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発表日:2025年5月22日11時
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部局名:教育局
課所名:文書館
担当名:史料編さん担当
直通電話番号:048-865-0112
Email:p650112@pref.saitama.lg.jp
県立文書館では、6月7日(土曜日)から9月7日(日曜日)まで、企画展「書類のなかの戦争」を開催します。
終戦から80年を迎える本年、当館では初めての試みとして、戦時下の埼玉を取り上げた企画展を開催します。戦時下の埼玉では、多くの人びとが地域で見送りを受けて戦地へ向かう一方、残された家族が生活に困らないよう、援護事業が実施されました。また、戦争を続けるために多くの資金や物資が必要となり、経済を安定させるために貯蓄の奨励が、物資の不足を補うために金属の回収が行われました。やがて戦局が不利になると、空襲から自分自身を守り、生活を続けるための対応が模索されました。
本展では、戦時下の埼玉で作られ、残された書類から、当時の人びとの暮らしぶりや戦争との関わりを読み解きます。
展示概要
(1)会期:令和7年6月7日(土曜日)から9月7日(日曜日)まで
(2)会場:県立文書館(さいたま市浦和区高砂4-3-18)
(3)休館日:毎週月曜日、国民の祝日及び館内整理日(7月31日)
(4)開館時間:9時から17時まで
(5)観覧料:無料
(6)交通案内:JR浦和駅西口下車徒歩15分、JR中浦和駅下車徒歩18分
プロローグ
昭和16年(1941)12月8日、真珠湾攻撃により太平洋戦争が勃発しました。
この日、埼玉県は、戦争に至った経緯や日本の正当性を説く告諭を示し、また、県民に対し戦争への協力を求めるビラを作成しました。幅広い層が理解できるよう複数の媒体で戦争の意義が説明されるとともに、戦争という現実に対処するための具体的な決まりごとや指示が発せられたことがうかがえます。
【主な展示史料】
《告諭第2号》大詔渙発県民覚悟ニ関スル件(埼玉県行政文書埼玉県報216)
《告示第826号》広告看板装飾類等灯大管制施行ノ件(埼玉県行政文書埼玉県報216)
1.見送る人びと
太平洋戦争開戦の4年前である昭和12年(1937)に日中戦争が勃発して以降、中国大陸での戦局は拡大し、多くの人が兵士として動員されるようになりました。県内に残された書類からは、地域における見送りの様子や残された家族への援護の内容などを読み取ることができます。
【主な展示史料】
[出征風景](クレヨン画)(川田氏収集文書11117)
入営軍人の答辞(川鍋家文書636)
川越市銃後奉公会事業概要(伊達徳次郎氏関係文書94)
2.貯める人びと、差し出す人びと
戦時下においては、国債の買戻しや物価上昇の抑制のため、様々な経済施策が行われました。その中で、戦費が必要であるとの宣伝を伴って貯蓄も奨励されました。
集められたものは金銭だけではありません。様々な物資は軍隊での使用が優先されるようになり、家庭にある物も供出が行われるようになります。
【主な展示史料】
預金額突破感謝ノ宴開催(埼玉銀行文書11-126)
[米4斗供出依頼状](諸井(三)家文書3384)
鉄・銅ノ特別回収実施要領(埼玉銀行文書148-41)
3.空襲に備える人びと
昭和18年(1943)に戦局が悪化し、翌年にサイパン島が占領されると、日本本土が米軍による直接空襲の射程範囲に入りました。空襲に備えた対策が書かれた書類からは、人びとが空襲のなかにあっても日々の暮らしを続けるよう努めた様子がうかがえます。
【主な展示史料】
防空用貯水槽設置ノ為県庁敷地ノ一部使用ノ件(埼玉県行政文書、昭4150)
昭和十七年度空襲訓練目標ニ就テ(防空長ノ巻)(岸田氏収集文書33)
[防空講習受講関係書類綴](伊達徳次郎氏文書107)
関東地区金融関係非常駅伝並埼玉銀行非常時対策駅伝路図(埼玉銀行文書124-9)
エピローグ
昭和20年(1945)8月15日、玉音放送により太平洋戦争の終結が人びとに伝えられました。埼玉県は翌日、互いに力を合わせ、心を一つにするよう告諭で呼びかけています。しかし、戦争が終わっても人びとの暮らしにおける混乱は続きます。学校に宛てられた書類からは、時代の変化に合わせながらも学業を継続する試みが読み取れます。
【主な展示史料】
《告諭第1号》 時局収拾ニ関スル件(埼玉県行政文書埼玉県報232)
時局ノ急転ニ伴フ学校教育ニ関スル件(県立杉戸農業高等学校所蔵文書C11871)
《告諭第2号》大詔渙発県民覚悟ニ関スル件(埼玉県行政文書埼玉県報216)、[出征風景](クレヨン画)(川田氏収集文書11117)
預金額突破感謝ノ宴開催(埼玉銀行文書11-126)、防空の心得(伊達徳次郎関係106)
貯蓄報国強調週間実施ノ件通知(埼玉銀行文書30-10)、防空の心得(伊達徳次郎氏関係文書106)