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掲載日:2023年12月28日

令和5年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(山崎すなお議員)

こどもを守るためには、虐待に至る前の予防的支援の拡充が不可欠

Q   山崎すなお 議員(共産党)

2022年度の本県の虐待相談対応件数は1万8,877件で、10年前の2012年と比べて3.9倍になっています。児童相談所の児童福祉司の定数増も一定図られていますが、職員の急増に育成も追いつかず、ベテラン職員への負担が過重になっています。
このような中、今年10月、児童相談所など自治体労働者の組合である日本自治体労働組合総連合は、児童虐待防止対策について、発生後の対応強化だけではなく、予防的支援に転換することを求める政策提言を発表しました。
国は、来年4月から、福祉と保健の両面で妊娠から切れ目なく保護者の相談に乗る、こども家庭センターの設置を市町村の努力義務としました。こども家庭センターには、虐待をはじめ様々な相談等を担当するこども家庭支援員と母子保健の相談等を担当する保健師、さらに統括支援員が配置され、虐待を防ぐとしています。その人材を全市町村が確保して配置できるのかが鍵です。
そこで、伺います。
こども家庭センターの設置は市町村の努力義務ですが、県としてガイドラインなどを示し、設置を市町村に働き掛けるべきですが、いかがでしょうか。また、設置を行う市町村に対し、人材確保など県として支援することについて、福祉部長、お答えください。
コロナ禍での虐待増加への懸念から、今年度、三郷市など県内6自治体で支援対象児童等見守り強化事業を実施しています。三郷市から委託されている彩の国子ども・若者支援ネットワークの方は、おもちゃや縫いぐるみを届けるために家庭を訪問、その際、こどもの安否確認を行います。「行政を拒否する家庭であっても、私たちを拒否する家庭はありません。訪問時のこどもや保護者の会話などから様々な支援につなぎ、虐待リスクを低減させます」と話していました。この事業は、国と市町村の事業ですが、県からも市町村への補助を行い、更に広げていただきたいのですが、福祉部長、いかがでしょうか。
もちろん、児童相談所の強化など虐待対応が引き続き重要なことは言うまでもありません。県は、2019年以降、3つの児相の安全確認を民間団体に委託し、10月からは全ての児相で実施されています。こどもの安全確認には専門性が必要だとして、党県議団は繰り返し懸念を表明してきました。
先行実施している3つの児相では、正規職員は2名、非正規は6名で安全確認を行ってきました。非正規職員で通算3年以上勤務し続けているのは、そのうち2名に過ぎません。くるくる入れ替わる非正規職にファーストタッチを任せることに、専門性の観点からも個人情報保護の観点からも問題はないのでしょうか。あくまで民間委託を続けるのであれば、全て正規職でと考えますが、いかがでしょうか。
県は、職員の雇用状況や雇用形態、勤続年数など定期的に把握すべきと考えますが、いかがでしょうか。
福祉部長、以上3点、お答えください。
続いて、一時保護所についてです。
一時保護所は、こどもの行動を著しく制限することから、その期間は原則2か月とされています。しかし、昨年度、最長滞在は813日です。一時保護の期間が長期化する理由として、「受入施設の空きが見つからなかった」が挙げられます。特に、非行などの問題行動があるこどもの入所施設は、埼玉学園1つしかなく、しかも対象は中学校3年生までです。児童自立支援施設の受入れ拡大に向けて、施設整備を行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。また、受入年齢の拡大をしていただきたいのですが、いかがでしょうか。福祉部長、お答えください。

A 金子直史 福祉部長

現在、国においてガイドラインを作成しており、年度内に示されると聞いておりますので、県独自のガイドラインを作成する予定はございませんが、会議などの機会を通じて「こども家庭センター」の目的などを丁寧に説明し、設置を働き掛けてまいります。
次に、「市町村に対する県としての支援」についてでございます。
「こども家庭センター」には、母子保健と児童福祉の双方について十分な知識を持つ統括支援員の設置が義務付けられており、その確保が課題となっております。
県といたしましては、統括支援員の研修を実施し、「こども家庭センター」が人材を確実に確保して円滑に設置、運営されるよう、市町村を支援してまいります。
次に、「支援対象児童等見守り強化事業について、県からも市町村への補助を行い、さらに広げるべき」についてでございます。
この事業は、市町村が実施主体となり、要保護児童等の居宅を訪問し、状況の把握や食事の提供などを行うことで、児童の見守り体制を強化するもので、令和5年度は6市町が実施しております。
この事業に係る経費は、国の要綱で国が3分の2、市町村が3分の1の負担となっており、県が補助することは考えておりませんが、三郷市などの好事例を横展開し、実施市町村を広げられるよう積極的に取り組んでまいります。
次に、「児童の安全確保の民間委託について、非正規職に任せることに専門性や個人情報保護の観点から問題はないのか」についてでございます。
虐待通告を受けた児童相談所は、事前にリスク評価をしっかりと行った上で、委託可能と判断した事案について民間事業者に連絡し、民間事業者は2名の職員で安全確認を実施しています。
職員の要件については、正規か非正規かという就労形態ではなく、「対面による相談業務の実務経験が1年以上あること」としております。
職員の専門性の確保については、事業者が職員の研修を定期的に行っております。
個人情報の管理については、事業者は職員に個人情報の適切な管理に関する規定の内容を説明し、誓約書の提出を受けるとともに、県はその状況報告を求めるなど適正に行っており、問題はないと考えております。
次に、「民間委託を続けるのであれば、すべて正規職員でと考えるがどうか」についてでございます。
先ほど申し上げたとおり、職員の要件としては、業務遂行に必要な能力の有無を求めております。
事業者において、適切に安全確認が実施される体制が取れていることが重要ですので、全て正規職員である必要はないと考えておりますが、県としては業務の履行状況をしっかりと確認してまいります。
次に、「県は職員の雇用状況や雇用形態、勤続年数など定期的に把握すべきである」についてでございます。
県ではこれまで、職員の相談の実務経験などについて把握をしておりましたが、業務遂行上必要な場合などは、職員の勤務年数などについても把握してまいります。
次に、「児童自立支援施設の受け入れ拡大に向けた施設整備」についてでございます。
埼玉学園については、埼玉県庁舎・公の施設マネジメント方針において、令和2年度にアセスメント評価を受けており、「適切に維持管理し長寿命化を図る」との方向性が示されております。
そのため、現時点では受け入れ拡大に向けた施設整備は難しいと考えておりますが、児童自立支援施設の受入れ拡大については、その必要性を含めて研究してまいります。
次に、「受け入れ年齢の拡大」についてでございます。
埼玉学園は小中学生を中心に入所しており、上尾市教育委員会の協力のもと、義務教育期間中の入所児童・生徒への学校教育の提供を学園内で行っています。
義務教育を修了した場合でも、目標とするプログラムや指導がまだ終了していない児童が引き続き入所している個別の事例はございますが、仕組みとして中学校卒業後の児童を受け入れる人員体制などが整っておりませんので、現時点では受け入れ年齢の拡大は難しいと考えております。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

お問い合わせ

議会事務局 政策調査課  

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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