トップページ > 埼玉県議会トップ > 定例会・臨時会 > 定例会概要 > 平成25年9月定例会 > 9月30日(月曜日) > 藤澤慎也(刷) > 平成25年9月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文 (藤澤慎也議員)
ここから本文です。
ページ番号:11298
掲載日:2019年6月3日
Q 藤澤慎也議員(刷新の会)
環太平洋経済連携協定、いわゆるTPPの交渉会合が進んでおりますが、焦点の一つが農産物の関税措置、市場開放となれば日本の農政に影響を与えるため、交渉の行方に注目が集まっております。ただ、農業関係者も黙って見守っているばかりではないようです。アジアをはじめ世界各国で日本の果実の品質は世界一と言ってよいという声が上がるなど、日本の農産物に対する信頼感が高いことから、よりおいしい新たな品種を開発し、ブランド化を進め、食品の需要拡大が続く国、地域への輸出を増やすことで強い農業を目指そうと動き出しました。
例えば、果物で人気の高いイチゴ、福岡のあまおうは遠距離輸送に耐える硬さや耐病性を向上させることで海外販売の強化を目指しています。新品種の開発競争を促すもう一つの理由が地球温暖化です。高温等の異常気象による品質低下や生育異常、病害虫などの被害が進んでいるところがあり、その対応、対策が急がれています。本県でもブランド米である彩のかがやきが猛暑による高温障害を受け、大きな被害が出たことは記憶に新しいところでございます。
一方で、日本経済新聞社が実施した調査によると、本州が北限だったサツマイモの露地栽培を北海道が開始、千葉県では亜熱帯果樹の導入が検討されているなど、全国的に温暖化を逆手に取った新しい果実の研究が盛んになっていることも明らかになっています。
ところで、本県内には7つの農業関連研究施設があり、日夜さまざまな研究開発が行われております。その中の一つ、水田農業研究所に本年1月、環境農林委員会の視察で伺いました。彩のかがやきの高温障害を防ぐための品種改良や技術研究などが行われるとともに、小麦の新品種の栽培技術、在来大豆の安定生産技術など、本県農業の基礎を支える研究開発の一部を垣間見ることができました。ただ、正直なところ、施設や人員体制が十分なのかは疑問に感じるところがありました。
農業は国の成長分野と期待されています。さきに述べたとおり、国内外で激しさを増す開発競争、温暖化対策対応など、全国産地で繰り広げられる切磋琢磨は私たちの食卓を豊かにするのと同時に、日本の農業の成長、強い日本の農業実現の一歩へとつながります。本県も例外ではなく、品種改良や生産技術向上を積極的に行い、成長とともに強い農業を実現させなければなりません。また、研究開発、技術革新を進めていくことは、本県農業従事者中間層の支援にもつながり、本県農業の底上げにもなるのではないでしょうか。そのためにも、本県内7つの農業関連研究施設の役割はこれまで以上に重要になると考えます。
そこで、これまでも人員の集約、効率化などを図るなど、限りある人員の中で最大限の成果を引き出せるよう尽力してこられたと思いますが、本県の農業を支える研究開発、技術開発、革新を進めるためにも、その人材確保は大変重要であると考えますが、今後どのように進めていくのか、農林部長にお伺いをいたします。
A 高山次郎 農林部長
議員ご指摘のとおり、本県農業の基礎は技術力であり、その人材確保は極めて重要であります。
農業を取り巻く環境の変化に機敏に的確に対応し、埼玉農業の競争力を強化するため研究開発、技術革新を進める必要がございます。
そこで、課題に応じた職員の機動的な配置を進め、特に重点的に取り組むべき分野には必要な人員を配置しております。
例えば暑さに強い「彩のかがやき」の品種開発を急ぐため、水田農業研究所に4人の専任の研究者を配置し、研究開発の加速化に努めております。
このような専門的な知識、技術を持つ人材を将来を見据えた研究テーマの下に集め、緊急の課題にも柔軟に対応できる体制を組んでまいります。
また、民間や他県、国の機関との共同研究も進めております。
国の機関との研究協力で、芳香シクラメンにイオンビームを照射することにより、新たな花色を出現させることに成功しております。
このほか、民間の農器具メーカーと共同開発に取り組み、ネギの平床移植機を開発し、生産規模を5ヘクタールにまで拡大した例もございます。
今後は民間の技術やノウハウを活用し、農業が新たな成長産業として県内産業をけん引していけるような先端技術研究にもチャレンジしてまいります。
さらに、最新の研究成果や生産技術を県内の産地に、適時適切に伝え、生産力のアップにつなげていくことも重要であります。
今年度、普及指導の高度化のために配置しております農業革新支援担当を大幅に拡充し、農林総合研究センターに常駐配置いたしました。
研究者と普及指導員の連携をこれまで以上に図ることにより、最新の研究成果や生産技術を現場にいち早く伝えてまいります。
こうした取り組みをさらに進めることにより、試験研究機関の総合的な技術力を高め、埼玉農業の強みをいかんなく発揮できるよう必要な人材の確保に努めてまいります。
お問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください