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掲載日:2019年6月3日

平成25年9月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文 (木下高志議員)

共助社会形成に向けた意識の醸成について

Q 木下高志議員(自民

先日、アメリカのボストンで、日本円にして約400万円の現金等が入ったバッグを拾ったホームレスの男性がこれを警察に届けたところ、無事、持ち主の元に戻ったというニュースがありました。そうしたところ、類いまれな品性と正直さを持つこの男性の人生を変える手助けをしようと、全米中から約1,400万円の募金が集まり、その中には子供たちもいたとのことでした。
また、少し前になりますが、南浦和駅の救出劇のニュースは全世界に伝えられ、日本人の共助の精神が高く評価されました。
さらに、知事からは、さきの予算特別委員会において、毛呂山町の川角中学校が修学旅行の際、自分たちが乗車した新幹線の車内を清掃して帰った行為が新聞等に掲載され、大きな話題になったことから、この小さな善行を「川活」と称し、県内に広げていこうという動きがあることもご紹介していただきましたが、これもまた大きな反響を呼びました。このように一つの行為が一瞬のうちに社会に広がり、世論を動かすことになるのは、情報化社会の一端をうかがわせる現象でもあります。
本県では、日本一の共助県づくりを進めているところですが、ただ今お話しさせていただいた事例が示すように、すばらしい共助の事例を広く効果的に発信することができれば、これを一瞬のうちに多くの県民の心に浸透させることも夢ではありません。そのため、県民の善行や共助につながる取り組みを積極的に発掘、発信していくべきではないでしょうか。
先般、埼玉県が発行した「共助」虎の巻は、マスコミでも大きく取り上げられましたが、社会は美談を欲しております。しかし、県庁内ではこの種の話は、危機管理情報や事故情報とは違い、トップに到達するまでには時間がかかるのではないでしょうか。南浦和の美談も、その情報は新聞やテレビからであり、決してリスク情報のような形で組織を駆け上がることはありません。共助社会を形成するためには、共助の好事例などを積極的に発信できるよう、その情報の取り扱いレベルを上げる必要があると考えます。可能であれば、知事のブログなどにも共助の好事例をさらに紹介していただければ、より効果的だと思います。
私は、お互いが助け合い、自分たちの住む地域社会をより良くしていこうとする共助の精神は、私たち日本人が昔から培ってきた知恵であると考えます。その知恵は、どのような過程で形成されたかというと、一人ではどうにもならない困難な課題に直面したとき、われわれは周りの人たちと力を合わせる、まさに共助という手法でこれを克服しようと考えたのだと思います。地域のさまざまな課題をしっかりと把握して、共助の取り組みへとつなげていく。最近の事例で言えば、子供たちを取り巻く安全な環境が必要だということで、地域の子供たちの見守り隊ができたり、核家族が増えたということで親同士の子どもの預け合いの仕組みができました。
このように課題から共助が生まれるのであれば、発想を転換し、県が施策により課題を解決しようとする際、これに共助の視点を加え施策を展開してみてはいかがでしょうか。例えば本県が進めているわがまち防犯隊は、地域の治安を守ることを目的に結成されたわけですが、参加者同士のコミュニケーションが醸成されることによって共助社会の形成にも貢献しておりますし、地域の活性化やまちづくり、参加者自身の健康増進にも寄与しているものと考えます。防犯隊の取り組みが、全く畑違いの課題を解決している可能性があると言うこともできます。
そのため、今後は各部局で行われているさまざまな業務について、共助の視点を取り入れた事業展開を図るべきと考えます。そして、こうした事業展開と併せて共助につながる取り組みを積極的に発信することで、多くの県民を巻き込んだ一大ムーブメントを起こし、共助社会形成に向けた意識の醸成を図るべきと考えますが、上田知事の所見をお伺いいたします。
また、県においては、地域社会の一員でもある県職員も積極的に地域に溶け込み、県民の生の声を聞くことによって住民ニーズを的確に把握することが重要であると考え、社会貢献活動を職員に奨励していると聞いております。これも共助の一翼を担う活動と言えます。県庁職員の専門的知識や技術、経験をそれぞれの地域において生かし、地域づくりに積極的に参加していくことはとても有意義であり、職員の行った社会貢献の好事例は、県民に対しても情報発信ができるのではないでしょうか。
そこで、現在このような活動を行っている職員はどのくらいおり、その成果は出ているのでしょうか。予算ゼロ円の事業ということもあり、大変有意義であることから、ぜひとも活発に行っていただきたいと考えますが、今後さらなる参加を促すよう何らかの方策を講じるのか、総務部長にお伺いいたします。

A 上田清司 知事

私は、人は本能的に人の役に立ちたい、人に喜ばれたいという心を持っているのではないかと思います。
小さな子供にものを頼んだりすると、大変喜んで何回も同じことをやろうとします。喜んだのでそれに応えようとする心が芽生えてる、私はそんな風に思っておりますので人間は本来そういうものを持っていると思います。
JR南浦和駅での救出劇や川角中学校の小さな善行は、本来人間が持っているそうした精神から生まれた自然な行動であり、だからこそ多くの方々の共感を呼んだのだと思っております。
私は準備を十分することなく知事に就任した経過もあり、2年後に自分自身の実務経験も踏まえて「埼玉グランドデザイン」を発表させていただきました。
その中で、自助、共助、公助の概念というものを明らかにし、中でも、埼玉県の将来についてこの「共助」というものを大事にしていかなければならないという考え方を述べました。その考え方は一貫してその後の県政の中に取り込んでいるつもりでございます。
実践的な事例としては、元気な高齢者が支援を必要とする高齢者を助ける「地域支え合いの仕組み」、一石三鳥の効果があるこの仕組みは現在41市町に広がっております。今月からは、所沢市とときがわ町でも始まります。
ボランティアの活動時間も平成21年度は年間で約3,000時間でございましたが、これが平成24年度には約52,000時間へと17倍に増えてきております。
このほかにも、ご紹介がありました日本一のわがまち防犯隊、生活保護世帯の子供に対する学習支援、川の国応援団、彩の国ロードサポート、学校応援団など、たくさんの共助の取り組みが大きな成果を挙げております。
さらにご紹介がありましたように、今年度からは若い世代にも共助の活動を広げるために、子育て中の親が子供を預け合い親同士の交流を図るとともに、地域活動や自己啓発の時間も生み出す「子育て預け合いの仕組み」も始めました。
また、高齢者の「閉じこもり」を防ぐために、買い物に来た高齢者にお店の人が声を掛けながらスタンプを押して、10個たまると特典が付く「コバトンお達者倶楽部」も始めました。
これによって外に出ることが苦にならなくなるようにするという仕掛けであります。
このように埼玉県では県政のさまざまな分野で、地域の人々が共に支え合う共助の仕組みというものを広げてきたつもりでございます。
これからも、未来を開くような、できれば埼玉だけではなくて普遍的な全国に通用するような共助の仕組みを各部局の政策でより多く取り入れていきたいと考えております。
そして、こうした取り組みとともに、優れた共助の事例を積極的に発信することで、一人一人の共助の意識をこれまで以上に高め、県民総ぐるみの共助のムーブメントをさらに高めていきたいと考えております。

A 三井隆司 総務部長

職員がボランティア活動や地域活動などの社会貢献活動に参加することは、県庁と異なる価値観や考え方に触れる良い機会であり、行政を推進する上で必要とされる県民目線を身につけることにもつながります。
こうしたことから、今年度から「職員みんなで地域活動」運動を展開しているところでございます。
運動を展開するに当たって、本年6月、職員の社会貢献活動などへの参加状況を把握するためアンケートを実施しました。
その結果、知事部局の職員約6,700名のうち3割の約2,000名の職員がボランティア活動や地域活動など何らかの社会貢献活動に参加していることがわかりました。
これらの職員の中には、地域の無形文化財として受け継がれている獅子舞の保存活動に参加し、伝統芸能の継承に貢献している者がおります。
このほか、独居老人を見守るボランティアを行うことで、地域にお住まいのお年寄りの安心安全に貢献している職員や地元市で開催しているお祭りのイベントの実行委員長を務め、地域活性化に寄与している職員もおります。
このように、多くの職員がこれまでの県庁生活で培った経験などを活かして、地域での活動に取り組んでおります。
社会貢献活動への参加は、地域の実情や県民ニーズを把握する機会となったり、それぞれの職員が抱える政策課題の解決の一助ともなります。
今後も、活動への参加を支援するため、職員が参加したい、あるいはこれならば参加が可能であると思えるような活動の情報の提供を積極的に行ってまいります。
また、地域社会への貢献が顕著な職員を表彰するなどして、社会貢献活動参加の気運の醸成を図ってまいります。
こうした取り組みによりまして、さらに多くの職員が進んで社会貢献活動に参加するよう働きかけてまいります。

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。

お問い合わせ

議会事務局 政策調査課  

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

ファックス:048-830-4923

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