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掲載日:2025年7月4日
Q 萩原一寿 議員(公明)
物価高を上回る賃上げを実現するためには、全国で約7割を占める中小企業への取組が極めて重要です。そのための指標の一つが、企業が生み出した付加価値が、働く人にどれだけ配分されたかを示す労働分配率です。
財務省が公表した法人企業統計調査によると、2023年度の大企業の労働分配率は38.1パーセントと前年比2.1パーセント低下し、1960年度以降で初めて4割を下回る過去最低の水準となりました。
その一方で、中小企業の労働分配率は70.1パーセントと大きな開きがあります。労働分配率を下げるためには、生産性を上げることが重要です。
政府は、先月14日、中小企業の持続的な賃上げを実現するため、2029年度までの5年間を集中期間と定めた「中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5か年計画」を取りまとめました。計画の柱は、国や自治体が発注する官公需を含めて、中小企業が受注する取引価格の適正化を強力に進めるとともに、生産性の向上を後押しするため、官民で計60兆円の大規模な投資を行うこととしています。
計画では、飲食や宿泊、製造業など人手不足が深刻な12業種で、それぞれ生産性向上の目標や国のサポート体制を示した省力化投資促進プランを策定しました。中小企業自身が賃上げ原資、稼ぐ力をつけるには、生産性の向上が欠かせません。
しかしながら、中小企業は、大企業のように資金力もノウハウも十分なわけではありません。より現場に即した支援をどこまでできるかが鍵になると考えます。
そこで、知事にお聞きします。
県としても、既にDXの推進や省力化支援など中小企業の生産性向上に向けて取り組んできた内容とその効果について、どのように検証されているのかお聞きします。
さらには、前述した国の動きを踏まえた今後の取組の方向性についてお答えください。
A 大野元裕 知事
議員お話しのとおり、県ではDXの推進や省力化支援などにより、県内中小企業の生産性向上を支援しているところです。
まず、DXの推進については、令和3年10月、国や経済団体、金融機関など27の機関で構成する「埼玉県DX推進支援ネットワーク」を立ち上げました。
各構成機関は、それぞれの立場からセミナーなどの支援策を講じており、ネットワークのホームページには、こうした支援情報を集約して掲載しております。
令和6年度は、ネットワーク全体で446回のセミナーを開催し、1万5千人を超える方に参加いただくなど、中小企業のDXの裾野拡大に取り組むとともに、県産業振興公社に配置した「DXコンシェルジュ」が企業からの相談に個別に対応しています。
その効果は県四半期経営動向調査で検証しており、DXに取り組む県内中小企業の割合は、調査を開始した令和2年度末の11パーセントから令和5年度末には41パーセントに上昇しています。
また、省力化支援については、令和6年度に県内中小企業の人手不足への対応を支援するため、機器・ITツール等を活用して省力化に取り組む企業の設備投資への補助制度を創設いたしました。
124社に支援を行い、補助事業者からの実績報告書で効果検証を行った結果、業務の効率化や自動化が進み、労働時間が1か月当たり平均で107時間削減されるなど、生産性向上につながっています。
さらに、令和7年度は、これまでの補助対象である新たな機器の導入に加え、製造設備の更新についても対象としたところです。
このように、それぞれの対策に応じて適切にデータを検証しながら、中小企業の更なる生産性向上が進むよう取り組んでまいります。
次に、国の動きを踏まえた今後の取組の方向性であります。
国の「中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5か年計画」では、サービス業を中心に人手不足などの影響を受けやすい業種が示され、2029年度までの5か年で集中的に省力化投資、生産性向上を実現するとされています。
県では、計画で示された業種についても、先ほど申し上げたネットワークや補助制度により生産性向上を支援してきたところであります。
例えば、飲食業では、自動調理器の導入により料理提供時間が短縮され、回転率が上がった例や、スタッフが行っていた注文受付を自動券売機で代替し業務量を大幅に削減できた例などがあります。
美容業では、クラウド型動画教育ツール等を導入することで、従業員研修が効率化し、時間外労働が減少した例があります。
このようなサービス業の優良事例などについても、ホームページに掲載して業種別で閲覧できるよう取り組んでおります。
今後は、こうした情報を、DX推進支援ネットワークを構成する支援機関を通じて広く周知するなど、生産性向上に向けた更なる投資を促してまいります。
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