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掲載日:2023年11月27日

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おひな様とおかいこ様の知られざる関係に迫る! (上里町立郷土資料館企画展)

  上里町立図書館・郷土資料館企画展示室では、令和5年2月4日~3月25日まで企画展「おひな様とおかいこ様~雛人形から見る上里町の養蚕文化~」が開催されています。

  この資料館では、上里町における昔の人々の生活を後世に伝えるため、上里町に関連する歴史や文化を発信しています。今回の企画展では、昨年当ホームページでご紹介した上里町の旧家・福田家(「上里町立郷土資料館 福田家旧蔵のお雛様! - 埼玉県」クリックすると別ウィンドウで昨年の記事が見られます。)からの寄贈品に加え、同じく大字忍保(おしぼ)の旧家・敷地家から寄贈された雛人形にまつわる資料を紹介しています。令和3年度から令和4年度にかけて行われた調査の結果、古いもので100年以上にわたり受け継がれてきた品や古文書類など、様々な資料が見つかりました。昨年よりも展示品が増加し、養蚕の体験学習コーナーも新たに加わり、見どころが満載です。特に注目したいのは、雛人形と養蚕の関連について紹介されている点です。かつて福田家と敷地家は、どちらも養蚕業に携わっていました。本記事では、知られざる両者の関係について深く掘り下げていきます。

 

雛人形

豪華絢爛な雛人形の展示

 

林さん

上里町立郷土資料館の学芸員である林 道義(はやし みちよし)さんにお話を伺いました。

詳しいお話とお写真の提供に感謝いたします。

 

<体験学習コーナー>

体験学習コーナー(桑つみ)

桑摘み籠を背負ってみよう!

この中に蚕の飼料となる桑を入れて運びます。

 

かいこ

蚕の模型

微妙な顔の違いを見つけるのが楽しい!

 

かいこの様子

敷地家と福田家もかつて養蚕によって栄えたといいます。

上里町でも、「おかいこ」・「おこさま」・「おかいこさま」と呼ばれ、親しまれてきました。

おひな様から見る養蚕とジェンダー

  敷地家、福田家の雛人形関連資料の中で養蚕に直接関係するものとして、衣笠様(きぬがささま)人形と春駒(はるごま)人形があります。

衣笠様人形は、敷地家に伝わった人形です。林氏によると「衣笠様」とは、江戸時代後期から昭和にかけて養蚕守護神として信仰されていた神様で、正式には「衣襲明神(きぬがさみょうじん)」と呼ばれ、蚕糸(読み方:さんし...蚕種を産み付けた厚紙のこと。)と桑の枝を手に持った女神の姿をしていると考えられているそうです。敷地家の人形も、右手に蚕糸、左手に桑の枝を持っています。

衣笠様人形

敷地家の衣笠様人形

 

興味深いのは、衣笠様人形が女神の姿をしているように、養蚕にまつわる神々は女性の姿をしていることが多いことです。衣笠様人形の近くに展示され、上里町大光寺のお札に描かれている神も女性の姿をしています。これは「馬鳴菩薩(めみょうぼさつ)」と呼ばれ、貧しい人々に衣服を施すとされる、養蚕織物の神とされています。そのほかにも、東北地方に伝わる「おしら様」や、茨城県つくば市の蚕影神社(こかげじんじゃ)に祀られる「金色姫」など、女性や養蚕に関する逸話が各地に残されています。

養蚕紙

上里町大光寺のお札に描かれている「馬鳴菩薩」

女性の姿をしています。

 

  春駒人形は福田家に伝わる人形です。馬の頭の作り物を持った男の子の姿をした陶器製の人形で、福田家に伝わりました。林氏によると、「春駒」とはもとは芸能の一種で、正月に馬頭形をした作り物を持ち、民家を訪ねては歌や踊りを見せて歩く芸人のことだそうです。また、春駒が訪れた家ではその年の養蚕が大当たりすると伝えられており、現在でも群馬県川場村では伝統芸能として続けられています。

春駒人形の写真

春駒人形

色白でふくよかな可愛らしい姿が、蚕を連想させます。

 

この可愛らしい子どもの人形を見たとき、白でふくよかな姿が蚕と似ていると感じました。同時に、当事務所連載記事「カイコってなんだろう?!」で掲載した「5. 繭を作るよ!『 愛情がないと育てられない』生き物!!」(クリックすると別ウィンドウで開きます。)での取材の際、「蚕には愛情がないと育てられない」と語ってくださった美里町の養蚕農家の方の姿を思い出しました。養蚕に携わった福田家の人々も、養蚕のイメージを持つ春駒と、自分の子どものように可愛いがっていた蚕を重ねて観賞していたかもしれない...など、想像が膨らみます。

 林氏は、当時高価であった雛人形を所有していたことは、敷地家と福田家が養蚕業によって栄えた象徴であること、また、衣笠様人形と春駒人形のどちらも、養蚕が上手な女性に育ってほしいという願いを込め、初節句に贈答されたのではないか、と話してくださいました。このように、雛人形は、養蚕と深く関連していることがわかります。また、養蚕にまつわる神々が女性の姿をしていることなどからも、養蚕には女性のイメージが付随していることが考えられます。雛人形は、そういったジェンダーイメージが可視化したものなのかもしれません。

雛人形と養蚕の関係を見ていくと、このほかにも様々な発見があるかもしれません。皆さまも、上里町立郷土資料館へ貴重な雛人形を見に足をお運びください!


令和4年度上里町立郷土資料館企画展「おひな様とおかいこ様~雛人形から見る上里町の養蚕文化~」の詳細に関しては、上里町公式ホームページ「かみさと文化財ニュース」(別ウィンドウで開きます)をご覧ください。

 

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