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掲載日:2024年4月2日

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個人情報保護審査会答申/答申第30号(諮問第39号)

答申第30号(諮問第39号)

答申

1 審査会の結論

「平成21年10月15日、○○病院処置室にて録画された、私Aに対する強制採尿現場の全ての画像(2回分)と音声」(以下「本件対象保有個人情報」という。)につき、これを存在していないとして埼玉県警察本部長(以下「実施機関」という。)が平成22年4月30日付けで行った開示をしない旨の決定は妥当である。

2 審査請求等の経緯

(1)原処分の経緯

審査請求人(以下「請求人」という。)は、埼玉県個人情報保護条例(以下「条例」という。)第15条第1項の規定に基づき、実施機関に対し、平成22年4月19日付けで本件対象保有個人情報の開示請求を行った。

これに対し実施機関は、本件対象保有個人情報は作成されておらず、存在していないとして、条例第21条第2項の規定に基づき、平成22年4月30日付けで保有個人情報の開示をしない旨の決定を行い、請求人に通知した。

(2)審査請求の経緯

請求人は、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)に基づき、実施機関の上級庁である埼玉県公安委員会(以下「諮問庁」という。)に対し、平成22年5月10日付けで保有個人情報の開示をしない旨の決定の取消しを求める審査請求(以下「本件審査請求」という。)を行った。

(3)審査の経緯

  • ア 当審査会は、本件審査請求について、平成22年6月9日、諮問庁から条例第41条の規定に基づく諮問を受けた。
  • イ 当審査会は、本件審査請求について、平成22年7月7日、諮問庁から理由説明書の提出を受けた。
  • ウ 当審査会は、本件審査請求について、平成22年7月12日、請求人から反論書の提出を受けた。
  • エ 当審査会は、本件審査請求について、平成22年7月14日、諮問庁からの意見聴取を行った。
  • オ 当審査会は、本件審査請求について、平成22年7月28日、諮問庁から理由説明書の記載内容変更通知の提出を受けた。

3 請求人の主張の要旨

開示を求めた本件対象保有個人情報について、作成されておらず、存在していないため開示しない、との決定に不服がある。

強制採尿の執行にあたっては、写真・動画などを記録することが当然であると考えられるうえ、警察官がビデオカメラを携行し録画していたことについて自身で見ており、ビデオカメラの形状や撮影状況についても詳細に記憶しているので、動画が撮影されていないとの実施機関の主張は明らかにうそである。

また、開示を求めたのはすべての画像と音声であり、実施機関が動画のみを本件対象保有個人情報とし、静止画を除外したことは納得できない。

さらに、実施機関はデジタル機器により撮影した際のデータファイルを消去したと主張しているが、情報管理を考慮すれば不可解である。

4 諮問庁の主張の要旨

実施機関が本件対象保有個人情報の検索を行ったところ、強制採尿の際にはビデオカメラ等による録画は行われなかったために強制採尿現場の動画と音声は存在しなかったことから、不開示の決定がなされたものである。

なお、本件審査請求に係る強制採尿の記録として捜索差押調書が作成されており、これに添付するためにフィルムカメラ及びデジタルカメラによって現場写真(以下「記録写真」という。)が撮影されている。

当該記録写真については、実施機関が平成22年2月9日付けで、本件の請求人による「平成21年10月15日午前2時00分~午後5時00分迄の間、浦和東警察署内に於ける私に関する書類全て」についての保有個人情報開示請求を受けた際、捜索差押調書が刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)第53条の2第2項のいう「訴訟に関する書類」であることから、これに記録される個人情報は、条例第60条第2項の規定により条例第4章(開示、訂正及び利用停止)の規定が適用されないため、平成22年2月24日付けで開示をしない旨の決定を行っている。

また、記録写真のうちデジタルカメラの写真データについては、当該捜索差押調書が作成された後は、不要となったことから即日消去されていたことが判明している。

上記のとおり、実施機関は開示請求の内容に該当する保有個人情報についての検索を経て本件処分を行ったものであり、その処分は妥当である。

5 審査会の判断

請求人及び諮問庁の主張と本件対象保有個人情報について調査検討した結果、当審査会は以下のように判断する。

(1)動画撮影の有無と写真データの管理について

ビデオカメラ等による録画は行われなかったために強制採尿現場の動画と音声は存在しないとする不開示理由に対して、請求人は、強制採尿の執行にあたっては、写真・動画などを記録することが当然であると考えられ、警察官によってビデオカメラによる撮影が行われた旨を主張している。

請求人が強制採尿現場においてビデオカメラにより動画と音声が記録されたと主張する根拠はカメラの形態等に関する自身の記憶であるが、現在市販されているデジタル撮影機器の大部分は動画と静止画の両方について撮影が可能であることから、機材の形態から動画か静止画かの別を特定することは困難であるといわざるを得ない。

また、強制採尿は、刑事訴訟法第99条によって定められている差押及び第102条によって定められている捜索に該当するが、諮問庁の説明によれば、その執行に際し、証拠物を保存し手続の適法性を担保するために写真撮影を行うものの、ビデオカメラ等による録画を行うことはないとのことである。本件事案においても、フィルムカメラによる写真撮影とあわせて行われたのはデジタルカメラによる写真撮影であり、これはあくまでもフィルムの現像焼付完了までの代替資料を確保するという刑事手続上の必要性から行われたことがうかがえる。これら記録写真のほかには動画撮影や録音はされなかったとする諮問庁の主張には、特段に不自然又は不合理な点は認められない。

さらに、デジタルカメラの写真データについては、条例第5条第2項が、「利用目的(中略)の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を保有してはならない」と規定しており、利用目的を達成した個人情報は速やかに廃棄すべきであることに加え、強制採尿の現場写真という性格を考慮すれば、捜索差押調書の作成により不要となった当該写真データを即日消去したとの実施機関の説明には合理性が認められる。

(2)記録写真の本件保有個人情報該当性について

請求人は実施機関が動画のみを本件対象保有個人情報とし、静止画である記録写真について除外したことを不服としているが、請求人による「録画された(中略)全ての画像(2回分)と音声」という本件開示請求書の記載について、実施機関がビデオカメラ等で記録された動画と音声についての開示請求であると判断し、静止画を対象外としたことは、その表現を考慮すれば不自然とはいえない。

さらに、請求人は、本件とは別に平成22年2月9日付けで実施機関に対し、「平成21年10月15日午前2時00分~午後5時00分迄の間、浦和東警察署内に於ける私に関する書類全て」についての保有個人情報開示請求を行っている。これを受けて、実施機関は当該記録写真を対象保有個人情報のひとつとして特定し、開示についての審査を行ったところである。その結果、当該記録写真は捜索差押調書の添付資料であり、刑事訴訟法第53条の2第2項にいう「訴訟に関する書類及び押収物に記録されている個人情報」に該当することから、条例第60条第2項により条例第4章の規定が適用されないとして、実施機関は請求人に対し平成22年2月24日付けで不開示決定の処分を行っている。

以上のとおり、本件開示請求書の記載内容並びに記録写真に関して別途行われた開示請求及び不開示決定の経緯を考慮すれば、実施機関が記録写真を本件対象保有個人情報とは特定せず、動画と音声のみを本件対象保有個人情報としたことに問題があったとはいえない。

(3)結論

上記(1)、(2)のとおり、強制採尿現場の動画と音声を本件対象保有個人情報として特定し、これを作成しておらず、存在していないとした実施機関の説明に特段の不自然又は不合理な点は認められないから、原処分は妥当である。

よって、「1審査会の結論」のとおり判断する。

(答申に関与した委員の氏名)

奥 真美、徳本 広孝、野崎 正

審査会の経過

年月日

内容

平成22年6月9日

諮問を受ける(諮問第39号)

平成22年7月7日

諮問庁から理由説明書を受理

平成22年7月12日

請求人から反論書を受理

平成22年7月14日

諮問庁からの意見聴取及び審議

平成22年7月28日

諮問庁から理由説明書の変更通知を受理

平成22年8月23日

審議

平成22年9月21日

答申

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総務部 文書課 情報公開・個人情報保護担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 埼玉県衛生会館1階

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