トップページ > 県政情報・統計 > 情報公開 > 情報公開審査会 > 平成19年度情報公開審査会答申 > 答申第116号 「ディーゼル車規制で必要なdpfのうち、特定の法人が、東京都及び8都県市に対し、提出した指定申請書類及び添付データ等について」の不開示決定(平成19年6月20日)
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掲載日:2024年3月26日
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答申第116号(諮問第131号)
答申
1 審査会の結論
埼玉県知事(以下「実施機関」という。)が、平成18年12月4日付けで行った不開示決定のうち次の文書について不開示とした部分は、妥当である。
2 異議申立て及び審議の経緯
(1) 異議申立人(以下「申立人」という。)は、平成18年11月27日付けで埼玉県情報公開条例(以下「条例」という。)第7条の規定に基づき、実施機関に対し次の開示請求を行った。
(2) 上記(1)の開示請求に対し実施機関は、平成18年12月4日付けで、本件請求文書1、本件請求文書2及び本件請求文書4については文書不存在を理由に不開示決定(以下「本件処分」という。)を行い、申立人に通知した。
なお、実施機関は、本件請求文書3については開示決定を行って、申立人に別に通知した。
(3) 申立人は、実施機関に対し、平成19年1月5日付けで、本件処分のうち本件請求文書1及び本件請求文書2に係る部分を不服とした異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)を行った。
(4) 当審査会は、本件異議申立てについて、平成19年1月19日付けで、実施機関から条例第22条の規定に基づく諮問を受けた。
(5) 当審査会は、実施機関から平成19年2月20日付けの「開示決定等理由説明書」(以下「説明書」という。)の提出を受けた。
(6) 当審査会は、平成19年2月20日付けで、説明書を申立人に送付した。なお、申立人は、反論書の提出をしておらず、口頭意見陳述の申立てもしていない。
(7) 当審査会は、平成19年2月27日に実施機関から説明の聴取を行った。
3 申立人の主張の要旨
申立人が主張している内容は、概ね次のとおりである。
(1) 本件請求文書1及び本件請求文書2について、実施機関は「文書不存在」であると述べているが、不存在という状態そのものが著しく不誠実であり、不適当である。
(2) 「Dpf」の装着を強制し、実施機関が公金を付けて普及を促した製品について、どのような審議経緯を経て補助金対象となったかを示す文書が不存在とは、いかなる感覚に基づく回答なのか、感覚が狂っているとしか思えない。いかなる見識に基づく回答なのか。なぜ、不存在なのか。その理由を明示するよう求める。
(3) 「文書不存在」というからには、なぜ、文書不存在なのか。必要かつ十分な説明を行うことを求めて、異議申立てを行う。
4 実施機関の主張の要旨
ディーゼル車規制に対応する装置の指定については、当初、東京都が独自に審査会を設置して、東京都指定の装置として指定を行っていた。(平成13年6月発足。当時、七都県市(現在の八都県市)の指定制度はなし。)
開示請求の対象となった特定の法人のDpf(ディーゼル微粒子除去フィルター)装置(以下「本件装置」という。)は、この指定を受けるため、東京都に申請がなされ、平成14年4月に東京都により指定装置とされたものである。
従って、当該請求に係る指定申請書類及び添付データ、並びに審議内容を示す文書は本県に存在しない。
また、七都県市による装置指定制度は、平成14年6月に発足した。
装置の指定については、東京都がそれまでに指定していた装置すべてを、七都県市指定装置として、一括して平成14年8月に指定した。開示請求対象の本件装置もこの際に指定装置とされた。
七都県市の申請受付及び書類保管は、事務局である東京都が行っていたことから、一括指定時の申請書類及び添付データ並びに審議内容を示す書類は本県には存在しない。
以上、開示しないとした文書については、いずれも本県に存在しないことから、文書不存在としたものである。
5 審査会の判断
(1) 本件異議申立てについて
申立人は、公文書不存在を理由とする本件処分のうち本件請求文書1及び本件請求文書2に係る部分について、理由の提示が不十分であることを指摘し、必要かつ十分な説明が行われることを求めている。この主張は、理由提示の不備により本件処分は違法な処分であって、本件処分のうち本件請求文書1及び本件請求文書2についての不開示決定が取り消されるべきものであることを主張するものと解して、当審査会は本件処分のうち当該部分の妥当性について検討する。
また、開示請求書における「8都県市」との記載については、八都県市首脳会議(その前身の七都県市首脳会議を含む。)を指すものと解し検討する。
(2) 粒子状物質減少装置指定制度について
東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、さいたま市、千葉市、川崎市及び横浜市の首長で構成する八都県市首脳会議(ただし、平成15年3月以前は、さいたま市を除く七都県市の首長で構成する七都県市首脳会議。七都県市首脳会議及び首脳会議に設けられた下部組織を含めて、以下「八都県市」という。)の粒子状物質減少装置指定制度は、東京都、埼玉県、千葉県及び神奈川県で実施しているディーゼル車の運行規制に対応可能な粒子状物質を減少させるDpf(ディーゼル微粒子除去フィルター)装置を、これらの八都県市が共同して指定することを目的とした制度である。
この指定は、八都県市に設けられた環境問題対策委員会大気保全専門部会(以下「専門部会」という。)が行っているが、専門部会は各都県市の職員で構成され、その事務局を現在では各都県市が持ち回りで行っている。専門部会は、この指定に当たって、専門家による審査を行うため八都県市粒子状物質減少装置指定審査会(以下「指定審査会」という。)にその意見を聴くものとされている。この八都県市の指定制度は、平成14年6月に発足したものである。
東京都は、ディーゼル車の運行規制に対応可能な粒子状物質を減少させるDpf(ディーゼル微粒子除去フィルター)装置を指定する制度を、八都県市に先行して平成13年6月に発足させている。
(3) 特定の法人の指定申請等について
実施機関の説明によると、本件装置についての指定申請等の経過は次のとおりである。
(4) 本件請求文書1について
(5) 本件請求文書2について
(7) 理由の提示について
実施機関が本件処分の通知書に「文書不存在」という理由のみを記載したことは、申請者において公文書不開示決定という拒否処分の理由を明確に認識できる程度に示すという点において必ずしも十分とは言い難いが、これをもって本件処分を取り消さなければならないほどの瑕疵とまでは言うことができない。
以上のことから、「1 審査会の結論」のとおり判断する。
6 附帯意見
本件処分の理由の提示が、違法とまでは言うことができない。しかし、実施機関においては、不開示決定通知書に単に「文書不存在」との理由を記載するだけでなく、公文書が存在しない具体的な事情を説明することは可能であった。公文書不存在の場合の理由の提示としては、文書作成の有無に関する調査結果等について、その概略を記載することなどが考えられる。ところで、実施機関では、本件請求文書1及び本件請求文書2が不存在であることの事情を口頭により申立人に対し説明したとのことである。しかし、埼玉県行政手続 条例第8条では、書面による処分の理由提示は、書面で行わなければならないとされているところである。理由の提示は、実施機関の判断の慎重・合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を相手方に知らせて不服申立てに便宜を与えるものである。実施機関においては、開示しないこととする根拠規定及び当該規定を適用する理由を、開示請求者が開示決定等の通知書面の記載自体から知り得るものでなければならないことを強く銘記されたい。
(答申に関与した委員の氏名)
磯部哲、白鳥敏男、渡辺咲子
審議の経過
年月日 |
内容 |
---|---|
平成19年1月19日 |
諮問を受ける(諮問第131号) |
平成19年2月6日 |
審議(第二部会第21回審査会) |
平成19年2月20日 |
実施機関より開示決定等理由説明書を受領 |
平成19年2月27日 |
実施機関より説明聴取及び審議(第二部会第22回審査会) |
平成19年3月15日 |
審議(第二部会第23回審査会) |
平成19年4月19日 |
審議(第二部会第24回審査会) |
平成19年5月15日 |
審議(第二部会第25回審査会) |
平成19年6月20日 |
答申(答申第116号) |
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