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掲載日:2024年3月26日

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個人情報保護審査会答申/答申第24号(諮問第28号)

答申第24号(諮問第28号)

答申

1 審査会の結論

埼玉県公安委員会(以下「実施機関」という。)が、「公安委員会宛苦情の調査結果について(報告)」(以下「本件対象保有個人情報」という。)について、平成20年12月24日付け部分開示決定で不開示とした部分のうち、別表で開示すべきとした部分は、開示すべきである。

実施機関が行ったその余の決定については、妥当である。

2 異議申立て及び審査の経緯

  • (1)異議申立人(以下「申立人」という。)は、平成20年11月5日付けで埼玉県個人情報保護条例(以下「条例」という。)第15条第1項の規定に基づき実施機関に対し、本件対象保有個人情報の開示請求を行った。
  • (2)実施機関は、平成20年12月24日付けで条例第21条第1項の規定に基づき、本件対象保有個人情報の部分開示決定(以下「本件処分」という。)を行い、申立人に通知した。
  • (3)申立人は、平成21年1月13日付けの異議申立書により、実施機関に対し、不開示部分の開示を求める旨の異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)を行った。
  • (4)当審査会は、平成21年2月4日に実施機関から条例第41条の規定に基づく諮問を受けた。
  • (5)当審査会は、本件異議申立てについて、平成21年4月22日に実施機関から理由説明書の提出を受けた。
  • (6)当審査会は、平成21年6月1日、実施機関から意見聴取を行った。
  • (7)当審査会は、平成21年9月18日に申立人から意見書の提出を受けた。

3 申立人の主張の要旨

(1)趣旨

保有個人情報(全面)開示を求める。

(2)理由

浦和警察署長の行為(さいたま市長に対しA氏に係る「住民票(除票)の閲覧制限及び同写しの交付停止措置について」を発行、申立人を住民基本台帳事務処理要領6-10の「加害者」と断定させ、結果、申立人の住民票交付請求権を奪った)は、ストーカー行為等の規制等に関する法律の無理解・乱用であり、明らかな不法行為である。

申立人は、申立人の不知の処で、ストーカー行為等の規則等に関する法律の規定する「ストーカー行為等」「をした者」と決めつけられているのであり、さらに、その結果、住民票交付請求権を奪われたのである。

理不尽に申立人の名誉を毀損し権利侵害に関わった者の情報開示が制限される理由はない。真実を明らかにするためには「特定の個人を識別することができる」「開示請求者以外の個人に関する情報」も「警部補以下の職員の氏名」も開示は必須である。申立人は、これらの者の誤った言動により「ストーカー行為等」「をした者」・「加害者」と決めつけられているのであるから。

また、「開示することにより、警察業務の遂行に支障を及ぼすおそれがある」ことなどありえない。これは単なる詭弁であり、責任逃避の言い訳である。「理由」にはなりえない。

本件対象保有個人情報中『「7月10日付で署長あてに文書をもらったが、7月15日に回答している」旨を申し向けた』は浦和警察署員の虚偽の申し立てである。そのような事実はない。

このような嘘・偽りが尚も非開示部分に在る可能性も考え合わせれば、申立人の全面開示請求は至極当然のことである。

条例第17条の「個人の権利利益」なる文言が、「開示請求者以外の者」「個人の権利利益」保護に偏向するための盾であってはならず、申立人「個人の権利利益」(訴状送達を目的とする住民票の第三者請求権、名誉)が害されるに至った経緯を明らかにすべく請求された情報開示を妨げる理由にはならない。申立人の開示請求内容は、同条第3号ただし書ロ中の「人(申立人)の生活(訴状送達を目的とする住民票の第三者請求権行使、申立人の名誉、申立人の知る権利等)を保護するため、開示することが必要であると認められる情報」である。

「警察業務の遂行に支障を及ぼすおそれ」を「開示請求者以外の者と警察との間で、いつ、誰が、どのような内容のやりとりをしたか等については、開示されると個人が特定されるおそれのある情報であるほか、それらの情報を開示した場合、当該開示請求者以外の者が開示されることで受ける不利益に鑑みて、相談を躊躇し、又は警察とのやり取りを拒否するなど」としているが、「偏向」と言わざるを得ない。「開示請求者」との関係性は一切無視してよいのか。

むしろ、条例第19条(裁量的開示)を積極的に適用するものと判断されるべきと考える。今回のケースは、まさに「個人(申立人)の権利利益を保護するため特に必要があると認めるとき」であると確信する。

4 実施機関の主張の要旨

(1)開示しない情報

ア 開示請求者以外の個人に関する情報

開示請求者以外の個人に関する情報であって、条例第17条第3号ただし書イ、ロ、ハのいずれにも該当しないものであり、特定の個人を識別することができるもの又は他の情報と照合することにより開示請求者以外の特定の個人を識別することができることとなるものとして、条例第17条第3号により不開示とする情報に該当するとともに、開示することにより、警察業務の遂行に支障を及ぼすおそれがあることから同条第7号に該当するため。

イ 警部補以下の職員の氏名

警部補以下の職員の氏名は、開示請求者以外の個人に関する情報であって、条例第17条第3号ただし書イ、ロ、ハのいずれにも該当しないものであり、特定の個人を識別することができるものとして、条例第17条第3号により不開示とする情報に該当するため。

(2)不開示とした理由

ア 開示請求者以外の個人に関する情報について

警部補以下の職員の氏名を除く不開示部分については、公安委員会の指示に基づき、警察本部長が行った事実関係の調査に伴い明らかとなった、開示請求者以外の個人に関する情報が記載され、これらは条例第17条第3号ただし書イ、ロ、ハのいずれにも該当しないことから、条例第17条第3号に規定する不開示情報である。

また、開示請求者以外の者と警察の間で、いつ、誰が、どのような内容のやり取りをしたか等については、開示されると個人が特定されるおそれのある情報であるほか、それらの情報を開示した場合、当該開示請求者以外の者が開示されることで受ける不利益に鑑みて、相談を躊躇し、又は警察とのやり取りを拒否するなど、警察業務の遂行に支障を及ぼすおそれがある。よって、条例第17条第7号に規定する不開示情報である。

イ 警部補以下の職員の氏名について

条例第17条第3号では、開示請求者以外の個人に関する情報は、原則、不開示であるが、同号ただし書ハでは、「当該個人が公務員である場合において、当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、当該情報のうち、当該公務員等の職及び当該職務遂行の内容に係る部分」については、開示しなければならないと規定されている。また、同号ただし書イでは、「法令の規定により又は慣行として開示請求者が知ることができ、又は知ることが予定されている情報」については、開示しなければならないと規定されている。

公務員等の職務遂行に係る情報に含まれる当該公務員等の氏名の取扱いについては、開示した場合、公務員等の私生活等に影響を及ぼすおそれがあり得ることから、私人の場合と同様に個人情報として保護に値すると位置づけた上で、同号ただし書イに該当する場合には例外的に開示することとなる。実施機関等により作成され、又は実施機関等が公にする意思をもって(あるいは公にされることを前提に)提供した情報を基に作成され、現に一般に販売されている職員録に職と氏名が掲載されている場合には、「慣行として開示請求者が知ることができ、又は知ることが予定されている」場合に該当するとされている。

県警察においては、一般に有償頒布されている職員録はない。また、人事異動に関する情報は、警察活動に従事している警察職員の氏名を公開した場合、警察業務の特殊性から、警察職員個人の私生活に及ぼす影響が大きいことから、人事異動に関する情報は、警部及び警部相当職以上の職員の職名及び氏名に限り公表している。

これらのことから、実施機関が慣行として公にしているのは、警部及び警部相当職以上の職員の氏名であり、警部補以下の職員の氏名は、条例第17条第3号に該当する不開示情報である。

5 審査会の判断

当審査会において、本件対象保有個人情報に係る部分開示決定について、申立人及び実施機関の主張を検討した結果、次のように判断する。

(1)本件決定の妥当性について

ア 開示請求者以外の個人に関する情報について

不開示とした開示請求者以外の個人に関する情報について、実施機関は、条例第17条第3号ただし書イ、ロ、ハのいずれにも該当しないことから、条例第17条第3号に規定する不開示情報であると主張し、また、開示した場合、警察業務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるため、条例第17条第7号に規定する不開示情報でもあると主張している。

このうち、別表で開示すべきとした部分については、開示請求者以外の個人が特定されるおそれがある情報とはいえず、また、警察業務の遂行に支障を及ぼすおそれがある情報とはいえないので開示すべきである。その余の部分については、個人が特定されるおそれのある情報であるほか、開示されることで受ける不利益に鑑みて、相談者が相談を躊躇し、又は警察とのやり取りを拒否するなど、警察業務の遂行に支障を及ぼすおそれがある情報であることから、不開示とした実施機関の主張は、妥当である。

イ 警部補以下の職員の氏名について

公務員の職務遂行に係る情報に含まれる当該公務員の氏名については、開示した場合、その私生活等に影響を及ぼすおそれがあり得ることから、条例第17条第3号ただし書イでは、例外的に「法令の規定により又は慣行として開示請求者が知ることができ、又は知ることが予定されている情報」に該当する場合に開示することとしている。県警察が人事異動の際に氏名を公表する対象は、警部及び警部相当職以上の職員であり、職員の氏名を記載した職員録等も販売されていないことから、実施機関が不開示とした理由に不自然、不合理な点はなく、警部補以下の職員の氏名は条例第17条第3号ただし書イに該当する開示情報ではないとした実施機関の主張は、妥当である。

また、申立人は、条例第19条(裁量的開示)を積極的に適用するものと判断されるべきと主張するが、条例第19条に基づく開示を行わなかった実施機関の判断に裁量権の逸脱又は濫用があると認めることはできない。

(2)結論

以上のことから、「1審査会の結論」のとおり判断する。

(答申に関与した委員の氏名)

海老原夕美、西村淑子、松村雅生

審査会の経過

年月日

内容

平成21年2月4日

諮問を受ける(諮問第28号)

平成21年4月22日

実施機関から理由説明書を受理

平成21年4月28日

審議

平成21年6月1日

実施機関からの意見聴取及び審議

平成21年7月28日

審議

平成21年8月27日

審議

平成21年9月18日

申立人から意見書を受理

平成21年9月28日

審議

平成21年10月20日

審議

平成22年1月18日

答申

別表

 

実施機関が不開示とした部分で、開示すべき部分

2ページ

34行目12文字目から35行目11文字目まで。

3ページ

10行目13文字目から11行目33文字目まで。

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総務部 文書課 情報公開・個人情報保護担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 埼玉県衛生会館1階

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