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掲載日:2022年3月30日

令和4年2月定例会 代表質問 質疑質問・答弁全文(高木真理議員)

「空気の安全」への配慮について~公的機関の職員に求められるもの~

Q  高木真理 議員(民主フォーラム)

私たちは、呼吸をして暮らしています。吸い込む空気は公共財です。息を吸わずに生きることはできません。この空気が汚染されては健康に悪いということで、大気汚染は、行政の監視対象になっています。
しかし、今、大気という広範囲の気体ではなく、自分の半径数メートルの気体が健康被害をもたらすという化学物質による空気汚染が問題になっています。香りの害、香害です。
私は、平成29年12月定例会でこの質問をし、以降、当事者にお会いする機会も増えましたが、当事者の方の症状の重さ、空気を普通に吸えないという制約の強い生活など、その深刻さに驚くばかりです。香り成分などの化学物質に暴露したことで様々な健康障害が出ることを香害と呼びますが、香害が高じると化学物質過敏症に移行する人が多くなります。2012年の東近畿大学准教授らによる、化学物質に関する高感受性全国実態調査によれば、症状の重さはそれぞれながら、100万人以上の人が苦しんでいると推計されています。
発症してしまうと、出掛ける先々で、すれ違う人が使っている柔軟剤、シャンプーなどの香り成分、消臭・除菌スプレーなどで、鼻炎、皮膚炎、動悸、不整脈、頭痛、吐き気、異常発汗、思考力低下、けいれん、運動障害、意識障害など、その人によって異なる深刻な症状を引き起こしてしまうのです。
今、極めて多くの人がこうした香り成分の化学物質の製品を使っているので、当事者の方々は外出が困難です。日常生活が成り立ちません。そして、運転免許証を更新しようと思っても警察署に行けない。役所に手続にも行けない。選挙にも行けないということが生じます。香害当事者は、こうした基本的人権を奪われていると言っても過言ではありません。
さて、アメリカでは、2009年、疾病管理予防センター(CDC)が1万5,000人の職員に向け、室内空気環境についての方針、無香料ポリシーを発令しました。CDCが所有、賃貸している全ての建物内で、香料入りの製品の使用を全職員に常時禁止しています。また、職場に入るまでに無香料の状態になるため、香料入りのパーソナルケア用品、香りつき合成洗剤、柔軟剤を使用しないよう推奨しています。CDCは、その理由を「化学物質に敏感な職員の健康に悪影響を与え、専門的な仕事をする環境にふさわしくないから」としていますが、私は、公的サービスを提供する空間で執務する職員の皆さんには、来場する県民の健康を守るため、香害当事者の方々の公的サービスを受ける権利を奪わぬため、無香料での執務を徹底するルールを作るべきと思います。公的サービスの提供空間では、「空気の安全」を保障しなければなりません。
香害について、厚労省は、まだ発症メカニズムが明らかでいないとして、香料規制を求めるには至っていませんが、昨年には5省庁、消費者庁、厚労省、文科省、経産省、環境省連名で、香害の周知と香り製品の自粛を求めるポスターが作成されました。国が香害の存在を認めたという点で、大きな前進です。また、日本医師会も、本年1月5日発行の日医ニュースで化学物質過敏症を扱い、その原因物質に、柔軟剤など匂いのするものを挙げています。
理解が進んできました。ただ気分や香りの好みで言っているのではありません。空気が吸えないから公的サービスを受けられないという被害を県民にもたらさぬため、職員の心がけとして、フレグランスフリーの方針を打ち出していただけないか、総務部長に伺います。

A 小野寺亘 総務部長

家庭で使用されているシャンプーや洗剤などに含まれる香りによって、頭痛や吐き気といった体の不調を訴える方がいらっしゃることは議員御指摘のとおりです。
このようないわゆる「香りの害」については、厚生労働省においても、その原因や発症のメカニズムがいまだ明らかにはされていない状況にあります。
香りの感じ方には個人差があり、自分にとっては快適でも、他の人には不快に感じることもあります。周りの方に対する配慮として、香りに関するマナーを向上させることが必要であると思います。
特に県庁舎には多くの県民の方が訪れることから、職員が香りのエチケットを身に付けることは大切だと考えます。
香りで苦しむ方がいらっしゃることについての理解を深め、マナーアップを推進していくため、さまざまな機会を通じて職員の意識を高めていくことが重要です。
まず、新規採用職員を中心とした接遇研修に香りに関するエチケットについて取り入れていきたいと考えています。
また、ポスターやポータルサイトなど、日頃から目につきやすい媒体を活用した意識啓発を行うとともに、柔軟剤等の香料入り製品は使用量の目安を守ることなど、周囲の方への配慮を職員に呼びかけてまいります。
職員1人ひとりが香りに関するマナーを心がけ、安心して来庁いただけるような環境づくりに取り組んでまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

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郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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