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掲載日:2023年5月19日

平成27年6月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文 (荒川岩雄議員)

多選自粛条例について

Q 荒川岩雄議員(自民)

 

月日のたつのは本当に早いもので、あれからもう12年。思えば、私が初めて一般質問を行った12年前の平成15年9月定例会でございました。私の席は、一番前列でございました。今は一番後ろでございます。知事の政治姿勢に関することを中心に質問させていただいたことを、今鮮明に覚えております。
パフォーマンスよろしく颯爽と登場した上田新知事は、県庁にバスで通勤してきた。知事公舎には住まない、公用車は使わない等々と言い出し、私はあ然といたしました。一国の城主たる者、パフォーマンスもいいかげんにしてくださいと、こう注文をつけ、公職の立場にある知事ということを十分わきまえていただきたいと問いただしました。
何の因果か、本日、12年前と同じく、知事に政治姿勢を問いただすことになりました。最近の知事の言動には、私の気持ちも完全に吹っ切れております。知事、あの頃と一体どう違ったのか、どうしちゃったんですかという気持ちでございます。当時を振り返って、遠慮のない質問をさせていただきます。

ところで、多くの県民の批判と心配を顧みず、ついに知事は、埼玉県知事選挙に四選を目指して出馬することを表明いたしました。その大義として、「政治信条を曲げるという不名誉より、県民の期待を実現する道を選んだ。県民の期待が増しているとき、これを放り投げるわけにはいかない。期待があるのに裏切るのは残酷だ」と述べ、さらに、自ら提案して可決された多選自粛条例を破って出馬することの当否については、「県民が判断する」と、こう大上段に述べるに至りました。果たして、この発言で県民から理解されるのでしょうか。これから順次知事に質問し、問題点や矛盾点を明らかにしていただきたいと思います。本席での発言は、記者会見の場等とは違いまして、知事として公の場の発言でございますので、県民に対する説明責任を果たすべき場所でもありますので、はぐらかさずに明快な答弁をお願いいたします。
まず最初に、多選自粛条例についてでございます。
知事の多選自粛条例と言われるものですが、正式な名称は、埼玉県知事の在任期間に関する条例といい、次の2つの条文から成り立っております。せっかくでございますので、読み上げさせていただきます。
第1条は、「この条例は、知事が幅広い権限を有する地位にあることにかんがみ、知事の職に同一の者が長期にわたり在任することにより生ずるおそれのある弊害を防止するため、知事の在任期間について定め、もって清新で活力のある県政の確保を図ることを目的とする。」、その第2条、「知事の職にある者は、その職に連続して3期を超えて在任しないよう努めるものとする。」と、これがいわゆる多選自粛条例と呼ばれるものでございます。この多選自粛条例は、自ら知事が提案し、議会が議決して制定したものであります。
知事からこの提案があった際には、私は大きな疑問を持ちました。なぜ自らを縛る条例を提案したのか、辞める気になれば、いつでも知事を辞めることができるのだから、3期12年まで立候補ができないという縛りは不要ではないか、そのように思った次第であります。しかしながら、当時の知事は強い思いがありまして、その思いをどうしても条例にしたいということで、議会がこれを議決して条例化したものでございます。
ここで、本条例が制定されたときの経過について一言述べさせていただきますので、知事はしっかりと思い起こしてください。ちょっと前段が長くなりますが、早く質問しろなどと言わないでください。
平成16年7月16日、自由民主党の田中龍夫議員の本条例に対する一般質問に、知事は、多くの有名な国会議員らと4選禁止法案を成立させる努力をしてきた、マニフェストで約束をしたということだけでなく、本条例は筋金入りの提案でありますと、堂々と答弁されました。
そして、本条例は総合政策委員会で総員をもって可決されたのであります。因果はめぐります。時の総合政策委員長は渋谷実議員でございました。同年8月2日、委員長報告がなされ、反対討論、賛成討論がなされ、その中で黒田重晴議員は賛成討論をいたしました。上田知事も、土屋前知事や畑元知事のように君子が豹変できないように、条例で約束を明らかにすることは非常によいことだ、大賛成であると、こう述べて、この条例が絶対に守られることを信じて討論を終えました。今でも頭に焼き付いております。
それが、12年後のここに来て、「その当時と認識が変わった。多選による弊害は防げる」と、当時の思いは何だったのかと言いたくなるような発言を繰り返しておるのが昨今の上田知事であります。
言うまでもなく、条例の制定は議会の権能の1つであります。多選自粛条例を提案したのは知事であり、能動的に動いたのも知事でありますけれども、最終的には条例を制定、すなわち議決したのは議会でございます。条例をないがしろにされてしまっては、700万県民に示しがつきません。議会は、議決により条例を制定した以上は、責任上も条例の遵守を求めなければならない立場にございます。700万人県民からクレームを受けるとき、一体知事、誰が受けると思っているんですか。知事ではないんです。県議会議員である我々が批判を受けるのです。なぜ守らせることができないのかと。
知事は、「条例は努力規定であり、それを守ること以上に大事なことがあれば手を挙げる」、こうおっしゃいました。しかし、知事、当時、制定時をもう一度思い出してください。これは条文上は努力規定でありますけれども、知事の思いは、すなわち禁止規定だったんです。実質上は、これは4選出馬禁止規定なんです。在任禁止規定なんです。それを、憲法上あるいは法制上疑義があるということで、このような条文にしたのでございまして、それは当時の知事から何回も私はお聞きしております。
弊害がないから、又はそれ以上の大義名分があるから条例違反をしてもよいのでしょうか。そのようなことで、県民に対して堂々と法令遵守を訴えていけるのでしょうか。理由があるから、害がないから守らなくてもいいんだということであれば、全てがそうなってしまいます。例えば危険ドラッグに対して県民の責任を定めた条例等を制定したとして、買っても使わないから害がない、特別な理由があって持っているだけだから買ってもいいんだと、こういう理屈になってしまいます。こんなことをみんなが言い出したら、どうしてしまうんでしょうか。条例を提案したときと心境が変わったから、自分は大丈夫だからということでは通用いたしません。このように私は思います。
例は幾らでもありますけれども、1つ挙げましょう。鈴鹿サーキットのF1ドライバーがいつも時速250キロメートル以上で走っても、彼らはプロですから事故を起こしません。腕に自信がある彼らが東北自動車道で180キロを出したとしても、私は自信があるから絶対事故を起こさない、我々にはスピード違反は適用されない、こんなことが言えるんですか。やっぱりスピード違反ですよ。私に限って弊害はない、弊害がないから出馬しても問題はないという言い分は、これと同じことを言っているのであります。
知事は分かっていらっしゃいますか。既に弊害が出始めているではありませんか。市長会の一部の有志、町村長会の有志等の推薦は、県民の期待ではなくて、一部の人たちの考えとしか思えません。ある有志は、知事が代わっては困ります、他の人では駄目なんです、上田知事じゃなければ駄目なんですと、こう言っておりましたが、うさん臭くありませんか。知事が正に推薦した人でも駄目、知事でなければという、こういう意見があるのは、弊害どころか癒着の始まりではありませんか。
さらに、条例は守らなくてもよいという先例は、それこそこれが大きな弊害ではありませんか。条例を提案したときには、知事は強い決意で、私に限って3期を超えて在任はしないと思い詰めているようでしたが、どうやら無事に3期が終わりそうになると、知事の椅子の座り心地が誠に良いのか、欲が出てきてしまったんでしょうか。
任期を守る条例は、知事、他人の協力も財源も何も必要がありません。ただただ、知事が唯一、誰の力も借りずに自分で守ることができるのがこの条例であります。しっかりと自分1人で守っていただきたいと思います。
そこで、質問をさせていただきます。
まず、多選自粛条例があるにもかかわらず、弊害がなければ立候補してもよいとの考えを、知事は正々堂々と県民に説明できるのかどうか。今、誰にも分かりやすく説明してください。
第2点、知事は自分が多選になっても弊害がないとおっしゃいます。周りに、弊害があると言う人はいない、こうもおっしゃいます。しかし、周りに自分を正してくれる人がいないということこそ、裸の王様じゃないんですか。知事は、自分なら弊害がないということについて、どうしてそう言い切れるのか、理由を具体的にお聞かせください。
3点目、多選に弊害があるのかどうかは、結果論として過去に遡って初めて分かるということなんです。過去の歴史を振り返ってみましょう。当時は、改革のリーダーとして時代を変えていくともてはやされた人物が、後世でとんでもない人物だったということが間々あります。これは歴史が証明しております。そこで、知事が弊害がある人物とない人物を見分ける基準を説明できるとしたら、その基準はどんなものなんですか。自身には弊害がないと考えるなら、当然、弊害がある人がいるわけでございまして、基準をお示しいただきたいと思います。
4点目、自身には多くの首長の推薦があるようですが、知事が条例を破って出馬することを十分に彼らは分かっているんでしょうか。行政のトップである首長たちからは、条例を守るべしとの声が当然起きるわけなんですけれども、知事を推薦している彼らは、そんな条例は守らなくてもいいと、こう言っているんですか。市長会長である久喜の田中市長をはじめとする首長が、そのような恐ろしいことがまかり通ると思っているんでしょうか。私は心配でなりません。推薦に当たって、実際に首長たちからはどのような発言があったのか、ここで是非聞いてみたいと思います。知事、お答えください。
知事は、多選自粛条例の改正の必要性はないとの認識を示しておりますけれども、条例を廃止するよう勧めてくれる人物は周りに誰もいなかったんですか。弊害があったと聞いていないという声や、首長の推薦などの自分に都合のいいことはそのまま受け入れ、条例を廃止すべしとの声は無視するというのは、随分と自分勝手ではございませんか。知事はどのように考えているんですか。今からでも遅くはありません。この改正あるいは廃止条例を出してみたらどうですか、お考えをお聞かせください。

A 上田清司 知事

まず「知事の政治姿勢について」のうち、「多選自粛条例について」のうち、多選自粛条例があるにも関わらず、弊害がなければ立候補してもよいのか、また県民に説明ができるかについてでございます。
私も自らが制定した多選自粛条例を重く受け止めており、条例の目的である清新で活力のある県政を運営をすべく、3期12年、1期ごとに成果を出すことに努めて参りました。
また、今日2025年問題と言われる異次元の少子高齢化対策は正に今から準備をしていかなければならない課題であり、次の4年間は埼玉県政にとっても極めて重要な期間であると思っております。
私なりに、その県政運営を託せる方々をぎりぎりまで探す努力を続けてきましたが、タイミングや諸々の条件がうまく合いませんでした。私の力不足で不徳の致すところだと思っております。
そうした中で、市町村長や経済団体、福祉関係団体の代表者の皆さんから私に出馬要請があり、この課題に対して、自らが責任を持って臨む決意をしたところでございます。
このことは、結果として自粛条例で自ら課した「連続して3期を超えないように努めるという」努力規定を守りきれないことになり、そのことを率直にお詫び申し上げ、全くもって不徳の致すところだと思っております。
自粛条例の重みを十分踏まえた上での決断であります。この条例がある中で私が出馬の決意をしたことについて、県民の皆様にしっかりと説明し、その判断を仰がなければならないと考えております。
また自分なら弊害がないと、どうしてそう言い切れるのかという御質問がございました。
もとより多選による弊害のある・なしは、自分が判断するものでないと思っています。私にできることは多選による弊害が起きないようにいろいろな形でブロックすることではないかと思っております。そのブロックの仕方については、最小限度工夫をしてきたつもりでございます。
例えば、県政を開かれたものにするために、知事の行動をオープンにする仕組みとしての知事交際費の公開、庁議をはじめとする会議の公開、徹底した情報公開を進めてまいりました。
「天の声」などと言って、談合問題が生じやすい公共工事については、一般競争入札や電子入札方式を採用するなど、入札システムそのものから改革をしてまいりました。
さらに、幹部職員には、「私が不愉快になるような話でも毎日提案するように、提言するように」ということも申し上げてきましたので、ほぼ毎日のように苦言や意見を言うような、そういうルールが定着しているものだと思っております。
陥りやすい弊害についてはある程度ブロックできるとは思っておりますが完全なものだとは思っておりません。
私に弊害がないとそのように聞こえたとすれば、それは舌足らずな発言だと思っておりますし、発言には今後注意をしていきたいと思いますし、まさにそういう発言だと捉えられたことも私の力不足だと思います。
次に、弊害がある人物とそうでない人物との見分け方についての御質問もあったかと思いますが、そうした基準については、議員も先ほどおっしゃったように、最後までわからない、人物評価というのは最後まで分からないのではないか、私もそのように思います。場合によっては後世の歴史で評価されるものもあるのかなと私も思います。
言えることは、現時点で、自らの行動基準の中で私心を排して、そして県政の情報公開に努めることが一番重要なことではないかと感じるところでございます。
それから、首長たちからはどんな発言があったのだと、推薦する場合にこのような御質問があったかと思っておりますが、条例に関して、市町村長さんたちからどのような発言があったかについては、全部覚えているわけではございませんが、私の記憶の範囲の中でしっかり残っているのは、「状況、環境が変わったので」や「県民が決めることだから」と言われたことは記憶しています。
また、「知事は各市町村の課題をよく知っている。現場もよく見てくれている。そういう市町村の実態をよく知っている知事だから、市町村の振興のために是非、決断してほしい」こういったことは記憶しております。
次に、多選自粛条例を廃止しないことについての質問があったと思います。
この条例は、私が最初の知事選挙に臨むに当たり、当時の埼玉県の置かれた状況もあり、清新で活力のある県政を維持するため多選は弊害に陥る可能性があるという認識の下で制定したものであります。
その当時はお話にありました、「禁止」すべきという考え方も持っておりました。ただ、職業選択の自由や、立候補の自由などの憲法上の制約、長の直接公選制という民主主義の根幹にかかわる問題があるということを県議会で大きく指摘もいただきました。
そこで、努力規定としての「自粛条例」という形になったことは、荒川議員が御説明されたとおりでございます。
当時を思えば、まさに私自身が観念論に陥り、当時から多選で立派な仕事をなさっている首長の皆さん達がいたにもかかわらず、私自身の目線からそれがはずれ、大変御無礼なことを言っていたなと、まさに自らの不明を恥じているところでもございます。
「条例破り」との御指摘もございますが、荒川議員は弁護士でございますので、大変恐縮ですがこの条例は立候補を禁止するものでない以上、立候補が条例違反という形にはなっておりません。
しかし、申し訳なく思いますが、真の意味でそれ以上に私自身の説明責任というものが重く問われているものだと思っております。
先ほども申し上げましたが、私にとっても、ぎりぎりの選択でございます。
今回、あえて廃止条例を提案しないということは、条例の廃止を提案することは、自ら4選出馬のハードルをなくして、「問題なし」ということにも繋がり、私はそれを潔しとしません。
むしろ私が今置かれている状況やこれまでの私の実績、さらに今後取り組む政策などを県民の皆さんに丁寧に説明をし、総合的に判断していただく、このことが重要だと考えているところでございます。

再Q 荒川岩雄議員(自民)

知事は、今の答弁の中で、条例2条をひもといて努力義務であると、努力義務であるということを声高にいつも言っています。今ここでもそう言いました。
しかし、努力義務ということで助かったと思っているのかどうか分かりませんけれども、知事がこの条例を制定したときには努力義務では不満だったんです。禁止義務だったんです。禁止条例だったんです。浦和駅前で「4選はしません」、マニフェストにも書いてありました。しかし、浦和駅前で演説しても、マニフェストに書いても、民主党が得意ですけど、マニフェスト破りは。とにかく駄目なんだと。そこで、条例化して自分を完全に縛るんだということで、これは鳴り物入りで提案したんです。筋金入りじゃございませんか。それなのに、今さら努力規定、努力規定とこう逃げているのは、知事の12年前の真意とは180度違うんです。だから、知事は先ほどね、私は違反していませんと申しましたけれども、私はあえてここで言わせていただきます。違反しております。当時、実質上の禁止規定をつくった知事のその条例は、今知事が行っている行動は違反していると私は思いますが、知事、この点、本当に今そう思っているんですか。

再A 上田清司 知事

御案内がありましたように、私自身がこの席上で、当時は、禁止の気分でやっていたということを申し上げております。その認識では、同じであります。
それだけに、この思いは、必ずしも実現できなかったこと、このことについて、私自身の政治信条を曲げてでも県民益の最大化のためにがんばる、がんばらざるを得ない、こういう結論に至ったことについて、まさしく、県民にも、また、県議会に対してもお詫びを申し上げ、私の力不足、また、不徳の致すところについて、申し上げているところでもございます。
ただ、法令上の課題については、もう、荒川議員が御存じのとおりでございますので、あえて申し上げません。

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。

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