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「むさしの号・リレー号すれちがい(大宮-浦和間)」 福島尚

掲載日:2021年4月27日

TITLE

「むさしの号・リレー号すれちがい(大宮-浦和間)」

ARTIST

福島尚 / FUKUSHIMA Hisashi
日高市在住

Review

福島尚さんの作品の特徴は、細部まで丁寧に書き込まれた鉄道関係の絵である。アクリル絵の具によって描かれた迫力のある列車は写真とは異なる味わいがあり、福島さんの真面目な部分を垣間見ることができる。

大きなカンバスから飛び出してきそうな列車の正面をとらえた構図は、彼がこれまでに見てきた記憶と、空想を混ぜたリアルな非現実の世界である。

彼の緻密に作られた作品は、生まれつきの才能ではない。幼少期から鉄道に関心をもち、クレパスやクレヨンを用いてたくさんの絵を描いてきた努力の蓄積が、今の彼の作品を生み出しているのだ。

彼は本当に鉄道が好きらしく、作品について尋ねると、「楽しかった」と作品だけでなく、鉄道に関する多くのことを教えてくれた。「好き」を続けられる素敵な一人の作家であった。

人を惹きつける福島尚さんの作品は、魅力的な彼だからこそ生み出せる作品なのではないだろうか。

武蔵野美術大学芸術文化学科3年 吉川 裕香