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掲載日:2023年5月2日

平成30年6月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(武内政文議員)

所有者不明の土地問題について

Q   武内政文議員(自民)

人口減少とともに、大量相続時代の到来が見込まれている今日、所有者が不明の土地が全国的に増えており、今後、本県においても大きな問題になることが予想されます。こうした所有者不明の土地の拡大は、災害復旧をはじめ道路整備や山林管理、農地の集約、地籍調査などの公共的事業を進める際に、事業の長期化やコスト増のみならず、民間の土地取引を停滞させ、経済成長の阻害要因になる可能性があります。
所有者不明の土地問題については、国がようやく制度改正に向けて動き出しました。去る6月6日には特別措置法が成立し、知事の判断で10年間公益目的でこうした土地を使えるようにしたり、土地収用手続の簡素化が進みます。しかし、これらはあくまで当面の対策であり、基本的には、こうした土地が生まれないようにする措置が必要です。そのため、現在、国において土地制度の抜本的な見直しを行う方針が出されております。
こうした中で、地籍調査がますます重要となっております。地籍調査は、土地に関する戸籍調査と言うべきものであり、土地の面積、境界と所有者が明確になるからです。本県では、昭和27年から市町村を主体として地籍調査を実施しております。しかし、平成28年度末で着手済み、あるいは実施中の市町村が40で、調査済面積の進捗率は31%と、全国平均の52%に比べますと遅れていると言わざるを得ません。これは市町村の責任といって片付けるのではなく、人口減少時代を迎えた県全体の土地利用に係る県の課題でもあります。
そこで、まず、この土地所有者不明の土地問題について、県はどのように認識して対応しようとしているのか、企画財政部長にお伺いいたします。
次に、県の公共事業における所有者不明土地の現状はどうなっているのか、また、公共用地の取得にとって今回の特別措置法による影響をどのように考えているのか、県土整備部長にお伺いいたします。
さらに、地籍調査には多くの時間と人手がかかり、市町村では財政的、人的不足により実施をためらっているところがあると伺っております。調査を休止している又は着手していない市町村に対して、県はどのように支援を強化するのかを企画財政部長にお伺いいたします。

A   西成秀幸   県土整備部長

県の公共事業における所有者不明土地の現状と、今回の「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」による影響についてお答えを申し上げます。
まず、所有者不明土地の現状についてでございます。
本年4月時点の県土整備部が行っている用地取得の対象1,355件のうち、いわゆる所有者不明土地は54件で、約4%です。
所有者不明土地の中には、戸籍などの調査により早期に解決することもありますが、かなりの時間を必要とする場合があります。
例えば、県の道路事業の中には、所有者が大正時代に亡くなってから、5代にわたり相続登記が行われず、権利者が80人を超え7年経過しても用地取得に至っていない事例があります。
次に、県の公共事業への影響についてでございます。
今回の特別措置法では、法務局が相続人の調査を行い、その結果を県が利用できる制度が創設されました。これにより、権利者を特定する時間の短縮や事務の簡素化を図ることができます。
さらに、次のステップとして、新たな所有者不明土地の発生を防ぐ対策も必要です。
国で検討中の相続登記の義務化などが実現すれば、公共事業のさらなるスピードアップを図ることができると考えております。

A   砂川裕紀   企画財政部長

まず、「所有者不明の土地問題について、どのように認識して対応しようとしているのか」でございます。
不動産登記簿が適切に更新されないため、所有者が直ちに判明しない、または判明しても連絡がつかないなどの理由で、いわゆる所有者不明土地が発生しております。
平成28年に国土交通省が行った抽出調査によると、本県の約5,700筆のうち、登記簿で所有者を確認できたのが97%、住民票などで確認できたのが2.6%、最終的に不明だったのは0.4%となっております。
今後、高齢化の進展による相続件数の増加などにより、所有者不明土地は増加していくことが想定され、経済的損失や国土の保全と適正利用の面で課題となっていきます。
本年6月、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法が成立し、所有者不明土地を利用するための対策等をとることが可能となりました。
一方、議員御指摘のとおり、こうした所有者不明の土地を新たに発生させない取組が必要です。
県といたしましては、所有者不明土地発生の事前予防に有効な地籍調査を促進することが重要であると認識しており、国と協力して市町村を積極的に支援していくことが必要と考えております。
次に「地籍調査を休止している、または着手していない市町に対して、県はどのように支援を強化するのか」についてでございます。
本県の平成29年度末の地籍調査の進捗率は32%となっております。
三大都市圏の進捗率の平均が約16%であり、11都府県の中で、本県が最も進んでいる状況です。
しかしながら、現在23の市町が未着手、17市町が休止中であり、地籍調査の促進を図る上での大きな課題となっております。
平成29年度から県南地域を中心に地籍調査を行っていない市町を訪問し、副市長や部長などの幹部職員に調査の実施を働き掛けております。
その際、地籍調査の必要性・重要性はもとより、未着手の理由に掲げられた予算や人員の確保について、国や県からの財政支援や検査業務の民間委託による職員の負担軽減の方法などを丁寧に説明しております。
平成30年度も引き続き10市町の幹部職員に実施の働き掛けを予定しております。
さらに、未実施の市町の事業着手を促進するため、平成30年度に事業量の把握や実施計画策定など事前準備に必要な経費へ補助する制度を創設いたしました。
毎年行っている地籍調査の制度や測量の基礎的な内容を盛り込んだ研修にも、未実施の市町の職員にも参加を促しているところでございます。
これらの取組の結果、新たに3つの市町が平成31年度から地籍調査に着手する意向を示しております。
今後、県といたしましては、休止や未着手の市町を中心に積極的に支援を行い、地籍調査を促進してまいります。

 

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。

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