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ページ番号:285067
掲載日:2026年7月13日
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| 番号 | 件名 | 受付年月日 | 結果公表日 |
|---|---|---|---|
| 1 | 車両リース契約に係る政務活動費に関する措置請求 | 令和8年4月27日 | 令和8年7月10日 |
(1)請求の趣旨
埼玉県議会の美田宗亮議員(以下「対象議員」という。)が交通費(自動車リース代)の名目で支出した政務活動費について、以下の理由により、「地方自治法(以下「法」という。)」、「埼玉県政務活動費の交付等に関する条例」および「政務活動費の運用指針」等の趣旨及び使途基準に適合しない疑いがある。
ア 本件の貸主(以下「A社」という。)はリース業務を業として行わない事業者であることから、当該業務に関する実態および専門性の裏付けが十分に確認できない状況であり、一般的な契約と比較してその実在性および経済合理性について重大な疑義がある。
イ 政務活動費の支出額は客観的合理性および実費弁償の原則への適合が求められるが、対象のリース料はいずれも「月額66,000円」に固定されていることから、固定額支払そのものが目的化している疑いがあり、制度趣旨と整合しない。
ウ 支出の適正性を判断するため対象の特定は明確である必要があるが、支出証拠として対象議員が提出した資料は同一期間内に「ハスラー」と「ワゴンR」の2車種名が記載されており、その証拠資料の信頼性に重大な疑念がある。
エ 一般的な車両リース契約で当然になされるべき「残価設定」のない、いわゆる「フルペイアウト」方式の支出構造となっており、資産形成につながるおそれがある。
オ 政務活動費の按分率は実際の活動内容に応じて変動するのが自然だが、本件は長期間「80%」で固定されており、かつ客観的資料に基づく合理的な説明が不十分である。
カ A社と対象議員の事務所の住所は同一地点であるという事実により、通常の第三者間取引に求められる独立性・客観性の十分な確保について重大な疑義がある。
(2)請求する措置の内容(以下「請求措置内容」という。)
ア 令和元年7月に締結された自動車賃貸借契約(初代ハスラーに係るもの)
イ 令和4年7月に締結された自動車賃貸借契約(後継ハスラーに係るもの)
本件請求については、理由がないものと判断し棄却する。
なお、県議会議員から選任された監査委員は、法第199条の2に定める直接の利害関係者に当たるため、除斥とした。
1 監査対象事項
令和7年度の県の政務活動費に係る支出のうち、請求人が措置請求するものを監査対象とした。
2 監査対象事項に対する判断
法第242条により、住民監査請求の対象は地方公共団体の長、委員会、委員、職員による違法・不当な財務会計行為又は怠る事実とされている。
よって、本件監査請求の対象は知事による、対象議員が所属する埼玉県議会自由民主党議員団への政務活動費の交付、又は必要が生じた場合における民法第703条の規定に基づく不当利得返還請求の不行使となる。
請求人は当該政務活動費の交付自体の違法性・不当性についての主張はなく、対象議員個人の契約のあり方(相手の選定、金額等)について主張している。
議員個人の契約に基づく支出は、住民監査請求の対象となる公金の支出ではなく、契約自由の原則が適用されるが、運用指針に反するなど裁量権の逸脱・濫用があれば、知事は不当利得返還請求を行使すべきであり、不行使が違法・不当となる余地がある。
よって、請求人が主張する各事項について、裁量権の逸脱・濫用がなかったかという観点から判断した。
(1)請求人は、当該リース契約対象車両の販売元の担当者が、A社はリース等の取扱いをしていないと電子メールにより回答したことや、A社の法人登記簿謄本(履歴事項全部証明書)の目的欄に車両リース業務が記載されていないことをもって、当契約の実在性や経済的合理性に重大な疑義があると主張する。しかしながら、政務活動費領収書等貼付用紙として添付された領収書や契約書の写しに特に重大な疑義をうかがわせる証拠はなく、請求人の主張するとおりであったとしても、当該契約の実在性や経済的合理性が毀損されるとまでは言えないため、請求人の主張には首肯できない。
(2)請求人は、リース金額が固定されていることをもって、客観的合理性及び実費弁償の原則から逸脱していると主張する。しかしながら、当該車両リース契約は県の財務会計行為とは異なり議員個人の私的契約であり、運用指針において社会通念上妥当な範囲に限るとされているものの、原則として自由に価格設定されるものである。新たなリース契約を締結するに当たり物価変動などを考慮しても同一価格を設定することが実費弁償を含む経済的合理性から逸脱しているとは言えないため、請求人の主張には理由がない。
(3)請求人は、当該リース契約について「契約対象車両の特定に関して不整合が認められ」「契約書及び証拠資料の信頼性に重大な疑義がある。」と主張する。しかしながら、どの車両に政務活動費を充当するかは議員の判断であり、同一月内に複数の車両リースに充当した事実もないため、請求人の主張には理由がない。
(4)請求人は、当該リース契約について、残価設定がなされていないことをもって、「リースの名を冠した公金による車両購入ローンの肩代わり、割賦販売に近い経済的実態を有」し、「実質的に資産取得に近い経済的効果を有する」と主張する。しかしながら、上述のとおり対象車両は契約満了後返却される旨契約書に記載されており、返却された事実が確認されているため、請求人の主張には理由がない。
(5)請求人は、当該車両のリース契約について、政務活動費の按分率が長期間にわたり80%である具体的根拠が明らかでない、また政務活動の内容等により毎月按分率も変動するのが自然であり、客観的資料に基づく合理的説明が必要であると主張する。しかしながら、運用指針では「議員の活動実態に応じて『会派が定めた割合』により按分して充当することができる」とされており、按分率は当該『会派が定めた割合』を逸脱しておらず、客観的資料に基づく合理的説明は義務とまでは言えないため、請求人の主張には理由がない。
(6)請求人は、A社の所在地及び代表者住所、対象議員事務所所在地が同一地点にあることをもって、これら当事者間の取引に独立性・客観性が十分に確保されておらず、また多額の資産価値が残存する車両を特定の関係者に帰属させることは経済的利益を与える結果となり得ると主張する。しかしながら、対象議員がA社から事務所も賃借していたことは事実であるが、そのことをもって「取引に独立性・客観性が十分に確保されていない」とは言えない。またリース対象車両の所有権がA社にないことが確認されているため、請求人の主張には理由がない。