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掲載日:2023年5月19日

平成27年6月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文 (新井一徳議員)

知事の政治姿勢と県庁の組織運営について

Q 新井一徳議員(自民)

「信無くば立たず」、これは有名な論語の一節であり、知らない方はいないと思います。まずは、孔子とその弟子である子貢のやりとりを御紹介いたします。
政治の要諦を尋ねる子貢に、孔子は「食料を十分に備えること。軍備を充実すること。信頼を確立すること」と答えました。子貢は「では、その3つのうち、やむを得ず捨てるとするならどれか」と尋ねたところ、孔子は「軍備だ」と答えました。子貢は、さらに「残りの2つのうち、もう1つ捨てなければならないとしたらどれか」と執拗に尋ねました。孔子は「食料だ。なぜなら、この社会から信頼が失われたら、何があっても意味がないからだ」と説いたのであります。孔子は、政治の要諦は「信頼」だと言っているのです。これを失ったら、国は治められないと言っているのであります。
上田知事、今あなたがやろうとしていることは、この信頼から真っ向から反するものではないですか。知事は自ら、埼玉県知事の在任期間に関する条例、いわゆる多選自粛条例を議会に御提案され、「筋金入りの提案」とまで口にされました。ところが最近は、「自粛であって禁止ではない」などと、き弁を弄するに至りました。
政治家は、自らの言動に責任を持たなければなりません。トップに立つ者が信頼を損ねることがあってはならないのです。知事は、中国の古典を好んで引用されます。今の御自身の行動を踏まえて、孔子のこの言葉をどのように受け止めていらっしゃいますか、お考えをお聞かせください。
知事は、5月の記者会見で、「多選の弊害という指摘を受けたことがない」と、あたかも自らの県政運営に弊害がなかったかのような発言をされていらっしゃいますが、本当にそうなんでしょうか。私も元ジャーナリストでありますので、県庁内で匿名を条件に生の声を聞いてみました。その結果、明らかになったのは、12年間で変質してしまった県庁の実態でした。清水も長くとどまれば濁ってくるの例えがあるように、知事が12年間お務めになられたことで生じた弊害は、確実にあると感じました。
知事も就任当初は、清新さを持って県庁運営に当たられたということは、皆さん共通しておっしゃいます。異論などを尊重する新しいタイプの知事という受け止め方でありました。しかし、そのような風土もなくなり、今や風通しの悪さを指摘する声が圧倒的であります。知事自らが出席する会議では、知事に物申す雰囲気ではないと聞きます。幹部から異論なども出ず、知事のおっしゃることをただただ聞くだけであると。これこそ弊害であります。多選自粛条例でうたう「清新で活力ある県政」とはほど遠く、物言えぬ清浄ならざる組織そのものであります。政権末期に陥りがちな裸の王様になられていると私は感じておりますが、お考えをお聞かせください。
このように、看過できないほどの弊害があるにもかかわらず、四選の立候補を表明されています。多選自粛条例は、制定の経緯を見れば、上田知事に限っては事実上の多選禁止条例であり、私は、明らかな条例違反と考えますが、どのような理屈をもってすれば違反でないと言えるのでしょうか、その整合性をお答えください。
私は、平成25年2月の予算特別委員会で、県民の生の声を生かす県政の実現をとの観点から知事に質問をしました。そのときに、諫議大夫のお話をさせていただいたことは知事も御存じであると思います。
諫議大夫は、中国、唐の2代目皇帝で、名君と言われた太宗の部下たちであり、太宗は諫議大夫たちの忠告や諫言をしっかりと聞き入れることで、国の発展をなし遂げたと言われております。県庁内に諫議大夫のような部下がいれば、知事にとっては耳の痛いような話でも入れてくれるでありましょうし、立候補は多選自粛条例に違反することになりますよと忠告をしてくれたのではないでしょうか。残念ながら、そのような諫議大夫は存在しないように感じます。諫議大夫を育てる努力も放棄したのではないでしょうか、お考えをお伺いいたします。

A 上田清司 知事

まず、孔子の「信なくば立たず」というお話でございます。
よく「こちらが立てばあちらが立たず」という言葉もございます。正に私の場合は、こういう状況になりました。
県民とのある意味での約束、「3期12年を超えて在任しないよう努める」というこの努力義務規定を守ろうとする私自身の気持ちと、一方、市長会、町村長会、あるいは経営者協会、各種団体の代表の皆様から、現在の埼玉の状況の中で知事として任務を遂行するのはあなたしかいない、という強い要請、そういう状況の中で、また、知事選が1か月少々になった時点でもさしたる候補者もいないという状況の中で、どういう判断をしなければならないかということに関して、私自身もぎりぎりの新たな候補者の模索も含めて努力をしてまいりましたが、力足らずでそこに至りませんでした。
正に、その時に努力義務規定を守るという「信」、そして、様々な方の信頼を裏切ることはできないという意味での「信」、この「信」と「信」のぶつかり合いの中でいけば、個人の不名誉、個人の信条よりも、世の中の価値、多くの人たちの信頼、こちらの方を立たせることにする、このように私は考えたところでございます。
そして、多選による弊害について、いろいろと御指摘をいただきました。
風通しが悪くなっているのではないかというお話でございますが、一般的に言えば、私はそのように思っておりません。むしろ、いろいろな団体の皆様が闊達な意見を言われるようになってまいりました。
市町村長会議でも、かつては筋書きができておりました。
質問項目が決まっていて、こちらの回答項目が決まっておりました。
それをやめました。いきなりぶっつけ本番にしております。
そんな風通しの悪いことでどうするのだということで、今は生のぶつけ合いになっております。
こういうことをやっておりますし、まさに、経営関係の団体に関しても生でいろんなお話をしております。
かつては質問項目が決まり、そしてその回答も決まっている、そういうことが平気で行われておりました。それを全部やめております。全部生でやっております。
農業団体のみなさん達とも、私が就任後間もない頃、お話をしました。
後継者がいない、嫁さんがこない、不満だらけの話ばかりでしたので、「埼玉みたいに恵まれたところで文句を言っていたら、長野県の川上村に笑われますよ、視察に行ったらどうですか」と言っていろんな話をしたら、組合長を全部集めるから話をしてくれということで、お話をしました。
80人の組合長が集まったところで、私なりの農業論を展開しました。
すると、3年後の平成19年から埼玉県の農業出荷額はぐんぐん増えて、仮に全国平均が100だとすると、その5%ぐらい上を常に行っております、その後。それ以前は全国平均よりも少なかったのです。
そういう状況は、風通しが悪いということにはならないと思います。
いろんな形での風通しを良くしております。
そしてまた、県庁内の風通しに関して、後ほどまたモラルのところでも申し上げたいと思いますが、私はそういう意味での「風通しが悪い」というようなものがあるというふうには全く思っておりません。
それから、「諫議大夫」の話でございます。
ちゃんと文句を言う職員を育てているのか、ということでありますが、新井議員が言われましたように、私は、副知事や知事室長というのは、正に「諫議大夫」の役割を果たせ、ということをいつも申し上げています。
それだけではありません。年度当初には、部長から一年の課題と目標につき、闊達な意見交換をしております。副部長との昼食会や、課長一人一人と意見交換をしながら、正に風通しの良いことをしっかりやっているところでもございます。
また、こういうお話があります。
例えば、こういういい成果を出していると言ったら、すぐそばで「それは県の政策だけでよくなったとは限らないから、こういう側面からのアプローチが必要じゃないか」ということを言う職員がいます。そういうことが闊達に出るようになっているのが事実だと思っております。
もし、ものを言いづらい状況であれば、そういうことは全く出ないというふうに思いますし、むしろ、毎日のように副知事、知事室長をはじめ幹部職員から厳しい指摘や良いアイデア、良くない情報など、私なりに計算すると、1日に3件か4件くらいは、何らかの形でそういう話が来ます。
そしてまた、私は毎日、手紙やメールを20通前後読んでおります。全て目を通しております。
そういう意味で、いろいろな意味で、風通しが悪くならないように努力をしているところです。
ただ、一般論でいえば、長くなればなるほど、そういう部分が出てくるということは、私も自覚し、自戒しております。
したがって、そういうものをブロックする仕掛けというものを、再三再四お答えしているところでもございます。

再Q 新井一徳議員(自民)

先ほど私は、孔子の「信無くば立たず」という言葉を取り上げまして、信頼を確立することが大切だというお話をさせていただきました。先ほど知事は、例えば市町村長との信頼関係、そのようなものを大切にするというお話がございましたが、よくよく考えてみますと、この県議会というのは県民の代表が集まっている場でございます。12年前、その県議会が議決した多選自粛条例を自らお破りになることによって、この議会との信頼関係が本当に維持されると思われているのでしょうか。

再A 上田清司 知事

確かにそういう部分があることは事実でありますけれども、しかし私も最終的に繰り返しますが、この自粛条例の努力義務を守り切れなかったということについて、私は率直に県民の皆様や県議会の皆様にお詫びも再三しております。
加えて、今、この条例を守る、守らないだけの議論でいいのかどうか。
県政には多様な課題があります。そういう多様な課題について私は県民に審判を問う、そういうことをこの議会でしばしば申し上げております。
県議会の信頼に対して、この部分には大変申し訳ない部分があるということは再三申し上げております。したがって、既に回答した部分ではないかと思っております。
多くの方々の信頼を私は無にすることができないということで、結果としてこういう判断をさせていただきましたこと、御理解を賜りたいと思っております。

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。

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