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掲載日:2024年4月2日

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個人情報保護審査会答申/答申第9号(諮問第9号)

答申第9号(諮問第9号)

答申

1 審査会の結論

埼玉県教育委員会(以下「実施機関」という。)が、本件異議申立ての対象である次の保有個人情報(以下「本件対象保有個人情報」という。)について、平成19年1月12日付けで行った部分開示決定は妥当である。

平成19年度埼玉県公立小中学校等教員採用選考試験(以下「選考試験」という。)のうち、

第一次試験:答案用紙の写し(図画工作科実技試験問題)

2 異議申立て及び審査の経緯

  • (1)異議申立人(以下「申立人」という。)は、平成18年11月14日付けで埼玉県個人情報保護条例(平成16年埼玉県条例第65号。以下「条例」という。)第16条第1項の規定に基づき、実施機関に対し、本件対象保有個人情報の開示請求書を提出した。
  • (2)実施機関は、平成19年1月12日付けで、条例第21条第1項の規定に基づき、本件対象保有個人情報を部分開示とする旨の決定(以下「本件部分開示決定」という。)を行い、申立人に通知した。
  • (3)申立人は、平成19年2月23日付けの異議申立書により、実施機関に対し、本件対象保有個人情報に係る部分開示決定について、不開示部分の開示を求める旨の異議申立てを行った。
  • (4)当審査会は、平成19年4月27日付けで、実施機関から条例第41条の規定に基づく諮問を受けた。
  • (5)当審査会は、本件異議申立てについて、平成19年6月12日付けで実施機関から理由説明書の提出を受けた。
  • (6)当審査会は、平成19年6月27日、実施機関から意見聴取を行った。
  • (7)当審査会は、平成19年7月2日付けで申立人から理由説明書に対する反論書の提出を受けた。
  • (8)当審査会は、平成19年8月29日、申立人及び補佐人から意見陳述を受けた。
  • (9)当審査会は、平成20年1月16日、実施機関から意見聴取を行った。

3 申立人の主張の要旨

本件処分について、本件対象保有個人情報1の不開示とした部分「採点に係る記載等が記されている部分」の「開示しない理由」の「試験員の公正な評価を保障するため。」とする理由は納得できない。開示を求める。

  • (1)当該個人情報が公開されることによって、どのような支障をきたすのか、具体的、個別的かつ明白な説明でなければ不開示の根拠とはならない。
  • (2)第一次試験の素点(得点)、面接時の評定(得点)ならびに答案用紙の写し(筆答試験1及び2)が公開されているにもかかわらず何故、本件対象保有個人情報が公開されないのか全く整合性がない。
  • (3)全国的に個人情報公開・開示がすすんでいる。本県においても、全国的に開示している状況に鑑み他県の動向と足並みをそろえるべきである。
  • (4)第一次試験の結果のみでは、どうして不採用なのか分からない。納得のいく情報を求め、実際の自分の答案用紙がどのように採点されたのかを知りたい。

本件処分は、選考結果に関する個人情報を正確に知りたいという受験者の開示請求権にそむくものであり、また、その個人情報によって、自己研鑽を積み、本県の学校教育に寄与できる教員になりたいと思っている受験者の願いに背くものである。

4 実施機関の主張の要旨

答案用紙の不開示とした部分には、採点者が記入した部分点やコメントなどが書き込まれている場合がある。受験者がそれについて疑問を持ち、理由や訂正を求めた場合、受験者と採点者が議論すれば正しい判断に到達するという性質のものではなく、無用の混乱をきたすことになり、その弊害は大きいといえる。

また、採点を行っているのは、図工・美術を専門とするごく限られた人数の者であるため、採点者を特定することが可能となり、その結果、採点員に受験者から質問や苦情等が寄せられ、本来の業務に支障がでることが予想される。そうなると、そのことを理由に採点員にふさわしい者が採点員の要請に応じなくなるなど試験の適正な実施が困難となることも考えられ、さらに部分点が確認されることにより、採点基準を推定することも可能となり、受験者の偏った受験対策を助長するなど、公正かつ公平な選考を困難にするおそれがあるため不開示としたものである。

5 審査会の判断

当審査会において、本件対象保有個人情報に係る部分開示決定について申立人及び実施機関の主張を検討した結果、次のように判断する。

(1)本決定の妥当性について

本件対象保有個人情報は、答案用紙の写し(図画工作科実技試験問題)である。

当審査会において、実施機関から提出された答案用紙の写しを見分したところ、部分点を書き込む欄がなく、また、実施機関に説明を求めたところ、別紙採点票を使っているわけではないとの説明を受けた。このような採点方法であるとすれば、実施機関の主張のとおり、答案用紙の写しに採点員により部分点や採点に関する観点等の記述が直接書き込まれる場合があることは推察される。

実施機関は、「答案用紙を開示することにより、受験者がそれについて疑問を持ち、理由や訂正を求めた場合、受験者と採点者が議論すれば正しい判断に到達するという性質のものではなく、無用の混乱をきたすことになり、その弊害は大きいといえる」旨、「採点を行っているのは図工・美術を専門とするごく限られた人数の者であるため、採点者を特定することが可能となり、その結果、採点員に受験者から質問や苦情が寄せられ、本来の業務に支障が出ることが予想される。そうなると、そのことを理由に採点員にふさわしい者が採点員の要請に応じなくなるなど試験の適正な実施が困難となることも考えられる」旨及び「部分点が確認されることにより、採点基準を推定することも可能となり、受験者の偏った受験対策を助長するなど、公正かつ公平な選考を困難にするおそれがある」旨主張するが、前記二つの主張については、合理的理由がない。

しかしながら、実施機関の行う選考試験は、教科指導における基礎的な技能もさることながら、与えられた課題に対する理解や対応など、受験者の教員としての適格性を総合的に勘案するものであると思われる中で、答案用紙の写しを開示した場合、採点において採点員が重視した内容が個別に判明するなどした結果、採点基準が推定されることとなり、受験技術に基づく偏った学習をする者が高得点を獲得するおそれが生じかねない。そのようなことになると、教員としての適格性を備えているかを判定する実施機関の選考試験の趣旨が損なわれてしまう。

したがって、「部分点が確認されることにより、採点基準を推定することも可能となり、受験者の偏った受験対策を助長するなど、公正かつ公平な選考を困難にするおそれがある」とする実施機関の主張には理由があり、条例第17条第7号の規定により部分開示決定を行ったとする実施機関の主張は是認できる。

(2)結論

よって、「1審査会の結論」のとおり判断する。

(答申に関与した委員の氏名)

徳本広孝、西村淑子、横山 豪

審査会の経過

年月日

内容

平成19年4月27日

諮問を受ける(諮問第9号)

平成19年6月13日

実施機関から理由説明書を受理

平成19年6月27日

実施機関からの意見聴取及び審議

平成19年7月6日

異議申立人から反論書を受理

平成19年7月18日

審議

平成19年8月29日

異議申立人及び補佐人による意見陳述及び審議

平成19年10月17日

審議

平成19年11月28日

審議

平成19年12月19日

審議

平成20年1月16日

実施機関からの意見聴取及び審議

平成20年2月20日

審議

平成20年3月10日

審議

平成20年4月28日

審議

平成20年5月20日

答申

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総務部 文書課 情報公開・個人情報保護担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 埼玉県衛生会館1階

ファックス:048-830-4721

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