トップページ > 県政情報・統計 > 県概要 > 組織案内 > 企画財政部の地域機関 > 北部地域振興センター本庄事務所 > 一度は必ず訪れたい名所・小平(こだいら)~part1 農村ミュージアムかねもとぐら~
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掲載日:2023年2月7日
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最初に、農村ミュージアムかねもとぐらでお話を伺いました。ご案内してくれたのは、かねもとぐら蔵主の根岸敬明さんです。
かねもとぐらは、明治45年(1912年)に当時の群馬県藤岡町から移築された蔵で、世界文化遺産に登録された「富岡製糸場と絹産業遺産群」の構成遺産「高山社」の116文教場の一つ。
農村ミュージアムかねもとぐら
農村ミュージアムかねもとぐらを案内する根岸敬明さん。詳しく、わかりやすく説明していただきました。
農村ミュージアムかねもとぐらでは、自宅敷地内の蔵を改装し養蚕に使われていた道具や農具、渋沢栄一関連資料が展示されています。ここでは、かつて小平地域を中心とした絹産業遺産について学ぶことができます。
たくさんの養蚕農具などが残されています。
秋平製糸所製糸。80年経っても絹の美しさはそのままです。
かつて、養蚕農家はこのような道具を使っていたのですね~。
小平地区は「高窓の里」として知られており、「高窓の家」と呼ばれる養蚕住宅が残されている集落です。高窓とは、蚕を飼育するときに温度や湿度を調節するための小屋根がついた住宅です。養蚕が盛んな地域では、高窓は蚕の飼育に欠かせないものでした。現在、本庄・児玉地区では養蚕農家は3軒しか残っていませんが、小平では9軒もの「高窓の家」が残されています。こうした「高窓の里」や農村ミュージアムかねもとぐらに展示される農産関連資料から、かつて小平地域では養蚕が非常に盛んだったことが伺えます。このように地域の文化資源として「高窓の家」が保存されることで、養蚕で賑っていた小平の様子をありありと想像することができます。そして、歴史を知り考えることは現在を理解することに繋がります。養蚕や高窓になじみがない私たち若者世代にとっても、こうした文化財や歴史史料を残すことはありがたいことですね。
かねもとぐらでは、根岸さんの曾祖父である根岸坦父(たんじ)に関する史料も残っています。
坦父の母は、高山社を創設した高山五郎と、競進社を開設した木村九蔵を兄弟に持ちます。彼には、養蚕について学ぶベストな環境が整っていたのです。
やがて坦父は高山社の分教場を開き、養蚕の知識を伝え広めました。そして、ただ蚕を繭で出荷するのではなく、生糸という形にして売る方が地域が豊かになるとして、秋平製糸所を開きました。
秋平製糸所で作られた絹の半纏。薄くて着心地が良いです! (知事訪問時、着ているのを忘れてそのまま帰りそうになったのだとか?)
ここで気づいたことは、坦父は自分の身につけた養蚕に関する知識を自分のために使ったのではなく、地域の皆のために役立てたのでないかということです。坦父のように養蚕について豊富な知識があれば、たくさんの蚕を飼育し大量の繭を出荷することで自分の家を潤すことができます。しかし、彼は個人の成功のためだけでなく、高山社の分教場や秋平製糸所を開くことで、より大くの人が養蚕の恩恵を受けられるようにしました。
坦父が、自分だけでなく社会全体の利益を考えていたのであれば、それは彼が愛読していた『論語と算盤』の影響があったのではないかと思います。
蔵には、渋沢栄一翁著の『論語と算盤』も保存してあります。坦父はこれを自分で読むだけではなく、社員教育としても活用していたようです。
渋沢栄一関連資料
『論語と算盤』では、論語(道徳)と算盤(経済)がどちらにも偏ることなく、両方の視点を持ちながら社会と個人の豊かさを目指すことが大事だと書かれています。つまり、金儲けだけを目的としても事業は長続きしないため、物事を行うには人のためになることを前提にしなければならないということです。坦父が行っていた事業は、論語(道徳)と算盤(経済)のバランスが意識されていたように感じます。坦父は、渋沢栄一の『論語と算盤』の精神に影響を受けた一人だったのではないかと想像を膨らませることができます。
かねもとぐらを見学したことで、養蚕について深く学ぶことができました。開国後で資源が乏しかった日本が、蚕という生き物によって経済を作っていったことが、蚕を知らない世代として非常に興味深かったです。
養蚕をしている農家は、現在ほとんどありません。かねもとぐらには、かつて盛んだった養蚕や製糸のことを発信し続けていただきたいです。現在では衰退してしまった養蚕ですが、小平地域で今と昔で変わらないことがあります。それは、他人のことを思いやる小平の人々の温かい心です。後にも触れますが、小平の人々には、地域を愛する心と地元に貢献したいという強い思いを持っていると感じました。小平において、「自分だけではなく、みんなが幸せにしたい」という人々の思いは、坦父が活躍した頃と変わっていないのかもしれません。
★農村ミュージアムかねもとぐら
定休日: 木曜日 ※見学するには、本庄市観光農業センター(0495-72-6742)に事前予約をしてください。
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