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掲載日:2021年10月11日
Q 松坂喜浩 議員(改革)
中央省庁や地方自治体の障害者雇用の水増しが発覚してから、約1か月が過ぎました。埼玉県の障害者雇用ですが、教育委員会からの報告によると、障害者雇用数に含めていた492人のうち139人について障害者手帳を確認できず、実際の雇用数は353人でした。障害者雇用率も2.2%としていましたが、再調査後は1.66%。私も以前に障害者雇用率を確認したことがありましたが、そのときはおおむね1.6%でしたので、2.2%まで一気に率が上がったというのは驚くものでしたが、ふたを開けてみれば水増しという残念な結果でございました。
小松教育長は、今後は障害者の雇用状況を適切に確認し、障害者雇用の推進に努めるとのコメントを出されていました。早期に改善していただくことをお願いしながら、以下7点についてお伺いします。
1点目、障害者雇用納付金制度に基づき、2017年度に民間企業が国に支払った納付金の合計が293億円、月に換算すると1人当たり約5万円相当になりますが、教育委員会の場合で算出すると合計幾らになるでしょうか。
2点目、過去の法定雇用率を守れなかった分を今後挽回すると思いますが、どのような対策を講じるのでしょうか。スケジュールを含め、お伺いいたします。
3点目、ほかの都道府県の教育委員会における障害者の雇用実態を把握し、それを参考に新たな障害者雇用につながる業務を洗い出すなど、実現可能な方法を見出していただきたいと思います。教育長さんならば、他県の状況を把握されていると思います。
4点目、記者会見で、「障害者と思われたくない人がいたから」と教育委員会が言われたことについて、組織としての見解だったのでしょうか。
5点目、手帳がない人を障害者として雇用率に算入することについて、いつ、誰が判断したのでしょうか。
6点目、教育総務部長は省庁の水増しの状況を問題発覚前に知っていたでしょうか。
以上、6点について教育長の見解をお伺いいたします。
最後に、7点目として、上田知事はこれらの教育委員会の対応について、どう捉えられているでしょうか。お伺いいたします。
A 上田清司 知事
教育委員会には今回の対応を反省し、どうしたら法定雇用率を達成できるかしっかり考えていただきたいと思っております。
教育委員会から職員全体の9割を占めている教員の障害者雇用率を上げる取組が必要だと報告は受けております。
詳しく聞いたところ平成30年6月1日現在、教育委員会全体の障害者雇用率は1.66%でございます。
そのうち教員以外は8.94%であるのに対し、教員は1.04%と低い状態です。
これもまた細かく見ていくと教員の場合、特に小学校では学級担任を持ったり体育の授業を受け持つなど、1人に多くのことが要求されます。
このため、小学校の障害者雇用率は0.44%になっております。
また、細かく指導が必要とされる中学校の障害者雇用率は0.8%になって、極めて低い状態でございます。
まさに小・中・高で各々、教員の役割や仕事の内容が異なると思われますし、学校の規模や施設の状況などによっても様々な違いがあるというふうに考えられます。
こうした学校特有の障害者雇用の困難さや課題を整理した上で、文部科学省と協議したり、国会での議論もされることなども必要かもしれません。
例えば、障害のある教員が在籍する学校に教員を追加で配置ができるような法令改正、あるいは教員OBや地域のシニアなどが障害のある教員をサポートする取組を国庫補助の対象にするなどそうした工夫が必要ではないかと私は思っております。
学校で障害のある教員が働いている姿を見せることは、子供たちにとっては良い影響を私は与えるものだと思っておりますので、是非色々な工夫をしながらしっかり障害者雇用率を達成していただきたいと思っております。
障害のある教員が仕事をしやすい環境を整えることこそ、共生社会の実現につながるものだと思っております。
県教育委員会においては、困難な状況にある小学校、中学校を担当する市町村教育委員会と十分に協議して様々な知恵を絞り、障害者雇用の充実を図るよう最大限に努力してもらいたいと私は考えております。
A 小松弥生 教育長
まず、「障害者雇用納付金制度」に基づき、教育委員会の場合で算出すると合計いくらになるのか、についてでございます。
障害者雇用促進法では、法定雇用率未達成の事業主から、不足する障害者数に応じて障害者雇用納付金を徴収し、それを財源として法定雇用率を超えて雇用している事業主に障害者雇用調整金等を交付することとされております。
しかし、こうした仕組みが地方公共団体には適用されておりませんので、教育委員会における納付金を算出する方法がございません。
次に、今後の対策とスケジュールについてでございます。
教育委員会において障害者雇用をさらに進めていくためには、今まで取り組んできた対策の拡充に加え、特に学校現場において障害のある方が働きやすい環境を整備することを始めとし、様々な方策を実施する必要がございます。
そこで、10月中旬までには学識経験者や民間企業などの外部有識者、市町村教育委員会関係者等で構成する委員会を設置して、今後の具体的な方策を検討してまいります。
スケジュールにつきましては、委員会の議論ですぐに取り組めるものにつきましては、中間報告をいただき、早急に実施してまいります。
次に、他の都道府県の状況を参考に、新たな障害者雇用につながる業務を洗い出すなど、実現可能な方策を見出すべき、についてでございます。
他の自治体や民間企業などの先進的な取組を積極的に情報収集し、本県でできるものは取り入れてまいりたいと存じます。
次に、記者会見で、「障害者と思われたくない人がいたから」と教育委員会が発言したことは組織としての見解だったのか、についてございます。
9月6日の記者会見において、障害者手帳を確認しなかった理由について、「手帳を持っていることを知られたくないという教職員がいるとの情報を耳にしたので、手帳の有無にかかわらず、障害があるという実態をもって障害者と捉えても、趣旨から外れないと考えた」と御説明いたしました。
これは、当時の組織の見解を説明したものでございます。
次に、手帳がない人を障害者として雇用率に算入することを、いつ、だれが判断したのか、についてでございます。
平成25年1月から、全教職員に対し調査を実施し、障害者手帳を持っている場合は、障害の内容や障害等級を申告するよう依頼いたしました。
平成26年度から、教育局と小中学校の教職員に対する調査においては、障害者手帳の有無にかかわらず、身体障害者手帳の1級から6級までに相当する障害がある場合には申告するように変更いたしました。
こうした取り扱いをだれが判断したかについては、今後、過去の担当職員に対する聞き取り調査などを行い、事実関係を明らかにしてまいります。
最後に、教育総務部長は省庁の水増しの状況を問題発覚前に知っていたのかについては、障害者雇用の問題が8月17日に報道されるまで承知していなかった、と聞いております。
再Q 松坂喜浩 議員(改革)
障害者雇用納付金制度について質問させていただきましたけれども、教育長からは、民間企業とは算出方法が違うので、算出方法がないという御答弁をいただきました。民間と違って算出できないということを、言葉では私もそうかなとは思いますけれども、もう一度、その実際についてお伺いさせていただければと思います。本当にないのかどうか、また確認だけさせていただきます。よろしくお願いいたします。
再A 小松弥生 教育長
この障害者雇用納付金の制度でございますけれども、障害者を雇用するためには作業施設や設備の改善、特別の雇用管理等が必要となる等、障害のない人の雇用に比べて一定の経済的負担を伴うこともあり、障害者雇用率制度に基づく雇用義務を守っている企業とそうでない企業とでは、経済的負担のアンバランスが生じてしまうと、そのアンバランスを解消するために達成していない事業主から納付金を徴収して、それを元手として超えて達成している事業主に調整金や助成金を支給するというものでございます。
従いまして、例えば埼玉県の知事部局の方は法定雇用率を超えて雇用しておりますけれども、何らかの調整金がどこかから貰える訳ではございません。
それから、このように一定の経済的負担を伴うというところから出てきている制度でございますので、この例えばいくらかかるのか。という議論をいたしますと、結局県費で何らかのことをすればよいのではないかということだけに議論がいってしまって、必ずしも適切ではないのかな。というふうに考えているところでございます。
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