トップページ > 埼玉県議会トップ > 定例会・臨時会 > 定例会概要 > 平成30年6月定例会 > 平成30年6月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(細田善則議員)
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掲載日:2023年5月2日
Q 細田善則議員(自民)
私たちの生活の中で一切使わない日がないというほど浸透している素材、プラスチック。国連環境計画では、プラスチックごみが2015年で3億トン排出されていると報告がされ、G7環境大臣会合や国連持続可能な開発目標(UNSDGs)でも採択されている国際的な課題であります。本日の新聞でも、G7の中で安倍総理が取り上げたというふうに報道がされておりました。
先月の28日、EUが、シングルユースプラスチックいわゆる使い捨てのプラスチックの使用を禁止する法案を提出いたしました。ストロー、フォーク、マドラー、風船につける柄に至るまで、私たちの生活に当たり前に使われてきた使い捨てのプラスチックを別の素材に置き換えることを義務付けるものです。
規制の背景には、プラスチックによる海洋汚染があります。昨年の環境省の資料によると、海の漂流ごみ、漂着ごみは推計で31から58万トンとされ、残念ながらアジアの各国が大量に海にプラスチックごみを流出させております。それが黒潮などの海流に乗って、日本を含む東アジアの海は北太平洋の16倍、世界全体の海と比べても27倍、プラスチックで汚れています。分解されないプラスチックごみは、荒波にもまれて直径5ミリメートル以下の細かいマイクロプラスチックという状態になり、それが油に溶けやすいPCBなど有害物質を吸着して、海洋生物への被害はもとより、海産物や塩から人体に取り込まれてしまう危険性が指摘をされております。
プラスチックは加工がしやすく、すばらしい素材ではありますが、安価ゆえに利便性の追求のために必要以上に使われてきました。これまでの行政では、野放図に作り使われ捨てられてきたプラスチックごみを、適正な廃棄処理をする又はリサイクルをするといった対処の発想で対応がなされてきました。しかし今後は、衛生上に使い捨て包装をしなければならない医療機器などはいたし方ないとしても、極力使い捨てプラスチック製品を使用しない、製造しない、代替素材に置き換えるといった根本的解決という視点で取り組んでいく必要があると思います。
プラスチックの代替素材としては、でん粉や絹など自然に返る生分解性プラスチックなどが開発され始めております。今後の埼玉県のプラスチック製品の利用の在り方について、環境部長にお考えをお伺いします。
また、利用者である県民の消費者教育の中に、使い捨てプラスチックを極力使わないという考え方を取り入れるべきだと考えますが、県民生活部長に御所見をお伺いいたします。
また、これまでプラスチック包装で提供することが定着している小売業界、また使い捨てプラスチックを製造しているメーカーにどの程度影響が予想されるのか、産業労働部長に御所見をお伺いいたします。
A 加藤和男 環境部長
一度使っただけで廃棄してしまうシングルユースプラスチック、いわゆる、使い捨てプラスチックは我々の日常生活には欠かせない存在となっております。
県においては、その代表であるレジ袋の発生を抑制するため、平成20年度から買い物の際にマイバッグを持参する運動を推進してまいりました。
その結果、レジ袋につきましては、平成28年の調査で県内8割の事業者が有料配布やポイントの付与などの対応をしており、大手スーパーマーケットでは削減のための取組が進んでおります。
地球規模ではレジ袋だけでなく、海洋などの生物に深刻な影響を及ぼす恐れのあるストローや食器などの小さな使い捨てプラスチックの問題が深刻化しております。
しかし、使い捨てプラスチックの代替品はまだまだコストの面や性能面での課題があると聞いております。
したがいまして、今後の本県のプラスチック製品の利用につきましては、必要最小限にすることが大変重要だと考えております。
今後、使い捨てプラスチックの利用を最小限にするため、年間約3,000人の参加がある3R講座などの環境学習の機会に使い捨てプラスチックの問題を取り上げてまいります。
また、NPOや企業、学校などが登録している県内約600の地域清掃活動団体に使い捨てプラスチックを自然界に出さないことの重要性について啓発してまいります。
さらに、海洋環境に与える影響など広域的な課題でもありますので、九都県市廃棄物問題検討委員会でも問題を提起してまいります。
A 矢嶋行雄 県民生活部長
消費者一人ひとりが社会に与える影響を考えて、消費やサービスを購入することは、企業活動をも変えていくことができます。
例えば、買物をするときに環境に配慮した製品を選ぶ「グリーンコンシューマー」活動によって、企業も環境に配慮するようになりました。
また、適正な価格で物を買うことで、低賃金かつ長時間で働く子供たちを助ける「フェアトレード」という消費者活動もございます。
消費者の人や社会、環境に配慮した消費行動により社会を変えることができるという考え方が浸透すれば、議員が御提案された使い捨てプラスチックを極力使わないとの取組も進めていくことができます。
県では、消費者のこうした消費行動につきまして、講演会や消費生活講座の開催、広報紙等を活用し、県民の理解を深める取組を行っております。
今後も、消費者一人ひとりが人や社会、環境に与える影響を考えまして、消費行動を行うことができますよう消費者教育のより一層の充実に努めてまいります。
A 渡辺 充 産業労働部長
プラスチックは、加工しやすく安価であるため、企業の経済活動に欠かせないものとなっております。
一方で、環境面からの規制は検討中であること、代替品の開発も途上であることから、企業への影響を明確にお答えするのは難しい状況です。
このため、今考え得る影響について、お答えいたします。
まず、小売業界への影響についてでございます。
小売業界におきましては、食品の包装フィルムやストローなどに代表されるように、一度使っただけで廃棄されるプラスチック製品が数多くあります。
これらの製品について、割高な代替品への転換が求められると、小売業界に与える影響は少なからずあるものと考えます。
また、リサイクルが求められる場合にも、新たに回収や処分の費用が発生するため、小売業界の負担は増大します。
次に、プラスチック製造メーカーへの影響についてでございます。
平成28年経済センサスによると、県内のプラスチック製造業は、1,204事業所、出荷額5,574億円となっています。
仮に、使い捨てプラスチックが規制された場合には、別の素材への転換やリサイクルによる需要の減少が見込まれるため、製造している企業に少なからず影響が出るものと考えられます。
地球環境の保全はもちろん大切ですが、県内企業の経済活動にも配慮する必要があります。
国では来年のG20までに「プラスチック資源循環戦略」を策定し、プラスチックに関する幅広い課題に対応するとしています。
県といたしましては、国の動向を注視し、関係団体からの聴き取りなども行いながら県内中小企業の影響を把握し、どのような対応が必要か検討してまいります。
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