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掲載日:2023年10月17日
Q 並木正年 議員(県民)
生態系の頂点であるコウノトリをシンボルとした自然環境の保全、再生については、予算特別委員会や平成29年9月議会で一般質問を行っています。また、同じ鴻巣市選出の中屋敷議員も、昨年12月に質問されています。
国の特別天然記念物であるコウノトリは、県内で唯一、今年40周年を迎えた埼玉県こども動物自然公園で飼育されていますが、そのきっかけは約30年前、国内で絶滅したコウノトリの保護と野生復帰を目指すため、埼玉の豊かな自然環境の再生を図りたいといった初代園長の強い思いから、中国より2羽のつがいが譲渡されたことに遡ります。
私の所属する会派では、県有施設でコウノトリを飼育している意義、そして希少動物保護の重要性から、兵庫県豊岡市のコウノトリの郷公園を平成29年5月に視察しています。
現在、関東5県の29市町が参加しているコウノトリ・トキの舞う関東自治体フォーラムでは、荒川流域エリアや渡良瀬遊水地エリアなど7つのエリアで、水辺や緑地の保全と再生の取組が推進されています。そして、今年6月には、渡良瀬遊水地に設置された人工巣塔で、自然界では東日本初めてとなるコウノトリのひなが確認され、個体識別のための足輪装着時には700名を超える見物客が訪れるなど、関心の高さがうかがえました。
現在、コウノトリをシンボルとして自然環境の保全と地域の活性化を目指す鴻巣市では、国の地方創生拠点整備交付金を活用してコウノトリの飼育施設の建設に着手しており、いよいよ来年度からは飼育と放鳥に向けた取組が始まる予定です。
この間、13年にも及ぶ活動を行ってきたNPO法人コウノトリを育む会を代表するように、多くの関係者の熱意から事業開始に至ったことは、豊かな県土を形成する一翼を担っていただいたことと思っています。3年前、コウノトリを指標とした埼玉モデルの構築を図ってはどうかとの私の一般質問に対して、当時の部長からは、西日本を中心に100羽程度の生息数であることから、野生での絶滅が特に危惧されており、現状では指標を生物とすることは難しい状況であると答弁されています。しかし、当時わずか100羽程度の生息数であったコウノトリは、関係者の懸命な活動によって、今では220羽を超えるまでに至っています。
一般質問後の平成30年2月に改定された埼玉県生物多様性保全戦略では、答弁において、個体数が少ないために指標生物とすることが難しいとされたコウノトリに関する記述を、初めて明記していただいたことは大いに評価しています。前戦略との相違点として、生物多様性保全に関する具体的な施策や目標が設定されており、国や市町村、保全団体等と連携し、必要となる事業の推進を図ることを明記していただきました。
そこで、一つ目の質問として、この間、コウノトリを含めた多様な生物が生息、生育できる豊かな生態系の確保に、これまで国や市町村、保全団体等とどのように取り組んできたのか伺います。
二つ目として、現戦略に明記された必要となる事業の推進とは、人的支援、技術的支援、そして何よりも財政的支援こそが、事業の推進には欠かせない必要な支援だと思います。また、必要な支援を行う場合には、支援される側の求める内容を十分に把握することが重要です。埼玉県の施設以外で、コウノトリを飼育する意義や希少動物保護の重要性を鑑み、埼玉県では初めてとなるコウノトリの飼育、放鳥に向けた取組に対して、どのような必要な支援を行っていくのか伺います。
次に、自然環境の保全と再生についてです。
先月、都市化の進む見沼田んぼで、半世紀以上ぶりとなるキツネの繁殖が確認され、また数日前には3羽のコウノトリも確認されています。野生動物の生息と繁殖には、餌場となる豊かな自然環境の維持と再生が最も重要であり、コウノトリが飛来する豊かな環境を育むことは、埼玉の豊かな水と緑を守ることを意味します。
そこで、三つ目の質問として、自動車税の1.5%相当を財源としている彩の国みどりの基金については、公園や施設周辺の緑化ではなく、生物多様性に限定して運用するべきだと考えます。
以上、3点、環境部長に伺います。
A 小池要子 環境部長
まず、コウノトリを含めた多様な生物が生息・生育できる豊かな生態系の確保に、国や市町村、保全団体等とどのように取り組んできたのか、についてでございます。
豊かな生態系の確保には、緑の保全・創出や希少な動植物の保護が極めて重要です。
緑の保全・創出につきましては、国や市町村と協力しながら貴重な緑地の公有地化を進めるほか、ボランティア団体や自治会などの活動を支援し、環境整備に努めております。
また、希少な動植物につきましては、ムサシトミヨやサクラソウなどの保護増殖や保全活動を、団体や学校、市町村の協力をいただき県内各地で行っております。
生態系の頂点に位置するコウノトリは、エサが多種多様であることや 行動範囲が広大であることから、県を越えた広域的な連携が必要です。
国や関係する県と市町で構成する協議会で、生息環境の保全整備について専門家も交えての検討を行うなど、コウノトリを含めた多様な生物が生息・生育できる生態系の確保に努めてまいります。
次に、コウノトリの飼育、放鳥に向けた取組への「必要な支援」についてでございます。
鴻巣市でのコウノトリ飼育に向けた取組は、生物多様性保全の観点からも意義深いものであり、県といたしましては、鴻巣市と連携協力してまいりたいと考えております。
これまでも、県こども動物自然公園において、コウノトリを長年にわたり飼育し、ノウハウを蓄積している県公園緑地協会が、餌の与え方や衛生管理に関する助言を行っております。
また、県水産研究所では餌となるフナの増殖の指導を行うなど、専門的な技術を提供してまいります。
飼育を開始した後も放鳥までには長い時間と多くの課題解決が必要です。
議員お話しの点を踏まえ、まずは他県での支援事例も参考にしながら、ニーズを把握した上で財政的支援を含め、どのような支援が必要か、幅広く検討してまいります。
次に、彩の国みどりの基金は、生物多様性に限定して運用するべき、についてでございます。
県は、彩の国みどりの基金条例に基づき、「森林の整備」、「身近な緑の保全・創出」、「県民運動の展開」の3つの柱で事業を展開しております。
これらの事業により豊かな植生が回復し、希少種が保全されるなど、多様な動植物から成る生態系が形成され、生物多様性の保全につながっております。
彩の国みどりの基金につきましては、その活用が、生物多様性保全につながるという点も重視し、事業を実施してまいります。
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