたい、その思いだけであります。教育委員会委員長ならびに教育長に、この生徒にも配られないでどう公平性を担保できるのかよく分からない指導資料集の中身、今後の方向性についてお伺いをいたします。
また、今回の一連の騒動によって、持ち回りで教育委員会の委員長が一年ごとにかわる慣例について問題がないとお考えなのか、今後改革するお考えはあるのか、教育委員会委員長にお伺いをいたします。
A 千葉照實 教育委員会委員長
いずれの教科書も、文部科学省の検定に合格したものではありますが、昨年来の教科書採択にかかる教育委員会の審議の中で、歴史的事件や事象の扱いにおいて、書きぶりに幅があるという懸念が示されております。
そうした懸念を払拭するために、教科書の書きぶりを踏まえ、事務局に対して、教員が多面的・多角的な視点から、適切な教育指導を実践できるような指導資料集の作成を指示し、準備を進めているところでございます。
この指導資料集の作成には、子供たちが、自国の歴史や文化の良さを知り、わが国と郷土を愛する心、物事を公正に判断できる力を持ち、健やかに成長してほしいという教育委員の熱い思いと期待が込められております。
従いまして、来年度からの活用につきましても、事務局に指示をし、しっかりと取り組ませてまいります。
グローバル化が進む中で、わが国と郷土を愛する心を育てることは、一層大切になってくると認識しております。
今後とも歴史教育にしっかりと取り組んでまいります。
次に、教育委員会委員長の在任期間についてでございます。
法律により、原則として、委員の任期は4年、委員長の任期は1年とされています。
また、委員長は、教育委員会の会議を主宰し、教育委員会を代表することとされています。
委員長には、教育行政の課題や教育委員会の職務権限に関する知見、委員としての経験が求められますことから、本県では、再任された場合でも、結果として、在任期間は1年余りとなってきております。
委員長の在任期間や選出の在り方について、さまざまなご意見があることは承知いたしております。
いただきましたご意見の趣旨を、全委員に伝え、共通認識を図ってまいりたいと存じます。
A 関根郁夫 教育長
指導資料集につきましては、教育委員から事務局に指示があり、作成しているものでございます。
内容につきましては、教員が教科書の記述の違いを把握した上で、多面的・多角的に指導することができるように、教育委員の意見をお聞きしながら教科書の記述比較を中心に作成しております。
次に、今後の方向性でございますが、教育委員の意見や一連の議論の中でいただいたご指摘を踏まえながら、国の見解や公式な統計資料等を盛り込み、充実を図ってまいります。
今後は、早期に完成させるとともに、学校に対しては、校長会議において、指導資料集作成の意義や活用についてしっかり周知をいたします。
また、教員に対しては、すべての高校を対象とした研修会において、その活用方法について周知徹底を図ってまいります。
その上で、来年度は、教育課程研究協議会や研修会において、各学校の実践事例を収集、発表させるなど、その活用と検証に取り組んでまいります。
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