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発表日:2024年3月14日11時

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県政ニュース

『埼玉県史料叢書26 栗橋関所史料七』を刊行します ―江戸時代後期の関所番士が伝えた知識と情報―

部局名:教育局
課所名:文書館
担当名:史料編さん担当

直通電話番号:048-865-0112

埼玉県の歴史と文化にとって重要な史料を、解読・編集して刊行する史料集が『埼玉県史料叢書(さいたまけんしりょうそうしょ)』です。この度、その第26巻として「栗橋関所史料七」を刊行しました。

江戸時代、現在の久喜市栗橋には、利根川を渡るための渡船場があり、交通の取締りを行う関所(栗橋関所)が設けられていました。本書は、栗橋関所に関する史料を収録した既刊の「栗橋関所史料」一から六の続編に位置付くもので、全7巻を計画しているうちの最終巻に当たります。

「雑事聞書」は、足立家の当主が自身の知識や、周囲で起こった出来事の風聞をまとめた記録です。本書には、県立文書館収蔵の「足立家文書」の中から、足立家7代目当主の十右衛門が記した雑事聞書や、10代目足立柔兵衛が、明治2年(1869)に記した記録などを、その他補遺史料と併せて20点の史料を収録しました。

本書は県内の公立図書館等に配布するほか、有償頒布を行います。地域史研究や生涯学習に是非御活用ください。

1.本書の特色

足立家は寛政12年(1800)から代々栗橋関所で通行改めなどをする関所番を勤めた家です。同家が伝えた「足立家文書」全1391点は、県立文書館に寄贈され、そのうち94点は県指定有形文化財(指定名称「栗橋関所日記及び関係資料」)となっています。栗橋関所の運営実態などを知る上で重要な史料群です。

本書に収録した雑事聞書は、足立家の当主が、神話や歴史などの知識や、当時の幕政に対する評価、周辺で起きた出来事などをまとめたものです。7代目足立十右衛門は、81歳という当時としては長命な生涯を送り、社会を生きるための処世術や心得を、子孫に書き残しました。内容は雑多なものですが、江戸時代後期に生きた人物の心情や思想、社会への関心がうかがえる興味深い史料です。

その他にも、10代目足立柔兵衛が明治初期に葛飾県に出仕していた際に記した公用記録や、弘化2年(1845)に浜松藩の水野家が山形へ転封する際に、栗橋関所を通過した時の記録、足立家が奥羽筋の大名と行なった書簡のやり取りを記録したものなど、江戸時代後期の栗橋関所の様相をうかがう上でも貴重な史料を収録しています。

2.収録史料の概要

本書に収録した史料は、次の通りです。

「雑事聞書」16冊

7代目足立十右衛門が様々な情報をまとめたものです。前巻の「栗橋関所史料六」では、文政12年(1829)頃から弘化期(1844~1847)のものをまとめましたが、本巻では、弘化2年(1845)から嘉永2年(1849)頃に記されたものをまとめました。それぞれの史料の名称は異なりますが、あわせて「雑事聞書」を総称としました。

「雑書」1冊

10代目足立柔兵衛が明治2年(1869)に葛飾県に出仕していた際に、職務上で作成したり授受したりした様々な文書をまとめたものです。葛飾県は、明治政府が明治元年に設置した県で、明治2年正月に栗橋関所が廃止された後、足立家は葛飾県出仕となりました。明治維新期の当地域の状況を伝える、貴重な史料です。

補遺史料2冊

弘化2年(1845)に浜松藩の水野家が山形へ転封する際に栗橋関所を通過した時の記録「水野金五郎殿所替御用一式手控」と、栗橋関所を参勤交代等で使用する奥羽筋の大名と足立家との往復書簡を記録した「書翰留」を収録しました。

参考史料1点

鳩ヶ谷(現川口市)の出身で、不二信仰を広めた小谷三志(1765~1841)が、天保3年(1832)に足立十右衛門に贈った「人生訓」を収録しました。

3.収録史料のトピック

本書収録の史料から、江戸幕府老中水野忠邦の失脚と、当時を生きた十右衛門の水野評をみてとることが出来ます。

〈史料一〉「雑事聞書 全」弘化二年正月

〈史料三〉「諸雑書」弘化三年正月

この頃、江戸幕府では天保の改革を進めた老中の水野忠邦が失脚する事件が起こりました。十右衛門は忠邦失脚後の幕政や幕閣の評判などを、雑事聞書の中に記しています。十右衛門は忠邦のことを「御才発之御方」(史料一)と評価し、忠邦の行なった改革を「御改革ニ而下々之為ニも可相成事多し」(史料三)と好意的にみています。

 

そのほか、史料についてのトピックは文書館のホームページを御覧ください。

4.書誌情報及び有償頒布

書名:『埼玉県史料叢書26 栗橋関所史料七 雑事聞書Ⅱ』

判型:A5判

ページ数:428ページ(本文及び付録)

有償頒布場所:県政情報センター(県庁衛生会館1階)

頒布開始時期:3月14日(木曜日)から

価格:税込2,827円

有償頒布に関すること:県政情報センター(電話048-824-2111、内線2890)

報道発表資料(ダウンロードファイル)

『埼玉県史料叢書26 栗橋関所史料七』を刊行します―江戸時代後期の関所番士が伝えた知識と情報―(PDF:664KB)

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