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掲載日:2023年5月19日
Q 横川雅也議員(自民)
本6月定例会の一般質問において多くの会派、議員より同様の質問が出され、一部類似する点もございますが、それだけ重要かつ県民の関心も高い内容でありますので、少し視点を変えた質問として取り上げさせていただきます。
上田知事は、平成15年に「しがらみ一掃」というキャッチフレーズを掲げ、選挙公約の一つとして「多選による県政停滞と腐敗を防ぐ」と述べられ、次の4文字を県民に訴え、初当選されました。その4文字が「多選禁止」であります。埼玉県知事になられてからは、憲法上の職業選択の自由に触れる可能性があるとの考えから、多選禁止ではなく多選自粛条例を制定、提案され、埼玉県は都道府県では初めてとなる多選自粛条例が制定されました。
しかしながら、この多選自粛が意味するのは、上田知事の信条としては実質的には多選禁止を意味していたこと、また、多選禁止から多選自粛となった経緯については、知事に説明をするまでもないかと思いますが、あえて説明をしたのは、条例を提案したのはあくまで知事御自身であり、そのことを再度知事に御認識をいただきたい。また、県民の皆様にもお伝えする必要があるからであります。
知事が選挙で公約された事象についてきちんと取り組んで成果を出されたこと、道半ばであること、そして達成できなかったこと、公約の中でも様々あると思います。しかし、大変に残念なことですが、知事は今度は違う4文字を使って県民との約束、そして自らの政治信条をも破る御決断をされました。それが「4選出馬」という4文字です。上田知事が自らの在任期間が連続して3期を超えないとする条例を守るということは、予算も関係なく、誰の力もかりずに、自身の判断だけで守れる県民との約束であります。
そこで、まず伺います。必ず守れる条例が、約束が守れず、県民に何を約束するのでしょうか、お答えください。
次に、自民党議員からではなく、他の会派の議員からもお話がありましたが、県民は釈然としない気持ちでいっぱいであります。上田知事御自身も釈然としない気持ちではないでしょうか。自信に満ちた表情が浮かばない理由は、上田知事御自身が一番分かっていると思います。
4選出馬に向けていかなる理由があったとしても、県民に対して丁寧に、そして明確な説明が必要との認識は、党派を超えて多くの議員も同様であります。私も4年前、知事3選へ向けた選挙において、地元地域において上田知事の支持拡大に向け応援をした立場として、知事の県民への説明責任については問わないわけにはいきません。多選自粛条例を改正、廃止もせず、また、県民への十分な説明もないまま4選への出馬を表明したことについてどのように県民に説明するのでしょうか。ここ数日の答弁とは違う、県民が納得のいく明確な御説明をお願いいたします。
最後に、出馬表明に至るまでの知事の発言についてですが、2013年8月には「あくまで自粛を旨とし、出馬は法、条例に縛られない」という努力義務規定を軽視する発言をされ、今年5月の記者会見においては「私の多選による実害を聞いたことがない」と発言をされました。知事が出馬を表明したことで、県民からは県政への不信感が生じています。自らが禁止を訴えた行為を自ら行動に移したことによる県政への信頼損失は、これこそ大きな問題であり、このことこそが実害であると私は思います。県政への信頼を損失させたことへの責任をどう果たしていくのか、明確に県民への説明をお願いいたします。
A 上田清司 知事
まず、守れる約束が守れず、県民に何を約束できるのかでございます。
議員御指摘のように、27のマニフェストの一つである、多選自粛条例にある「連続して3期を超えて在任しないよう努める」ことは、私の政治信条を条例化したものであり、私に課せられた努力義務でございます。
これまでも御答弁しておりましたように、私はこの努力義務を大変重く受け止め、ぎりぎりまで守る努力をし、また、直前まで新たな候補の発掘などにも努めてまいりましたが、タイミング、あるいは条件等が合わず、残念ながらかないませんでした。
こうした中、市長会、町村会のほか、数多くの県民を代表する団体から出馬の要請を受けておりました。個人の信条を曲げるという、私自身の不名誉より、県政発展のために県民の期待に応えるという苦渋の選択をしたところでございます。
私のこうした出馬の決意の基になったのは、2025年問題など今後の埼玉県政に強い危機感を持っていたこともその一つでございます。
今から10年後の2025年には、団塊の世代が後期高齢者になるのは御存じのとおりでございます。その数は現在の76万人から118万人へと42万人増加いたします。世帯数で見ても、総世帯数は現在の294万世帯が298万世帯へ4万世帯の増加にとどまりますが、問題はその内訳です。
世帯主が75歳以上の世帯は41万世帯から63万世帯へと22万世帯増加し、そのうち単身世帯が13万世帯から21万世帯へと8万世帯も増加する見込みでございます。まさに家族の中で、十分にお互いの助け合いがしにくい状況になるということでございます。
こうした変化は今からでも推計できるわけでありますが、問題はそれにどう対応するかであります。
先頃、日本創成会議も、現在の介護施設のベッド数がそのままだとすると2025年には2万4千人分が不足するというようなデータを出しております。
このデータそのものは文字どおり粗っぽいデータではありますけれでも、しかし、そうした非常に困難な課題があるということだけは、理解できるわけであります。
このたびの出馬表明は、そういう課題に自ら責任を持って立ち向かわなければならない、こういう思いの決意であります。そのことが県民の皆様との約束である、このように御理解をいただきたいと思っております。
次に、多選自粛条例を改正、廃止もせずに4選への出馬をしたことについてどう県民に説明するのかという主旨であったかと思います。
条例の改廃を提案することは、事実上4選のハードルをなくして問題なしとすることでもございますので、私はこれは潔しとしない、あえて重い十字架を背負っていくことを選択しております。
県民の皆様には、この条例がある中で私が決断をした経緯と、県民生活に関わる重要な課題や私が考える政策について丁寧に説明し、御理解をいただきたいと、このように考えております。
次に、県政への信頼を損失させたことへの責任をどう果たしていくのかという主旨であったと思います。
これまで、県民の皆様から負託された1期4年ごとに全力投球し、成果を上げる努力をしてまいりました。
そして、実際に、治安の回復や企業誘致、失われたみどりの回復、川の再生、中学校の不登校対策、高校生の中途退学防止、貧困の連鎖を断ち切る生活保護世帯への学習支援など、具体的な成果を上げてまいりました。
私が進める県政の成果は、多くの県民の皆様の信頼を得てきたと考えております。
こうした県民の信頼が揺らぐことのないよう、私の出馬と条例との関係や私が考えるこれからの埼玉の方向性について、県民の皆様に丁寧に説明をする、そうして御理解をいただけるように努めていきたい、このように考えているところでございます。
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