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掲載日:2023年12月28日

令和5年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(山崎すなお議員)

失われた30年、県は、賃金低下と物価高騰に疲弊する県民の防波堤に-絶対に欠かすことのできない水と排水、物価高騰の今こそ引き下げを-

Q   山崎すなお 議員(共産党)

県水道事業について、企業局は、令和4年度からの経営5か年計画の中で、今後15年間の財政シミュレーションを公表し、料金改定についてのイメージを示しています。イメージ1は、水道料金を引き上げなかった場合で、内部留保を使い果たします。イメージ2は、令和11年度に20パーセント料金引き上げを行うと何とか内部留保も守れますというものです。イメージ3は、令和7年度から10パーセント料金を引き上げて、その後、令和11年度にまた10パーセント引き上げ、合わせて20パーセント引き上げると、内部留保も現状のまま保てますというものです。これから導かれる印象は、料金を引き上げるしかないという結論です。
水道事業が厳しいことは理解できます。水需要は年々減り続け、電気料金の高騰で維持管理費が増加しています。水道法の基準をクリアするために、高度浄水処理の導入が求められています。現在進められている大久保浄水場では、令和10年度までに616億円の事業費が必要ですが、国からの補助は42億円に過ぎません。
そこで、公営企業管理者に伺います。
さらに、残りの3つの県営浄水場も今後整備予定ですが、高度浄水処理を導入しなければ、国の基準を上回ることは不可能なのでしょうか。現在は、どのようにして基準をクリアしているのでしょうか。
また、経営5か年計画の3つのイメージは撤回し、ほかの手段も探るべきと考えますが、いかがでしょうか。
2点、お答えください。
水はライフラインです。光熱費が高騰し、生活が大変な中、せめて水は安心してくださいと言ってほしいです。
知事に伺います。
法律の基準を守るための高度浄水処理には、十分な助成を国に求めるべきと考えます。国に強く働き掛けていただきたいのですが、いかがでしょうか。
ほかの県有施設は、電気料金の高騰分について一般会計から補填されています。水道事業も、電気料金の高騰分について一般財源で補填していただきたいのですが、いかがでしょうか。
次に、下水道事業について質問します。
本定例会で、荒川左岸北部下水道の維持管理負担金単価が一立方当たり8円増で46円に引き上げ、利根川右岸流域は、まず16円増で99円に、令和8年度からは更に6円増の105円に引き上げるという議案が提出されています。これによって、流域間格差が更に増大し、単価が低い荒川右岸の32円と、単価が高い利根川右岸の差は63円、3倍にもなります。この負担金の増は、各自治体の料金の引き上げにつながります。同じ事業主体でありながら、流域ごとに単価が異なる現行制度を改め、県民負担の公平を図るべきです。
下水道事業管理者にお尋ねします。県は、地域間格差をなくすために負担金統一を目指すべきです。御見解をお答えください。
物価高騰で光熱費が増加しています。下水道事業についても、一般会計から補填していただきたいのですが、知事、いかがでしょうか。

A 北島通次 公営企業管理者

まず、「高度浄水処理施設を導入しなければ、国の基準を上回ることは不可能なのか。現在はどのようにして基準をクリアしているのか」についてでございます。
県営水道には国の水道水質基準に適合した水を供給する責任があり、各浄水場で基準をクリアするために必要な処理を行っております。
現在、高度浄水処理を導入していない浄水場では、河川の水質状況に応じて粉末活性炭等を随時注入して対応をしております。
しかし、近年では水道水の臭いの原因となるかび臭物質が頻繁に検出され、基準超過のリスクが高まってきており、また、高度浄水処理でなければ対応できない化学物質の水質事故も実際に発生をしております。
こうした中、高度浄水処理は、かび臭物質や幅広い種類の化学物質に対応して、24時間365日対応できる処理技術として、既に近隣都県の多くの浄水場で導入され、実績を上げております。
県営水道といたしましても、水質基準に適合した水を安定的に供給できるよう、高度浄水処理施設を各浄水場に順次導入することとしております。
次に、「経営5か年計画のイメージは撤回し、他の手段も探るべき」についてでございます。
地方公営企業は独立採算で経営することが原則とされていることから、持続的な経営を確保するためには、必要なコストを料金収入で賄っていかなければなりません。
資金が不足すると老朽化した施設や管路の更新ができず、水道用水の安定供給に支障が生じる恐れがあります。
このため、将来に向け様々な財政シミュレーションを行うことは、責任ある経営のために必要な作業であり、また、水道法により求められているものでもございます。
御質問の「第5次企業局経営5か年計画」では、アセットマネジメントの活用による施設等の長寿命化、省電力機器の導入など様々な取り組みを進めることで、継続的な経営を目指すこととしております。
県営水道の料金は市町等の受水団体の経営に大きな影響を及ぼすことから、今後もコスト削減のための努力などを適切に反映させ、収支均衡に向けたシミュレーションの精度を高めてまいります。

A 大野元裕 知事

高度浄水処理施設に係る国庫補助金については、実際の整備費用に関わらず国で定めた基準事業費により算定されており、補助額は低い状況となっております。
そのため、県といたしましても、基準事業費の見直しや補助率の引き上げについて、毎年政府要望を行っているところであります。
また、担当部局である企業局におきましても、全国の水道用水供給事業者と連携をし、関係各省に対し、国庫補助金の対象拡大や補助率の引き上げについて要望をしております。
引き続き、あらゆる機会を捉え、国に強く要望してまいります。

次に、電気料金の高騰分につき、一般財源により補填していただきたいについてであります。
地方公営企業は、法により原則として料金収入による独立採算制が採られており、お尋ねの電気料金の高騰分のような、経常費への赤字補てんについて一般会計から繰り出すことは、適切ではありません。
一方、県営水道は、令和4年度決算で31年ぶりに経常赤字となり、令和5年度も赤字予算となっているなど、経営環境は依然として厳しい状況であります。
また、水道用水供給事業会計の令和4年度決算に対しては、監査委員から、今後の水道料金の改定について「事業経営に係る財政シミュレーションを行い、検討することが必要である」との監査意見を頂いております。
県営水道は、日々の県民生活に欠かすことができない重要なライフラインであります。
適切な料金設定の下で自律的な経営を維持し、安定的に事業継続をしていくことが目指すべき最も望ましい姿であり、現時点で一般財源による補てんは考えておりません。
次に、下水道事業についても、一般会計から補填していただきたいについてであります。
水道事業と同様に流域下水道事業も独立採算制が採られており、さらに、流域下水道の費用は、下水道法の規定により受益者負担が原則とされております。
光熱費の高騰分のような経常費への赤字補てんについては、一般会計から繰り出すことは、適切ではありません。
流域下水道事業も、平成22年4月の地方公営企業法の適用後、令和4年度決算で初めての経常赤字となり、令和5年度も赤字予算となっているなど、経営環境は依然として厳しい状況にあります。
下水道は水道と同様に重要なライフラインであり、光熱費などの変動を適切に負担金単価に反映させ、安定的に事業継続していくことが重要であり、現時点で一般財源による補てんは考えておりません。

A 山崎達也 下水道事業管理者

流域下水道の維持管理負担金は、受益者負担の原則に基づき、流域ごとに5年間のスパンで累積黒字や赤字を算入した上で、必要な経費が賄えるよう単価を改定するのを基本として参りました。
今回、改定の対象となる荒川左岸北部及び利根川右岸流域の負担金単価にはエネルギー価格の高騰などを見込んでおり、利根川右岸流域の引き上げ幅が大きいのは、令和元年度以降の累積赤字を算入していることもあります。
2つの流域の関係市町には、昨年度から収支シミュレーションなどを丁寧に説明し、負担金単価改定についての意見照会では同意をいただいております。
下水道処理施設は流域ごとに独立しているため、スケールメリットの状況の違いなどにより負担金に単価格差が生じています。この統一については、受益者負担の原則との整合、各流域の設置の経緯や関連市町の経営状況などを鑑みますと、関係者の間で合意に至ることは困難であると判断せざるを得ません。
下水道局としては、流域市町とともにまずは赤字の流域での収支均衡や累積赤字の縮小を図るなど、単価差の抑制や是正に向けて道筋をつけていけるよう取り組んでまいります。

再Q   山崎すなお 議員(共産党)

水道事業と下水道事業の一般会計からの補填について、独立採算制なので一般会計からの赤字補填はできないという御答弁でした。今回の電気の高騰はいつまで続くのか、予想もつかない事態です。一般会計から繰り出せるよう、是非国に要望していただきたいのですが、上水道、下水道のそれぞれについて、もう一度知事の御答弁をお願いいたします。

再A 大野元裕 知事

県営水道及び流域下水道は共に公営企業として独立採算制の下に運営されております。
この独立採算制の公営企業ですが、議員御提案の繰出基準につきましては、地方公営企業法第17条の2第1項などを根拠とするものであり、その考え方は設備投資などに関しては繰出しを行い、経常経費は自らの収入で行うというものであります。
この第1項に規定されている以外の経費につきましては、やはり同じ条の第2項におきまして、当該地方公営企業の経営に伴う収入をもって充てなければならないとされているとおりで、答弁させていただいたとおり、公営企業が収入から充てなければならない、ということになっております。
電気料金は、県営水道及び流域下水道における主たる経常経費の一つであり、法の規定及び受益者負担の原則に基づき、料金及び負担金により回収することが基本でございますので、その基本原則を歪めた要望はするべきではないと考えているところでございます。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

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議会事務局 政策調査課  

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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